なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

癌患者さんの紹介

2017年12月29日 | Weblog

 今週2名の癌患者さんが外来に紹介されてきた。いずれも今すぐ入院ということではなかった。

 ひとりは79歳女性で、「右上葉肺癌」だった。内科医院から基幹病院呼吸器内科に紹介されていた。以前から右上葉にわずかな陰影があって、胸部CTが施行されたが、その時点では診断は困難だったらしい。最近の胸部CTでは明らかな肺癌の陰影だった。縦隔リンパ節に転移していて、浸潤もしている。手術はできないので、放射線療法と化学療法が提案されたが、患者さんは希望しなかった。

 後は当院で最期まで経過を診て下さいという紹介だった。症状は咳で、通常の鎮咳剤は効かず、基幹病院で処方されたリン酸コデインが効いたという。内科医院には高血圧症・糖尿病で通院している。

 呼吸器センターのある病院から当院の呼吸器科外来に来てもらっている先生に相談した。治療する気があればやっみるが、その気がなければ2か月おきのフォローと言われた。改めて患者さんに治療について相談したが、治療を受けたくはないという。まずはリン酸コデインを処方して、年明けに来てもらうことにした。

 診療情報提供書に首都圏に娘さんがいるが疎遠とあった。胸部大動脈瘤破裂で大動脈ステント挿入を大学病院で受けていた。その後、娘さんは施設に入れようとしたが、それは拒否したそうだ。それだけでもなく、もともと関係はよくなかったらしい。当地の温泉に来て1年過ごした。当地が気に行ってアパートを借りて住むようになった。娘さんとは6年間会っていないが、友人とは交流がある。癌のことを娘さんに必ず伝える様にというと、直接だとケンカになるので、友人を通して伝えると言っていた。近い将来入院した時には、病院も含めて娘さんともめそうだ。

 もうひとりは63歳男性で、がんセンターからの紹介だった。「舌下腺癌・多発転移」で放射線療法・化学療法を受けていて、今後もがんセンターに2週間に1回通院する。進行して終末期になっら入院治療をお願いしたいという紹介だった。治療的にははがんセンターのホスピスの方がいいと思うが、家族の来やすい地元の病院の方が良いのだろう。右頸部がかなり腫脹している。食道の通過が悪くなり、先週胃瘻造設の処置を受けていた。 

 今度受診した時に、気管切開するかどうか相談になるという。確かに気道狭窄をきたて急変したら、気管挿管は無理だろう。緊急気管切開は当院外科でできると思うが、わかっていればそれは避けたい。待機的に気管切開してもらわないと、穏やかな終末期にはならない。

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