地域包括ケア病棟でコロナのクラスター(6名)が発生して、今週月曜日に解除の予定だった。
月曜日に、土曜日に同じ病棟の患者さんが発熱したと報告があった。腎臓内科の若い先生が担当している81歳男性だった。コロナのPCR検査は陰性(バイトで来ていたの日直の先生が採取してくれた)で、主治医の指示で尿路感染症として抗菌薬が開始されていた。
解熱していて、(解熱でコロナとの鑑別はできないが)抗菌薬が効いたような経過だった。新規のコロナが出なかったということで、予定通りに病棟は隔離解除となった。
木曜日に、患者さんのその後を確認しようとすると、すでに病棟にいなかった。火曜日の夜間に転院になっていたのだった。
この患者さんは、9月末にコロナワクチン接種で内科医院を受診した。その際に酸素飽和度低下(80%台)があり、胸部X線で右気胸と判明した。地域の基幹病院呼吸器内科に紹介・入院となった。
胸腔ドレーンが挿入されて、肺は拡張した。クランプしても問題(肺虚脱)がなく、胸腔ドレーンは抜去された。
認知症の不穏で入院が延長していたが、また右気胸になった。胸腔ドレーンが再挿入された。またうまく拡張して、クランプで再虚脱がなくドレーンを抜去した。
臥床状態が続いて、廃用症候群となったため、リハビリ目的で当院に転院したという経緯だった。腎臓内科の若い先生(2名のうち常勤の先生が担当、他の先生は大学病院から3か月交代)が担当していた。
月曜日にごく軽度の右気胸があることがわかったが、火曜日の日中に胸部X線を再検しても、進行はしていなかった。ところが、火曜日の夜間に気胸の程度が増悪した。
火曜日の当直だった耳鼻咽喉科医が基幹病院に連絡して、その日のうちに救急搬送となったのだった。
患者さんは長年の喫煙歴があり、今回入院するまで継続して喫煙していた。胸部CT像を見ると、肺気腫がある。入院中に再発していて胸腔ドレーンによる吸引だけでは治らないので、胸膜癒着術の適応だったと思うが。
胸膜癒着術はタルク、ミノサイクリン、OK432(ピシバニール)などを行ったことがある。当院でできなくはないが、脆弱な肺だとうまくできるかどうかわからない。呼吸器外科もいる病院で施行してもらったほうがいい。