なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

暴れています?

2017年12月21日 | Weblog

 昨日の午後に、内科外来から30歳代半ばの男性が暴れていますという連絡が来た。土木工事(重機の運転)をしていたが、体調不良を訴えたので、同僚が休ませた。それでも苦しがっているようなので、何とか当院の外来に連れてきた。外来の看護師さんたちが、ストレッチャーに乗せて救急室に運んだが、むやみに動き出そうとするので5人くらいで抑えた。

 救急室に行ってみると、患者さんはじっと目を閉じてうずくまっているが、身をよじって動き出す。話かけても眼をあけず、返答もしなかった。発熱はない。同僚の話では、朝から調子が悪そうだったという。今年精神科を受診したらしいという話も出たが、詳しいことはわからないそうだ。会社を経営している兄が来るので、それを待つことにした。

 印象としてはパニックかと思ったが、発症してからの時間経過が長く、閉眼して返答しないのも合わない。時間外受付にいる警備会社の方に来てもらって、いっしょに抑えた。生食を点滴して、セルシン5mgを静注して動きが少し治まった。両手で頭を押さえているので、頭痛があるか訊いてみたが返答はない。

 頭蓋内出血を否定するために、頭部CTを行うことにした。身体に触ると暴れるので、まずCT台に乗せて、体幹部を固定した。頭を振るのが治まったところで撮影することにしたが、撮影を開始したとたんに動いて、Take1は失敗した。放射線技師さん2人が抑えてくれて、なんとかTake2で撮影できた。頭蓋内出血はなかった。生食20ml+セレネース5mgを用意して、まず半分量を静注した。少し落ち着いてきたのでそのまま経過をみることにした。

 1時間ほどしてまた救急室に行くと、開眼して話ができるようになっていた。まだすっかりではないが、落ち着いてきたようだ。兄が来ていたので、話を聞いた。半年前に急に暴れて?、その時は警察が介入して、精神科病院に連れて行ったそうだ。1週間措置入院して退院していた。精神科では、大したことはないような話だったという。

 精神病ではないようで、ふだんはそれなりに仕事をしているようだ。ただ起き上がる時に、「薬を使っているのでボーッとしてふらつきますよ」、と声をかけると、同僚が「ふだんからボーッとしてるから」と言っていたので、そういう評価ではあるらしい。患者さんはピアスとタトゥーがあり、きちんとした兄とはだいぶ違う。

 単にパニック発作としていいのかわからない。繰り返しているので、精神科を受診して相談することを勧めた。入院した病院はちょっと遠方なので通院しにくいという。自宅から近い受診しやすい精神科病院をいくつか伝えた(今日は当市内で作業していた)。

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腸管(嚢胞状)気腫症・腹腔内遊離ガス

2017年12月20日 | Weblog

 施設に入所している80歳女性が数日前からの腹痛で、昨日救急外来を受診した。

 陳旧性心筋梗塞・うっ血性心不全・高血圧症で治療を受けている。当院の循環器科医がいなくなる時に、悪化した時に診てもらえるように、基幹病院循環器内科に診療情報提供書が出されていた。ただ認知症でADLがかなり悪く、その後に心不全が悪化した時も家族の希望で当院内科に入院していた。通常の治療に反応せず、いよいよ悪化した時はDNRの方針になっていたが、幸いに軽快して退院できた。

 腹膜刺激症状はないが、腹部CTで遊離ガスが大量にあり、腸管壁内に小さな気腫像が多発していた。腸管(嚢腫状)気腫症だった。門脈ガスはなかった。この病気になりそうな既往歴・薬剤はないようだ。外科に入院して経過観察となったが、このガスは吸収されるのだろうか。

 地域包括ケア病棟ができてからレスパイト入院を始めている。一昨日入院した80歳代後半の男性は主治医の紹介病名が誤嚥性肺炎になっていた。いつ誤嚥性肺炎になってもおかしくない方だった。昨日入院した100歳男性も食事摂取ができなくなっていて、往診診ている主治医が肺炎の治療を繰り返していたらしい。

 ふたりとも入院時には誤嚥性肺炎になっていて、レスパイトではなく普通の入院になった。レスパイト入院は地域医療連携室の事務が決めているので、病状がまったくつかめない状態での入院になってしまい、今後の見直しが必要となった。クリニックの先生の誤解もあるようだ。地域包括ケア病棟の(看護)師長さんが慌てて、内科病棟の師長さんと交渉していた。

 

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幽門狭窄

2017年12月19日 | Weblog

 日曜日に他院からイレウス疑いで当院外科に55歳男性が紹介されていた。外科の当番の先生が対応して、イレウスではなく、胃の幽門狭窄の診断でNGチューブを挿入して入院になった。

 月曜日に内視鏡検査(大学病院からの応援医師担当)が行われていた。幽門の全周性に腫瘤様の盛り上がりがあり、内視鏡は通過しないとあった。生検していたので結果はどうなったのかと確認すると、陰性(groupⅡ)だった。

 改めて経過と画像をみると、十二指腸潰瘍の既往があり、先月も心窩部痛で他院を受診してタケキャブの処方を受けていた。症状は軽快したが、中断したらしい。生検で癌が出なかったというのが分かって見ているが、腹部CTで幽門部は全周性に肥厚しているが、浮腫状で腫瘍のようではなかった。

 内視鏡像を消化器科医といっしょに見た。幽門の全周性の隆起はやわらかく、中心部に潰瘍面があるが、良性でいいのではという。入院後にNGチューブを抜去しても嘔吐はないので、胃液は通過しているのだろう。PPIを静注しているので、軽快してそのまま治るのかもしれない。1~2週間後に内視鏡再検(改めて生検?)というところか。

 昔は十二指腸潰瘍による幽門狭窄は時々みたが、最近はあまり見ていない気がする。

 

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十二指腸後球部潰瘍

2017年12月18日 | Weblog

 61歳女性が日曜日に心窩部痛・食欲不振で救急外来を受診した。内科医院に関節リウマチで通院している。メトトレキサートとプレドニンが処方されていた。PPIなどは処方されていない。

 内科日直の先生(非常勤)が診察して点滴が開始されていた。入院になる患者さんを診に行ったときに、この患者さんも診察した。2日前の金曜日に発症して、その後は食事をとっていないという。腹部は平坦・軟で心窩部に圧痛がある。

 この方は当院には通院していないが、毎年春に当院で個人健診を受けていて、胃のバリウム検査を受けて異常なしだった。腹部エコーは胆嚢腺筋症と胆嚢ポリープと診断されていた。再検すると、胆嚢壁が確かに肥厚していて、有茎性のコレステロールポリープが1個だけあった。心窩部痛の原因にはならなさそうだ。胃の症状と思われた。

 独身のひとり暮らしで、親戚とも仲が悪くて疎遠だという。入院しての検査を勧めたが、家で飼っている4匹の猫の世話があるのでできないという。点滴終了後に帰宅として、今日再受診してもらうことにしていた。

 今日上部消化管内視鏡検査を行うと、胃粘膜が萎縮してコアグラのついたびらんが数か所あった。この程度かと思って内視鏡を進めると、十二指腸球部の上十二指腸角から下行脚にかけて、白苔のついた斑状~線状の浅い潰瘍が多発していた。いかにも痛そうだ。

 この形の病変は特殊だが、原因はなんだろうか。リウマチの治療薬は以前からの処方で、最近のものではない。胃酸の問題かというと、胃粘膜萎縮からみて違うような気もする。結腸だったら虚血性腸炎と表現するような形態だが、血流の問題なのか(ウイルス性?全くわからない)。以前高齢者で十二指腸下行脚の多発性潰瘍の患者さんがいて、これといった確実に効きそうな処方はできなかったが、なんとなく治った。

 内視鏡中にアルサルミン(内用液)を出してみたいと思ったので、まずそれを出して、タケキャブとムコスタも処方した。点滴中に1回分内服してもらった。やはり猫がいるからと入院に同意せず、今日も外来で点滴して明日また外来受診とした。

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「骨関節内科」

2017年12月17日 | Weblog

 medicinaの2017年12月号「骨関節内科」をamazonで予約購入。medicinaは定期購入はしていなくて、特集が「当り」の時だけ購入している。今回の特集は「大当たり」の予感がした。まだ読み始めたはかりだが、予想通りの良書だった。

 「欧米では整形外科医は手術のみをする医師で、骨関節の診療は内科医(や家庭医)が行っている」とあった。確かに、鑑別診断や全身疾患であるリウマチ膠原病の診断も必要なので、内科で診るべきなのだった。これまでけっこう整形外科まかせにしてたと反省。

 

 商品の詳細

 昨日は近くの温泉に一泊。山沿いは朝に雪がけっこう振っていたが、午前中には晴れた。今日は内科当番で病院に出ている。入院中の80歳代の高齢者2名が誤嚥性肺炎をきたして、治療を開始した。糖尿病・自己免疫性肝炎で通院していた80歳代女性は、うつ状態・食欲低下して、もう殺してくれ~と興奮している。今日の外来は嘔吐・下痢が目立ち、感染性胃腸炎のこれも高齢者がまず入院した。

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抗インフルエンザ薬の予防投与

2017年12月16日 | Weblog

 木曜日にリハビリのスタッフが高熱で近医を受診して、インフルエンザと診断された。前日の水曜日にリハビリを行った患者たちさんは2日経過をみて発熱はなかった。さらに慎重に経過観察となった。

 金曜日に別のリハビリスタッフが高熱で近医を受診して、インフルエンザ迅速検査は陰性だったそうが可能性はある。前日の木曜日はたまたま休みだった。前日の水曜日にリハビリをした患者さんたちは、2日経過した金曜日の段階で発熱・咳はない。こちらも慎重に経過観察となった。

 水曜日に2か所の病院が当院に来て、感染管理の相互評価(今回は当院を評価)を行った。それぞれの病院の感染管理認定看護師さんは男性で、かなり積極的な活動を行っている(他院での講演も)。冬季のインフルエンザとノロウイルス対策について協議したいという要望があり、それぞれの病院での対策を述べ合った。

 患者さん(大部屋での同室者)への抗インフルエンザ薬の予防投与は3病院とも行っていた。原則職員への予防投与は原則として行っていないが、状況に応じて予防投与も行うという点でも一致していた。昨年度、当院では職員への投与も行った。

 問題点として、病院のドクターどうしがお互いに抗インフルエンザ薬を出し合ったりするそうだ。そうすると、目的は予防投与でも保険病名としてインフルエンザになるので、インフルエンザに罹患した職員が出勤して仕事をしていることになってしまう。感染管理室に無断で行うので困るという。

 あとタミフルを予防投与で出したとして、本当に10日間ちゃんと内服しているのかという問題もある。数日内服して症状がないとやめてしまうだろう。イナビル吸入の方がいいという意見もあった。

 職員への予防投与は数10万円かかるが、必要な時はきちんと対策を講じた方がいい。昨年は時期の問題だったかもしれないが、予防投与を開始してから終息した。「インフルエンザ院内感染」は社会的インパクトも大きい。

 病院の厨房職員はどこも委託業者が入っていて、10月から3月まで月2回ノロウイルス検査(PCR)を行っているそうだ。問題は病院職員である管理栄養士で、調理にはまったくかかわっていないが、試食はする。ひとつの病院は管理栄養士のノロウイルスの検査を実施していたが、2つの病院は実施していなかった。これは行っていなかった病院も今年から実施することになった。大量調理マニュアルが11月から改訂されて、3月の実施から厳しくなるという。

 感染管理加算をとるためでもあるが、他院との感染管理相互評価はいいシステムだと思う。

 

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膵尾部癌

2017年12月15日 | Weblog

 昨日医局で他の内科の先生と話をしていると、内科外来を診ていた先生から、背部痛・倦怠感で紹介された70歳代前半の男性のことで報告があった。内科クリニックに糖尿病で通院していて(血糖コントロールが悪化したかどうかは不明)、先月半ばから背部痛が出現していた。疼痛が続き、倦怠感も加わってきて紹介になった。湿布を処方していて、小柴胡湯の処方があるので、血液検査で肝機能障害があったようだ。

 結果の出ているところでは、肝機能障害があり、腹部エコーで肝臓内に複数の腫瘤があった。提出した腫瘍マーカーと、腹部CTの結果をみることにした。

 腹部CTの結果、膵尾部に腫瘍があり、脾臓・左腎臓に浸潤しているようだ。エコーの所見と同様に(単純なので肝転移はエコーの方が見やすい)、複数の腫瘤(転移巣)を認めた。胸水・腹水もある。腫瘍マーカーはCEAが270で、CA19-9は>120000となっていた。診断は膵尾部癌(周囲臓器への浸潤)・多発性肝転移。

 検査結果が全部出たのは午後になってからだった。地域の基幹病院消化器内科の外来予約をとろうとしたところ、思いがけなくその日のうちに診てもらえることになった。診断確定後に、腫瘍内科に回されるのだろう。何とか治療の適応があるといいが、緩和ケアのみと判断される可能性もある。

 検査室で腫瘍マーカーが高値の時は、希釈をやめたところで「>数字」が出てくる。以前CA19-9は>7000で、その後>12000と数字が増えてきていた。今回の値は初めて見た。

 今日は依頼で脳梗塞の高齢女性に、内頚静脈からエコーカイドでCVカテーテルを挿入した。血管を縦軸(走行に沿って)で見て挿入したのは初めてだったかもしれない。今年はなかったはずの忘年会での挨拶が回ってきて、面倒だなあと思っているところ。

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当直お疲れ様です

2017年12月14日 | Weblog

 昨日帰る時、救急外来に救急搬入中の立札が出ていて、覗いてみた(その日内科のオンコールだった)。当直の看護師長さんだけいて、60歳代後半の女性が交通事故で外傷性くも膜下出血をきたして搬入されたという。搬入時に心肺停止になって、蘇生術で心拍だけ戻ったそうだ。すでに患者さんはICUに行っていた。当直の外科医は大変だなあ、と思いながら帰った。今朝車まで病院に来る途中、ラジオのニュースでその患者さんのことが報道されていた。意識不明の重体と伝えていた。

 昨夜の当直帯での受診を確認すると、朝方に腹膜炎の80歳代女性が救急搬入されていた。腹腔内に遊離ガスが多量にあり、横行結腸の背側に腹腔内に漏れた糞便が大量に確認できる。画像では肝弯曲からちょっと肛門側にいった横行結腸に穿孔をきたしたようだ。その手術の真っ最中で、別の外科医がその後の救急外来の対応をしていた。

 昼過ぎに当直だった外科医が医局に戻ってきたので訊いてみた。穿孔をきたしたのは画像で見えたその部位で、癌はなかったそうだ。憩室があったかもしれないが、わからないという。救急室で家族に説明している時にショックになって、気管挿管していた。腹腔内の洗浄が大変だったと言っていた。ICUで人工呼吸管理になっているが、厳しい状況。昨晩の交通事故の女性は昼過ぎに亡くなったという。

 担当の患者さんでは、大学病院脳外科から転院して緩和ケアを継続していた65歳男性が、そろそろ血圧低下・呼吸微弱で時間の問題になっている。午前中かと思われたが、まだもっている。リウマチ性多発筋痛症(PMR)で入院していた69歳女性が週明けに施設に入所することになった。認知症があり、娘さんと暮らしていたが、日中一人になるので在宅は厳しい。施設の嘱託医が診るようになるので、プレドニンの漸減予定を細かく診療情報提供書に記載した。

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症状は気管支炎

2017年12月13日 | Weblog

 月曜日に90歳女性が内科クリニックから紹介されてきた。超高齢(90歳以上が超高齢者)ではあるが、ほぼADLは良好な方だった。12月になってから、発熱・咳・痰が続いて、クリニックからレボフロキサシン内服が処方されている。症状が続いて、その日クリニックでクリンダマイシン点滴静注とアミノグリコシド筋注も追加されての紹介だった。培養を出す気がしない。

 胸部X線で明らかな異常がないが、白血球数8800・CRP7.6で細菌感染と判断されるので胸部CTも施行したが、肺炎像はなかった。症状からは急性気管支炎・気管支肺炎(経過とともに陰影が出現?)と判断される。けっこう広範囲で収縮期雑音が聴取された。

 この患者さんは10月末に貧血・腎機能障害(血清クレアチニン1.3~1.5mg/dl)・CRP上昇・断続的な発熱で、当院の腎臓内科(大学病院から出張)に紹介されている。腎臓内科セットともいうべき、ANCAを含む外注検査が出されたのかと思ったが、出ていなかった。外注検査としては骨髄腫疑いの血清・尿免疫電気泳動が提出されて異常はなかった。腎性貧血とはいえないとして、経過観察となってクリニックに戻されていた。

 その日は点滴だけ行って、翌日に血液培養2セットと喀痰培養(抗酸菌塗抹も含む~陰性)を提出した。培養提出後にセフトリアキソン1g点滴静注を開始したが、今日は解熱していた。食欲も出てきた。インフルエンザ・RSウイルス・ヒトメタニューモウイルスの迅速検査は陰性。症状からは気道の細菌感染だから、セフトリアキソンで治ればまったくのcommon diseaseになる。

 ただ10月からの問題があり、そちらもできる範囲で精査することにした。血沈118mm/時など何か隠れている状況証拠があり、かなり気持ち悪い。

 それにしても、クリニックの先生の抗菌薬乱れ打ちはどうしたんだろう。必ずカルバペネム系点滴静注しながら搬送する別のクリニックの先生と違って、乱用する先生ではなかったはずだが。

 昨日人工呼吸器を装着した68歳女性は、血圧測定不可の状態で一晩もった。夕方東京から息子さんが帰ってきて、一晩付いていた。今日はVFから洞調律への変化を数回繰り返して、昼過ぎに亡くなった。

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除細動はできたが

2017年12月12日 | Weblog

 神経内科で進行性核上性麻痺・パーキンソン症候群と診断された69歳が先月両側性の誤嚥性肺炎で救急搬入された。嚥下障害は進行していたが、それまで重症肺炎はなかった。施設に入所していて、息子が東京で仕事をしているので、市内に住んでいる妹さんが責任者になっていた。人工呼吸をするかどうかという判断もあるが、基幹病院の呼吸器内科に搬送した。

 何度か肺炎は軽快したが、家族の話では何度か心臓が止まったという。当院に転院してきたが、末梢の点滴で経過をみて、最終的にはDNRという話になっていた。

 ただ年齢が60歳代で、見た目は10歳くらい高齢には見えるものの、その方針でいいのか迷う。当院に戻ってからは病状は落ち着いていた。STの評価で経口摂取は到底無理と判断された。

 通常は年齢が比較的若い神経疾患では、神経内科の依頼で胃瘻造設・経管栄養を行っている。何度か家族と相談(といっても妹さんを通じての息子と相談になったが)して、胃瘻造設で長期に生存できる処置をしてみて、それでダメならその時点で諦めるということになった。

 胃瘻造設は順調に終わり、経管栄養を始めたばかりだった。今日突然心室細動になり、心肺蘇生を行って、心拍は再開したが、自発呼吸がわずかにあるだけになった。血圧は辛うじて60mmHgあるようだ。息子さんに電話すると、今からこちらに向かうという。用手的に人工呼吸をしていたが、人工呼吸器につないだ。

 心拍が続くところまで経過をみるが、長くはもちそうにない。胃瘻造設は結果的には余計な処置をしたことになるのだろう。

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