神経内科で進行性核上性麻痺・パーキンソン症候群と診断された69歳が先月両側性の誤嚥性肺炎で救急搬入された。嚥下障害は進行していたが、それまで重症肺炎はなかった。施設に入所していて、息子が東京で仕事をしているので、市内に住んでいる妹さんが責任者になっていた。人工呼吸をするかどうかという判断もあるが、基幹病院の呼吸器内科に搬送した。
何度か肺炎は軽快したが、家族の話では何度か心臓が止まったという。当院に転院してきたが、末梢の点滴で経過をみて、最終的にはDNRという話になっていた。
ただ年齢が60歳代で、見た目は10歳くらい高齢には見えるものの、その方針でいいのか迷う。当院に戻ってからは病状は落ち着いていた。STの評価で経口摂取は到底無理と判断された。
通常は年齢が比較的若い神経疾患では、神経内科の依頼で胃瘻造設・経管栄養を行っている。何度か家族と相談(といっても妹さんを通じての息子と相談になったが)して、胃瘻造設で長期に生存できる処置をしてみて、それでダメならその時点で諦めるということになった。
胃瘻造設は順調に終わり、経管栄養を始めたばかりだった。今日突然心室細動になり、心肺蘇生を行って、心拍は再開したが、自発呼吸がわずかにあるだけになった。血圧は辛うじて60mmHgあるようだ。息子さんに電話すると、今からこちらに向かうという。用手的に人工呼吸をしていたが、人工呼吸器につないだ。
心拍が続くところまで経過をみるが、長くはもちそうにない。胃瘻造設は結果的には余計な処置をしたことになるのだろう。