なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

紹介した患者さんのその後

2022年08月12日 | Weblog

 地域の基幹病院に紹介した患者さんの返事(診療情報提供書)が来ていた。

 

 7月29日に記載した「腸閉塞・結腸癌疑い」の73歳男性は、大腸内視鏡検査で横行結腸癌を診断されたそうだ。そのまま大腸ステントが挿入されて、待機手術予定となった。肝転移も腹水もなかったので、手術は可能なのだろう。

 

 7月18日に記載した「COVID-19で胃癌?」の83歳女性は、胃癌と診断された。内視鏡で胃体部から胃角部小弯を主座とする進行胃癌(スキルス胃癌)があり、噴門直下まで広がっていた。

 腹部造影CTで胃周囲・腹腔動脈周囲にリンパ節転移があった。両肺にも複数の転移巣があり、胃癌か昨年に手術した甲状腺癌の転移ということになる。

 手術適応はなく、腫瘍内科に紹介予定とあったが、83歳でこの病状だと緩和ケアになるのかもしれない。

 

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90歳の高血糖

2022年08月11日 | Weblog

 糖尿病で通院している90歳女性は8月初めの外来で、HbA1c11.2%・随時血糖453mg/dlと高血糖状態を呈していた。ご本人は特に困った様子はなく、自宅近くから出る本数の少ないバスで通院してきた。

 

 糖尿病・脂質異常症で外来通院していたが、2013年に四肢近位部痛が生じて、整形外科外来に数回通院していた。内科外来で症状をを聞いて、リウマチ性多発筋痛症(PMR)と診断した。

 高齢なので少なめのプレドニン10mg/日から開始して、症状は軽快した。2年間治療して中止したが、幸いに再発はなかった。

 

 経口糖尿病薬はDPP4阻害薬だけにしたいが、それだけでは高齢者としても血糖が高めだった。といって、メトホルミンもSGLT2阻害薬(痩せている)も使用しがたい。

 SU薬少量(クリクラジド20mg)を併用して、HbA1cが7%台後半になっていた。今年の2月に7.9%、5月に8.3%と上昇してきた。そして今回の11.2%となった。

 腹痛もなく、食欲も変わりなかった。腹部CTで膵癌は認めず、膵臓は脂肪置換で萎縮している。自己インスリンが低下しているのだろうと思ったが、血中Cペプチドは1.4(空腹時)と低下していなかった。(抗GAD抗体は陰性)

 そのまま入院としたかったが、一人暮らしで家の戸締りもあるというので、翌日の入院とした。翌日は、随時血糖535mg/dlだった。家に残っている外来処方を全部持ってきたが、けっこう残薬がある。きちんと内服しているわけではないようだ。

 無症状なので高浸透圧高血糖症候群とも言い難いが、酢酸リンゲルの点滴を数日行って、スケールでヒューマリンR皮下注を開始した。

 持効型インスリン(トレシーバ)を3単位から開始して、その後5単位に増量した。空腹時血糖は170mg/dlで食後血糖は200mg/dl台となってきた。

 しばらくインスリンを使用して、経口血糖降下薬だけにできればいいが、持効型インスリンは継続を要するかもしれない。インスリン自己注射はまずできないので、これを機会に施設入所に持っていきたい。

 

 

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バイアスピリン中止

2022年08月10日 | Weblog

 認知症で通院している92歳男性が、6月27日に頭部打撲で救急搬入された。対応した先生(大学病院総合診療科)が外傷性くも膜下出血・急性硬膜下血腫と診断して、地域の基幹病院脳外科に搬送していた。 

 「急性期は入院で診るが、その後は転院させる」という約束?がなされての搬送だった。実際は認知症の不穏がひどく、翌日には退院になっていた。

 バイアスピリンが処方されていたので、搬送後に処方理由の問い合わせが来ていた。多発性ラクナ梗塞で処方されているが、中止可能と返事を出していた。

 脳外科の外来で短期間フォローして、最終的な返事が来ていた。「バイアスピリンを中止しているが、再開は出血性病変悪化のリスクと脳梗塞のリスクを考えて行うように」、とあった。「中止したままでよい、再開しないように」ということだろう。

 

 この患者さんはいつから抗血小板薬が処方されているのかと確認した。2003年の時点で処方されていた。今の病院ができた時なので、それ以前からラクナ梗塞に対して処方されていたようだ。両側基底核に多発性ラクナ梗塞がある。(微小出血microbleedsはなかった)

 それもバイアスピリンとチクロピジン(パナルジン)の2剤が処方されていた。当時はそういう処方があったような記憶がある。その後バイアスピリン単独となっていた。その後に当方の方に回ってきて、継続していたのだった。

 以前は、何か神経症状が疑われて、頭部CTかMRIでラクナ梗塞があると(症状を説明するものではないが)、自動的に抗血小板薬が開始されていた。

 それで転倒による大骸骨近位部骨折や硬膜下血腫が生じると、悪化の原因になってしまっていた。主要な脳血管の動脈硬化や、神経症状を説明する梗塞巣でなければ、安易に処方すべきではないのだろう。年齢も考慮すべきか。

 

 家族(娘さん)には、脳梗塞再発の可能性があるが、出血性病変悪化のリスクの方が大きいので、そのまま中止でいきますと伝えた。

 

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入院患者でCOVID-19

2022年08月09日 | Weblog

 先週の金曜日に、透析で通院している患者さんが発熱して、COVID-19に罹患していることが判明した。以前は、COVID-19に罹患した透析患者さんを引き受ける病院があったが、現在は個別に対応することになっているようだ。

 その患者さんは軽症相当なので、腎機能障害で唯一使用できる抗ウイルス薬のラゲブリオ内服が処方されて、そのまま透析で外来通院となった。

 会社を経営していて(実際は妻が担当)、若い社員が多数出入りしているという話だった。周囲にCOVID-19の患者がいないので、感染経路不明となっていた。

 透析担当の看護師さんもCOVID-19 に罹っていることが判明した。罹患した患者さんを直接担当はしていないというが、関係があるのか、同時期に発症しただけかは確定できなかった。

 

 土曜日にリハビリ病棟に入院している透析患者さんが発熱して、コロナの検査で陽性と出た。その時点で病棟内の入院患者やスタッフにコロナに罹患した人はいなかった。透析室に週3回行って約4時間過ごしている。

 そのままリハビリ病棟に置けないので、その日1床だけ空いた感染病棟に移すことになった。同室者(4人部屋にいた)はそのまま病室で経過観察となった。月曜日にPCR検査を行ったが、3名とも陰性だった。(直接対応した看護師も陰性)

 

 こうなると、透析患者2名と透析室の看護師1名がCOVID-19にかかったので、透析室での感染になりそうだ。

 

 患者さんたちは病室にいる時もマスクをしているが、外している人もいる。この患者さんもマスクをしていない時があり、対応した看護師、リハビリスタッフは濃厚接触者ではない、といえなくなった。PCR検査は陰性だったが、濃厚接触者に準じて一定期間自宅待機となった。

 

 基幹病院の管理者から当院の管理者に連絡があり、当院でもっとCOVID-19 の入院を増やせないかと言われたそうだ。看護師さんの手配がつけば診られます(他の病棟からの応援依頼になるが、現状無理)、と答えた。

 

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気管~気管支狭窄、肺腫瘍、喘鳴

2022年08月08日 | Weblog

 先週火曜日にクリニックから、左下肢の蜂窩織炎として64歳女性が皮膚科外来に紹介されてきた。

 脳梗塞後遺症で当院神経内科外来に通院している。糖尿病もあるが、DPP4阻害薬とメトグルコ(1000mg/日)でHbA1cは6%台後半と良好だった。

 10日まえの7月25日に当院を受診していた。微熱があり、発熱外来でコロナの抗原定性検査を受けていた。陰性確認後に内科新患(大学病院からバイト)に回されている。

 白血球増加・CRP軽度上昇を認めるが、胸部X線で肺炎はなしと判断された。オーグメンチン内服(AMPC/CVA)が処方された。

 1週間後の8月1日に受診して、炎症反応は横ばいだった。抗菌薬をオグサワ(オーグメンチン+サワシリン)に変更されていた。聴診上、軽度の喘鳴が聴取されていた。

 

 皮膚科外来を受診した時に、喘鳴が著明に聴取されて、内科に回された。内科新患担当だった内科の若い先生が診察した。胸部CTで右肺下葉背側に肺癌疑いの腫瘤影が描出された。

 胸部X線で見逃しやすいが、CTで確認してから見れば普通に指摘できる。軽度に浸潤影も伴っているものとして、肺炎・喘息発作として入院になった。

 

 CT画像の読影でも指摘されたが、気管~気管支が全体的に狭窄して壁肥厚している。以前に、同様の所見を呈した高齢女性がいた。救急で担当の外科医が診て、これはなんだろうと相談された。

 地域の基幹病院に紹介してもらったが、返事は気管支喘息発作とされていて、喘息の治療で軽快していた(と、記憶している)。通常の喘息発作で、気管~主気管支が狭窄したのを見たことはない。

 

 蜂窩織炎とされた左足背も水泡性病変が集簇していて(黒色痂疲化)、発赤の外側にも散在していて、右足背にも水疱があった。皮膚科医にこの水疱は何ですがと訊くと、蜂窩織炎とはしたが、実際はよくわからないといわれた。

 数日後に皮膚科医から、喘息があることから「チャーグ・ストラウス(EGPA)ではありませんか」、と訊かれた。疑い症例しか診たことはない。(ANCAは提出しておいた)

 担当の若い先生に、少なくとも肺腫瘍(肺癌)の精査は必要なので、喘息の治療としてステロイドを短期期間継続して、早めに基幹病院に紹介するよう勧めた。(今週転院予定となった)

 

 

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腹部リンパ節腫脹

2022年08月07日 | Weblog

 内科の別の先生が、腹部リンパ節腫脹のある88歳女性を入院で診ている。原発巣が不明ということだ。

 2013年に胃癌の手術を受けている(stageⅡ)。術前からCA19-9 とCEAが軽度に上昇していて、術後も同様だった。画像検査では再発・他の悪性腫瘍は認めなかった。

 2019年に大学病院皮膚科で左膝窩の有棘細胞癌に対して、左鼠径部転移部までの手術を受けている。これは転移としてありうるだろうか。

 今回は食欲不振で内科に入院していた。最近のCTで腹部大動脈周囲などに多発性リンパ節腫脹を認めている。肝臓内に早期濃染部があるが、腫瘍とは決め難く、よくわからない。

 ここからどうするかといっても、年齢と病状からは精査・治療は難しい。以前からCEA・CA19-9は軽度上昇が横ばいで、可溶性IL2受容体抗体は正常域だった。別に悪性リンパ腫が出たともいえない。腹部のリンパ節生検はできないので、確定診断はできない。

 担当医は家族と相談して、できる範囲で治療して病状悪化時はDNRとなったが、正確な病名はつけがたい。

 

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「不眠症診療ミニマムエッセンス」

2022年08月06日 | Weblog

 泌尿器科外来に週2日来ている泌尿器科医は不眠症があった。

 別の県の病院に勤務していたが、60歳定年の病院だった。当院に移って65歳定年まで勤務したが、その後は非常勤医として勤務して、地元の施設の嘱託医もしている。

 以前からブロチゾラムを半錠か1錠使用していた。その後、新規に出たデエビゴ(レンボレキサント)5mgを飲んで、それで眠れない時にブロチゾラムを追加しているそうだ。

 日中の眠気と、夜間のいびきとおそらく呼吸停止があり、自分で睡眠時無呼吸症候群(SAS)を疑った。耳鼻咽喉科医に相談して、検査を受けた結果、SASと診断された。

 持続陽圧呼吸(CPAP)を開始して、日中の眠気などは改善した。それでも午前2時ごろに中途覚醒して、その後眠れないという。

 どうしたらいいかと訊かれたが、不眠症を専門にしているわけでもない。不眠症の本を読んでその通りにしているだけなので、不眠症の本をお勧めして直接読んでもらうことにした。

 「外来・病棟で役立つ! 不眠症診療ミニマムエッセンス」井上真一郎著(中外医学社)を紹介した。

 簡単に言えば、ベンゾジアゼピン受容体作動薬から、オレキシン受容体拮抗薬(デエビゴ、ベルソムラ)や鎮静系抗うつ薬(レスリン/デジレル)に切り替えましょうということになる。デエビゴ増量(5mg→10mg)かデジレル(25mg1錠から)はいかがでしょうかと伝えた。

 泌尿器科医に、この本を1週間貸してくれ、と言われてお貸しした。

 

外来・病棟で役立つ! 不眠診療ミニマムエッセンス

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これこれ、という陰影

2022年08月05日 | Weblog

 水曜日(8月3日)に保健所から、COVID-19罹患者の外来アセスメントの依頼があった。80歳女性で、発症は7月25日ということだった。8月1日に隣の市内の病院で抗ウイルス薬のラゲブリオが処方されている。

 咳が続いているが、呼吸困難はない。酸素飽和度は95%(室内気)だった。普通に歩行できて、食事摂取もできる。

 胸部CT検査をして、放射線技師さんから「コロナの陰影があります」と報告がきた。画像を確認すると、両側肺野に限局性のすりガラス陰影が散在している。胸膜下や胸膜下をスペアする形で、コロナの陰影といえばこれこれ、という陰影だった。

 血液検査で、白血球7900・CRP1.3と若干炎症反応が上昇しているが、重症化指標は正常域だった。肺炎があるので、中等症Ⅰとして報告した。

 受診したのが、発症10日目になる(自覚症状の発症日が正確ならば)。その日結果を報告して、翌日にもし入院依頼があれば、11日目で隔離解除になってしまう。

 外来アセスメントは重症度を記載すればいいので、転院の手配で忙しい時だったこともあり、コメントは入れなかった。

 翌日保健所から入院依頼が来て、翌日の木曜日に入院になった。本人がいう咳が出始めた日が確かなら、発症11日目になる。保健所は症状が続いていることから隔離解除できないとしていた。(発熱がなければ、少し咳が残っても症状消失に準じた扱いになるはずだが)

 入院した時は、発熱はなく、咳も大したことはない。酸素飽和度も97%(室内気)だった。診断した病院で処方されたラゲブリオもその日までで終了になる。肺炎が進行すれば、抗炎症薬としてデキサメサゾン投与かと思っていたが、コロナとして治療追加することはなさそうだ。

 隣町の病院に糖尿病で通院していて、インスリン強化療法をしていた。インスリン量は計78単位/日になる。経口血糖降下薬はまったく入っていない。診ているのは糖尿病専門医だが、緩徐進行1型なのだろうか。糖尿病教育入院のようになりそうだ。

 

 若年~中年のCOVID-19患者さんは、自宅静養やホテル静養になり、胸部CT検査を受けることはない。デルタ株流行期には、罹患者をかたっぱしから胸部CT検査をしていくと、軽度のすりガラス陰影は一定の確率であるのだろうと思われた。オミクロン株は肺炎があまりないので、違うかもしれないが。

 

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COVID-19患者の転院

2022年08月04日 | Weblog

 火曜日にCOVID-19の51歳女性が保健所に依頼で入院した。前日から高熱があり、その日は酸素飽和度が90%未満になっていた。

 地域の基幹病院は感染病棟が満床だったので、はたして当院で対応できるのかと思ったが、受けることにした。知的障害があるが、身体的な問題はそれほどないらしい。

 てんかん専門病院から抗てんかん薬3種類と抗精神薬3種類が処方されている。施設に問い合わせると、最近特にけいれん発作はないそうだ。

 胸部CTで両側肺野に淡いすりガラス陰影が広がっていた。放射線科の読影レポートではconsistnet withとなっていた。あのいかにもコロナのという陰影ではない。

 血液検査で、白血球12200・CRP12.6とCOVID-19としては上昇していた。重症化指標の血清フェリチンが1372と上昇している。酸素吸入2L/分として、レムデシビル点滴静注を開始した。

 咽頭痛など自覚症状を伝えられない可能性がある。客観的に把握できる発熱の発症からは2日目になる。病状の進行が危惧された。

 夜間に酸素吸入量が増加して、水曜日の朝には4L/分になっていた。午前11時ごろに感染病棟に入ったが、酸素飽和度は92%と下がっている。5L/分で96%となった。

 そのまま当院で診るのは無理と判断した。基幹病院ではその日の午前中に3名退院して、感染病棟に少し余裕ができる。保健所に連絡して、高次医療機関への転院が必要と伝えた。午後に基幹病院へ転院が決まった。

 抗てんかん薬の内服ができなくなると、点滴静注薬へ切り替えなければならなくなる。てんかん専門医もいらっしゃるので、何とかするのだろう。

 

 同じく火曜日に入院したCOVID-19の42歳男性も、胸部X線で両下肺野に肺炎像(すりガラス陰影)があった。若いが脳出血後遺症で左半身麻痺がある。発熱と呼吸苦を訴えて、入院となった。

 こちらは咽頭痛がひどく、食事摂取ができないくらいだったが、酸素飽和度は正常域だった。レムデシビルを点滴静注して、水曜日には咽頭痛が軽減して少し食べられるようになった。呼吸苦があったので、酸素吸入1~2L/分にしていたが、それも中止できた。

 この患者さんのすりガラス陰影も、胸膜直下ではなく、下肺野のもやもやした陰影だった。放射線科の読影レポート(同じ先生)ではやはり、consistent withだった。

 

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子宮留膿腫

2022年08月03日 | Weblog

 月曜日の午後に、救急外来・発熱外来を診ていた先生(大学病院総合診療科)から入院依頼があった。尿路感染症の93歳女性で、3週間前から発熱があり、食欲不振もあるので入院でという。

 認知症でアリセプトとメマリーが処方されている。手押し車を押して、少しだけ歩行できたが、発熱が続いてからは寝たきり状態となり、両側の踵に褥瘡ができていた。

 通院しているクリニックでレボフロキサシン内服が処方されていたが、効いていないようだ。キノロン耐性大腸菌だろうか。確かに尿混濁はあり膿尿・細菌尿だが、高齢女性は無症候性があるので、他疾患を否定しないと確定できない。

 救急外来に行って、血液培養2セットと尿培養をオーダーした。看護師さんがオムツを見て、帯下が付着しているという。確かに黒褐色の分泌物があった。

 胸腹部CTを確認した。肺炎像はなかった。肝胆道系にも明らかな異常はなさそうだ。尿路閉塞の所見はなかった。左下腹部に嚢種状の構造がある。子宮内に膿瘍がたまっているように見える。

 婦人科医に連絡すると、救急室に降りて来てくれた。CTを見てもらうと、溜まってますね、という。婦人科外来にストレッチャーを移動した。

 看護師さん2人といっしょに介助した(手足を押さえるだけ)。経腟エコーで子宮内の膿貯留が確認された。ネラトンカテーテルを挿入して引くと、汚い灰色の膿が30mlくらい引けてきた。そのまま培養検査に提出された。(以前に診た子宮留膿腫では大量に膿が貯留していたので、それに比べると量は少ない)

 クロマイ膣錠を挿入して終了となった。また溜まるかもしれません、と言われた。経腹エコーで確認するのは難しいかもしれない。

 抗菌薬は、婦人科医に確認してセフメタゾールで開始することにした。点滴500ml2本とセフメタゾール1日2回で治療して経過をみる。

 

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