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なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

消化管エコー

2017年12月11日 | Weblog

 土曜日に入院した右下腹部痛の31歳女性は、入院後に解熱して腹痛も軽減した。骨盤腹膜炎疑いで婦人科外来を受診したが、子宮・卵巣に異常はなく、婦人科的には問題なしとされた。産婦人科医に直接訊いたが、骨盤腹膜炎とは言えないという。排卵痛がひどい場合があるので、それかもしれないという。高熱・腹膜刺激症状・炎症反応上昇は普通ないそうだ。少しは出血を伴うというので、そのような症状が出ないとはいえない。入院後の症状軽快が速く、抗菌薬は入ったが、感染症らしくない印象がある。症状が突発したことからも、排卵痛(+出血に伴う症状)だったもかもしれない。結局確定診断がつかず、推定で終わりそうだ。(研修医にお勧めの本)

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 下痢・発熱から血便になった82歳女性は血便もなくなり、炎症反応も改善(ほぼ陰性化)した。便培養で有意な菌は出なかった。昨日の消化管エコーセミナーで病原性大腸菌の症例が出ていて、当院の以前の症例でもそうだが、上行結腸壁の肥厚が目立つはずなので、違うようだ。虚血性腸炎だけでも説明しがたい。感染性腸炎+(脱水・血圧低下からの)虚血性腸炎と判断したが、あくまで推定。

 先週末から肺癌と卵巣癌の80歳代女性2名の緩和ケア(どちらも塩酸モルヒネ持続点滴)をしていたが、昨日肺癌の女性が亡くなった。卵巣癌の女性も現在血圧50台で下顎呼吸となり、時間の問題になっている。

 当院の検査技師さんは消化管エコーを行っていて、小児科では急性虫垂炎はエコーで診断している。内科からの消化管エコーのオーダーがないのは、こちらが消化管エコーを良く知らないから。「消化管エコーの基本走査」1080円を購入したが、これは小冊子なので、成書を購入しなければならない。セミナーの出席者は技師さんが多いようだが、病理の話や「疾患をよく知らなければならない」というのは技師さんには酷かもしれない。医師が聴く分には興味深かったが。

 

 

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突然発症の右下腹部痛

2017年12月10日 | Weblog

 昨日は日直で病院に出ていた。31歳女性が突然の右下腹部痛で救急搬入された。突然の発症で、まずは尿管結石を疑ったが、腹部エコーでは右水腎症はなかった。下腹部の腸管はよくわからない。

 突然の右下腹部は動かれないほどだったという。30分ほどひどかったが、その後ある程度自制可能になって持続していた。右下腹部に圧痛・percussion tenderness・反跳痛を認める。血液と尿検査を提出した。白血球数23000、CRP0.0と炎症反応急性期の所見だった。貧血はない。

 生理出血が終わって10日目で生理から約2週間経過している。妊娠反応は陰性。妊娠以外で突発するものとして卵巣嚢腫茎捻転・卵巣出血など婦人科疾患が疑われた。骨盤腹膜炎や、虫垂炎・結腸憩室炎では腹痛が突発はしないと思うが。

 腹部造影CTの結果を見るしかない。回盲部の下側(尾側)に糞石を認めた。認めたが、虫垂炎かというと何ともいえない。その内側に正常な虫垂が見えるようだ。糞石の周囲脂肪織に炎症像は乏しい。卵巣嚢腫茎捻転ではないが、右卵巣の周囲がごちゃごちゃして読み切れない。卵巣出血なのか。

 外科で診てもらったが、今すぐ手術とはならず、外科病棟に入院して抗菌薬投与で1日経過をみることになった。もう少し内臓脂肪があると読影しやすいのだが、やせている患者さんはむずかしい。体温は救急搬入時は37.1℃だったが、その後38~39℃に上がった。

 今日は、消化管エコーセミナーに行ってきた。受講料3200円。成田赤十字病院の長谷川雄一先生のライブレクチャーはわかりやすかった。

 

 

 

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感染性腸炎+虚血性腸炎?

2017年12月09日 | Weblog

 木曜日の昼に整形外科の若い先生から相談された。整形に入院している82歳女性が嘔吐下痢から血便が出たという。腰椎圧迫骨折で入院して、その後リハビリ病棟に入っていた。

 腰痛が軽快して、外泊してきたそうだ。前日の水曜日に病院に戻ってから、まず嘔気・嘔吐があり、その後水様便が4回くらい出た。38℃近い発熱もあった。相談された木曜日には解熱して下痢(血清ではない)も治まったが、昼ごろに血便が出た。

 院内の問題ではなく、少なくとも最初の症状は、自宅での食事による感染性腸炎が疑われる。今回の入院で抗菌薬投与はない。嘔気が治まって、食事はしていた。点滴をしていたので、便培養を提出して、腸管の状態をCTで確認してもらうことにした。その後午後2時になって、血液検査の結果腎障害があり、血圧が70台に低下したという。

 病棟に診にいくと、意識清明で普通に会話はできる。腹部は平坦・軟で左下腹部に圧痛があった。血便をとって置いたので見せてもらった。赤黒色でタール便ではなく、腸からの出血だった。

 腹部単純CTで見ると、下行結腸~S状結腸壁がやや肥厚しているように見える。腸管出血性の感染性腸炎も考えられるが、感染性腸炎になって、その後腸管の血流低下から虚血性腸炎を併発した可能性がある。

 内科クリニックから心不全の処方も受けているので、点滴の速度を調整して持続点滴とした。午後6時には血圧100になって、尿が200ml出始めていた、尿カテーテルを挿入した時の濃縮尿よりは薄い尿になっていた。徐脈になっていたので、処方薬のワソラン・ジゴキシンは中止した。

 翌金曜日には血圧は戻り、尿も十分出ていた。血清クレアチニン・炎症反応も改善していた。まだ左下腹部痛が軽度にあり、点滴は少し減量して、週明けまで持続点滴で経過をみることにした。徐脈も改善して、前日の調律不明(上室性ではある)から正常な洞調律になった。

 便培養で何か病原菌が出るか?。この患者さんは当院の看護師さんの母親で、看護師さんを含めて他の家族は無症状。

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糖尿病足病変(壊疽)

2017年12月08日 | Weblog

 月曜日の夕方に63歳男性が糖尿病足病変で受診した。時間外になる直前で当直医が外科医だったので、そのまま救急外来へ回された。1週間前の左足底のちょっとした外傷から足底・足背に炎症(化膿)が広がった。

 外科に入院したが、保存的に治療できる状態ではなく、翌々日の水曜日に、足関節の近位で切断術が行われた。その後は義足が付けやすくするため、再手術(もっと近位で切断)になるそうだ。

 当院は受診としては初診になるが、会社の健診を当院で受けていたので、これまでの検査結果が残っていた。10年間前はHbA1c8.6%と普通の健診で発見される糖尿病の値だった。その後HbA1cが10%、13%と上昇した。

 3年前に治療が開始されて8%台に改善している。今年はHbA1c7.7%でコントロールのそれほど良くない普通の糖尿病相当になっていた。内科医院の処方はDPP4阻害薬とSGLT2阻害薬で、最近治療を開始したという組み合わせだった。

 尿蛋白は陰性、血清クレアチニン0.97mg/dl(eGFR61)とまだそれほどではなかった(眼科も受診予定)。抗GAD抗体陰性で、Cペプチドは1ng/ml弱で低下している。内科の若い先生がインスリン強化療法を開始した。

 無治療の期間がもったいない。健診を受けても治療に結びつかないと意味がないが、たまにこういう方がいらっしゃる。まだ比較的若いので、いずれ退院になったら糖尿病の専門外来(大学病病院糖尿病科から)に回したい。

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めまい2例

2017年12月07日 | Weblog

 月曜日の午後に、救急外来から2名のめまいの患者さんを入院させた。ひとりは当院に工事で来ていた業者の61歳男性で、病棟内で下を向いて設計図を確認していて、上を向いた瞬間に回転性めまいが発症した。

 車いすで救急室に連れて来られていた。意識清明で麻痺はない。頭痛はなく、その時の話では耳鳴・難聴はありませんと答えた。じっとしていればめまいがないが、頭位変換で回転性めまいが生じる。

 頭部CTは異常がなかった。午後に耳鼻咽喉科外来(大学病院から)があったので診てもらった。耳鼻咽喉科医から連絡が来て、静止した状態でも左向きの眼振があり、BPPVではなく前庭神経炎ではないかという。左中耳に浸出液が貯留して中耳炎もあった。すぐにはめまいが治まらないので入院治療にして下さいと依頼された。鼓膜切開をしたが、抗菌薬を使用するような膿性ではないそうだ。

 入院翌朝には、すっかりめまいは消失していて、ベットに座って新聞を読んでいた。突然発症と翌日の完治からはBPPVと思われたが、静止時の眼振は合わない。中耳炎が鼓膜切開で良くなってめまいが改善したということはあるのか(それも回転性めまいが)。

 2週間くらい前に風邪症状があり、その後中耳炎になって、医療センターの耳鼻咽喉科で診察を受けていた。数年前に中咽頭癌で治療を受けてフォローされていた。耳鳴はないが、左耳は難聴になっていた。経過からは前庭神経炎様だが、めまいが突発して翌日完治はないと思う。次週にまたそちらの耳鼻咽喉科の予約があるというので、そのまま退院にした。

 もう一人は73歳女性で、ゆらゆら・ふらふらの訴えだった。朝から症状があり、良くならないので救急要請した。内科医院に高血圧症・脳梗塞後遺症(ラクナ梗塞)で通院していた。いろいろな訴えが続いたためか、精神科受診を勧められて、最近通院し始めたそうだ。そちらの処方はデパスとベルソムラだった。

 断続的に「ああ~」と声を上げて、過呼吸になっては戻る。年齢もあるので一通り検査したが、異常はなかった。いつものアタラックスPを点滴静注で入れるとけっこう落ち着いた。家族の希望もあり、入院で経過をみることにした(個室希望なのでOK)。入院後もいろいろと訴えがあるが、救急搬入時のような険しい表情はないので、そのうち退院できるだろう(たぶん)。

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胃瘻造設

2017年12月06日 | Weblog

 昨日も胃瘻(器具)交換を行った。通常担当している消化器科医が、現在職場復帰リハビリ中で仕事を制限しているので、当方が行っている。週2例ずつ行っていて、こんなにも胃瘻で経管栄養を行っている患者さんがいるんだと驚いている。

 以前当院にいた先生が盛んに内視鏡的胃瘻造設(PEG)を行っていて、400例を超えてさらにせっせと行っていた。看護師さんが「PEG職人」と揶揄していた。造設時の内視鏡を頼まれて(消化器科の先生が忙しくて付き合ってくれない)、時々穿刺もさせてもらっていた。

 当時が全国的に胃瘻造設のピークで、その後は批判的な意見も出て、家族が希望しないケースも増えた。NHKで、胃瘻を広めた国際医療福祉大学外科の鈴木先生が、症例を選ぶようになり、全国の弟子たちを訪ねるという番組を流したのを見た。

 現在当院は症例を選んで行っているというか、あまり行わないようになっている。ちょっと前から「自然死」を勧める先生方の著書も出ていて、基本的には賛成だ。90歳前後の嚥下障害の患者さんには、胃瘻造設はしていない。最小限の点滴+数口の経口摂取で経過をみて、1~2か月の経過でお看取りしている。

 火曜日の胃瘻交換に98歳女性が来た。当院でさかんに胃瘻造設をしていたころの方で、「PEG職人」先生が作成していた。今年で12年目になる。四肢が拘縮して、すごい格好になっている。「あーあー」という発声しかできない。誤嚥性肺炎で入院することもなく、遠方の施設で経管栄養が行われている。やめることはできないので、今後も経管栄養は継続される。

 交換のため前回の器具を引き抜くと、胃内にあるはずの先端部がなかった。切れて、胃内に落ち込んだようだ。経鼻内視鏡で位置確認をしているが、取り出すことも㘅かえて、経口内視鏡に切り替えた。胃底部に先端があり、ワニ口鉗子で摘出した。スパッときれいに分離していた。そのままでも便に出ると思うが、分かった以上はそのままにもしにくい。めったにないことなので、経緯をメーカーに伝えることにした。

 今日は嚥下できないパーキンソン病(レビー小体型認知症)の68歳女性に胃瘻造設を行った。両側重症肺炎で地域の基幹病院へ転送して肺炎は幸いに軽快した。経口摂取はできず、当院に戻ってきた。年齢的にあきらめるということにはならないので、この方は行うしかない。

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肝腫瘍

2017年12月05日 | Weblog

 11月に2週目の日曜日に82歳男性が、早朝からの発熱・悪寒戦慄で救急搬入された。その前に週に尿閉で早朝受診して、尿カテーテルが留置されていた。当院の泌尿器科外来は非常勤なので、当直医(大学病院からのバイト医師)は泌尿器科クリニックに紹介した。その後はそちらのクリニックに通院して、膀胱洗浄?をしていたそうだ。 

 尿路感染症からの菌血症を疑って、尿培養・血液培養を提出した。尿検査では尿路感染症と確定できる所見はなかった。といって、肺炎もなく他の部位の感染症もはっきりしなかった。胸腹部単純CTで肝臓内の複数個所に腫瘤があり、肝膿瘍も考えたが、複数個所にできるのか。

 抗菌薬投与で翌日から解熱して炎症反応も改善した。前立腺炎だったかもと思ったが、泌尿器科クリニックからキノロンが処方されていて、考えにくいかもしれない。PSAは正常域で、前立腺肥大はさほどではないように見えた(CT上)。泌尿器科医に相談して、ユリーフを1週間内服してから尿カテーテルを抜去してみることにした。結果は、ちゃんと自尿が出て、カテーテル挿入は不要になった。

 さて肝腫瘍の精査と、造影CTを行った。「肝血管腫(非典型的)に一致する」という読影レポートだったが、「他疾患も否定できず、造影MRIを勧める」とあった。造影MRIを行ったが、読影レポートは肝細胞癌・胆管細胞癌・転移性肝癌も考えられると、かえってわからなくなった。

 ご本人の話では、60歳代に肝腫瘍で精査したことがあるそうだ。ただ検査したことは覚えているが、結果は覚えていない。消化管の悪性腫瘍はなく、肝炎もないし、胆管細胞癌の形ではないような気がする。血管腫でいいんじゃないだろうか。

 検査結果をお話して、癌だとしても年齢と複数か所にあることから、治療はないので経過を見ましょうと伝えた。「年だし、癌でも仕方ないです」ということだった。

 この方は知的な仕事をされていたが、70歳代半ばで離婚(老年?離婚)されて、現在は一人暮らしの身だ。心療内科に通院していた既往がある。現在は子供とも連絡がつかない状態で、兄弟とも疎遠だ。ケアハウス的なところに申し込んで、空くまでは自宅でヘルパーさんに入ってもらって生活する。まあ今回は尿カテーテルが抜去できてよかったということにしよう。

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血便で輸血

2017年12月04日 | Weblog

 昨日の日曜日は昼過ぎまで病院にいて帰った。スターバックスとドトールをハシゴして、坂本壮先生の本をけっこう読めた。今日はamazonに注文していた「病歴と身体所見の診断学」徳田安春著(医学書院)が届いていた。

 一昨日の土曜日に血便で入院した73歳女性は入院した夜にまた血便が出た。ふだんのHb12g/dlが受診時に9.8g/dlに下がっていて、翌日曜日には6.4g/dlまで下がった。血圧は100ちょっとあるが、点滴していての血圧なので、しなければショックだ。輸血(濃厚赤血球4単位)を行って、今日はHb9.9g/dlまで戻った。血便は昨日ちょっとだけあったが(少し残った分が出た?)、その後はなかった。

 発作性心房細動(薬剤抵抗性)で抗凝固薬(リクシアナ)を内服していた。洞調律を保っているのを確認して出血の入院翌日分から中止したので、昨日からは効いていない。この辺はNOAC(DOAC)の便利なところ。

 受診した日に腹痛はないと言っていたが、チクチクとした感じはあったらしい。普段から下剤を飲んでいて、時々チクチクするので気にしなかったそうだ。入院した日の夜間には腹痛を伴って血便が出た。憩室出血は憩室がないので否定されて、vascular entasiaは証明するのが難しい。両者とも基本的には腹痛を伴わないので、腹痛で血便だとやはり虚血性腸炎が疑われる(腫瘍はCT上ない)。後は大腸内視鏡のタイミングだけになる。

 四肢末梢のしびれと脱力?で神経内科に時期をずらして2回紹介した85歳女性が、体動困難で入院していた。神経疾患とは考えにくく、「糖尿病性神経障害では」いう結論(仮診断?)になっている。微熱があり、肺炎・尿路感染症は否定的だったが、軽度に炎症反応上昇もあった。血液培養を提出してセフトリアキソンで経過をみていた。

 昨夜から38℃の発熱があり、今日診にいくと、左膝関節を痛がっていた。案外元気でへらへらとしゃべっている。偽痛風疑いでX線検査をしたが、OAの変化で関節裂隙が狭窄してよくわからない。NSAIDで経過をみて、改善しない時は整形外科と相談することにした(すぐ穿刺するべき?)。

 今週も土曜日日直で、そのまま病院に泊まって待機する予定。日曜日のセミナーの出席があやしくなってきた。これもamazonに注文していた「橋本夢道物語」も届いた。橋本夢道は自由律俳句「妻よおまえはなぜこんない可愛いんだろうね」の作者。写真をみると、確かに可愛い奥さんだった。

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肝硬変・糖尿病

2017年12月03日 | Weblog

 昨日日直が終わって院内で待機していると、当直の外科医から67歳女性の入院を依頼された。主訴は腰痛で動けないというものだが、肝硬変があり、糖尿病の血糖コントロールも悪かった。

 糖尿病で少し遠方の病院の内科に通院していた。インスリンは混合製剤のノボリン30Rを朝夕しているが、それぞれ32単位とけっこうな量だった。HbA1c8.7%で随時血糖が414mg/dlあった。

 頸椎症・腰椎脊柱管狭窄症で整形外科医院に通院していて、浮腫と腹水に対する利尿薬は、先月からそちらから出ていた(内科からウルソが処方されているので、肝疾患とは認識しているはずだが)。入院治療依頼の紹介は整形外科から来ていた。当院は初診になるので、糖尿病で通院している病院に依頼してほしいところだ。

 両下肢の浮腫があって、蜂窩織炎ともいわれていたという。浮腫から「水が染み出ます」と言って包帯を巻いていたが、外してみるとそれほどではない。糖尿病壊疽とはいえない。肝硬変の原因としては、HBV・HCVは陰性で、アルコールでもない。胆道系酵素の上昇が目立ち、PBCなのかもしれない。週明けに抗核抗体と抗ミトコンドリア抗体を提出することにした。

 CTで明らかな肝硬変で腹水が貯留しているが、外見よりは少なかった。腹部膨満は皮下脂肪がかなりあるので、大量腹水に見えるが、実際は中等量くらいだった。

 よくわからない時の腹水時腫瘍マーカーセットを出してみると、AFP・CEA・CA19-9は正常域でCA125が1320と高値だった。10年前に子宮・両側卵巣摘出術を受けている。卵巣癌だったのかと訊いても、そうは言われていないそうだ(家族に訊いてもあいまいだった)。

 癌の転移と化膿性脊椎炎も考えたので、腰椎MRIも撮影したが、どちらも否定的だった。腰部の皮下組織に高信号があり、そこに蜂窩織炎はなさそうだが、何を反映しているのかよくわからない。

 糖尿病はインスリン強化療法で治療を開始する。腹水・浮腫はまず通常の利尿薬で開始してみる。微熱と炎症反応軽度上昇があり、血液培養を提出して、抗菌薬(セファゾリン)も開始した。明日、放射線科・整形外科と相談しよう。

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血便

2017年12月02日 | Weblog

 今日は日直で病院に出ている。外来受診は比較的少なく、まだインフルエンザは流行していない。

 73歳女性が血便で救急外来を受診した。腹痛・発熱はなく、腹部は平坦・軟で圧痛もない。1か月くらい前に行った上部消化管内視鏡検査では胃幽門前庭部の浅いひらんが散在していたが、出血はなかった。下部は診ていない。直腸指診をすると、真っ黒なタール便ではなく、赤味のある黒色便だった。腹部CTで見ると、虚血性腸炎らしい所見は指摘できない(憩室は以前のCTでもない)。

 BUNが軽度に上昇して、Hbがふだんの12g/dlが9.8g/dlに低下していた。入院して点滴で経過をみて、消化管内視鏡検査は週明けに考慮することにした。

 この患者さんは不明熱で入院して、成人スチル病(仮診断)としてプレドニンで経過をみている。薬剤抵抗性の頻脈性心房細動で2回循環器病センターのある専門病院に紹介して、電気的除細動の治療を受けた。10月にも脳梗塞で入院しているので、内科病棟のお得意さんになってしまった。

 2か月の女児が便に血液が混じって心配ということで受診した。便は普通便(きれいな黄色)でひとすじの血液があった。肛門を見ると、小さく亀裂があり肛門からの出血だった。すでに止まっているので、小児科からもらっている軟膏をそのまま使用してもらうことにした。

 パーキンソン病で当院神経内科に通院している67歳男性が便秘で受診した。内科クリニックからアミティーザ・ラキソベロン液・レシカルボン坐薬が処方されている。便秘は以前からで1日おきくらいの排便だった。直腸指診をすると肛門に痔核がある。便は直腸内に来ているので、浣腸(グリセリン浣腸120ml)をした。便が大量に出て、すっきりして帰宅となった。モサプリドと酸化マグネシウムを追加して、一度外科で痔核をみてもらうよう勧めた。今日はよく肛門を見る日だった。

 今月感染管理の院内勉強会(大学病院の抗酸菌の詳しい先生に依頼)は、「抗酸菌感染症」がテーマなので、「結核・非結核性抗酸菌症を日常診療で診る」佐々木結花編著(羊土社)をそれまでに読んで読んでおくことにした。

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