なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

ヘイリー・ヘイリー病って

2016年09月20日 | Weblog

 昨日の敬老の日は日直で病院に出ていた。78歳男性が発熱で歩行できなくなって受診した。炎症反応が上昇して、肺炎か尿路感染症を想定して検査した。胸部X線・胸部CTで肺炎を示唆する浸潤影はなかった。尿混濁もなかった。この方は昨年他の総合病院で右膝関節の人工関節置換術を受けていた。普段は杖歩行していて、術後の右膝の状態がわからないが、ここ数日は歩行しにくくなっていたそうだ。右膝関節に熱感・腫脹・膝蓋骨の浮動感があった。何でもない左膝関節と比べると明らかに違う。膝関節のX線は人工関節なので良くわからない。よく見るのは膝関節の偽痛風だが、少なくとも石灰化像はなかった。NSAIDで経過をみるのもあるが、これは手術した病院で診てもらった方がいいと思った。休日でダメもとで連絡したところ、日直の内科医師が受けてくれた。膝関節の状態は局所的なもので、高熱の原因は内科でみるような疾患が隠れている可能性もあるが、そこの内科(リウマチ膠原病科も兼ねている)は当方よりは上手に診てくれるだろう。

 救急隊から、皮膚科に通院している80歳男性が発熱と四肢痛で救急要請されたと連絡が来た。皮膚科の病気で四肢痛?、リウマチ性多発筋痛症のようなもの?、とよくわからなかったが来てもらった。両側腋窩と鼠径部に径10㎝以上の皮疹があり、素人目には大きな乾癬のように見えた。発熱はたしかにあり、炎症反応も上昇していた。何でも皮膚の病理診断でもヘイリー・ヘイリー病とされていたが、皮膚科医が大学病院皮膚科に紹介していた。3日前に大学病院を受診していて、発熱に対して経口セフェムが処方されていた。皮膚病変からの発熱と判断されたそうだ(まあ経口セフェムでは効かないでしょう)。皮疹の部位が部位なので、四肢痛というのは上下肢を動かしたときに皮疹が引き伸ばされて痛いのだった。

 本来は発熱をきたす病気ではないので、やはり肺炎・尿路感染症など他の部位の感染症を疑って検査したが、はっきりしなかった。2年前に肺炎で入院している。胸部CTで両側下肺背側に多少スリガラス様陰影があるようにも見えるが、重力の問題かもしれない。皮疹は赤味が目立ち、バリアーの破綻した皮膚から細菌感染を併発してもおかしくないと思われた。とりあえず内科で入院としたが、今日皮膚科で引き取ってくれた。明日大学病院の予約が入っているが、とりあえずは当院皮膚科で入院継続となるようだ。ヘイリー・ヘイリー病は遺伝性となっていてこの方は違うが、肉眼的組織学的には当てはまるのだそうだ。面白い名前なので、遥か昔に聞いた記憶がある。

 82歳男性が血便で受診した。赤黒い便が2回出たそうだ。腹痛はなく、虚血性腸炎ではなさそうで、憩室出血疑いだった。腹部造影CTを撮影すると、S状結腸に多発性の憩室があり、腸管内内容物の濃度からは、直腸からS状結腸に血便が充満している。S状結腸壁内か内腔に線状に造影剤が写るところがあり、気持ちが悪い。この方は心房細動で抗凝固薬を内服していた。朝の分は飲ませなかったそうだ。そのまあ止めるとして、出血はすぐには止まらないだろう。貧血はふだんのhB12g/dlが11g/dlだった。入院として経過をみたが、朝まで7回血便が出た。血圧は130で安定していて、溜まった血便が出ると言っておいたので、連絡はなかった。今日はhB7.8g/dlと低下して、輸血することにした(ラッキーなことにちょうど院内の同じ血液型の濃厚赤血球ストックが6単位分あった)。消化器科医に相談すると、あまり大腸内視鏡に乗り気ではなかったが(見ても出血部位同定が困難だから)、消化器科で引き受けてくれた。

 以上、結果的に3例とも自分で診ないことになったという休日の診療だった。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

病院総合診療学会~続き

2016年09月19日 | Weblog

「HIV~総合診療科でHIV感染症をどのようにして見つけるか?」 HIV感染患者数は頭打ちで減ってはいない。CD4リンパ球数700~1000を保つ。現在は抗原抗体スクリーニング検査なので拾い上げに充分。確診はウェスタンブロット法でRNA定量。治療はARTで、2012年から全例治療。診断のきっかけは、1)急性HIV感染症、2)たまたまスクリーニング検査で陽性、3)患者さん自身が心配で検査、4)STDの既往から検査、5)AIDS発症。急性HIV感染症は、特異的な症状はなし。感染後2~6週で発症、症状は数日~10週間だが2週間以内が多い。鑑別は伝染性単核球症(IM)・A型肝炎・B型肝炎・梅毒・インフルエンザなど。IMの原因ウイルスは、EBV(42%)、CMV(27%)、HIV(3%)で前者2つが陰性の時に検査。とにかく疑ったらHIV検査。HIV感染+日和見感染・AIDS指標疾患=AIDS。リンパ腫はCD4値に関係なく健常者の10倍発症。

「膠原病」 演者の照屋周造先生は症状の組み合わせをクリアカットに説明された(今後注目したい先生、著書はまだないようだ)。他科からリウマチ膠原病科への紹介は、1)抗菌薬で解熱しない、2)NSAIDsで疼痛が改善しない、3)抗体検査したら陽性、が多い。もう少し検討をつけてからの紹介希望と。膠原病は病理学的な名称で、「リウマチ疾患rheumatic disease」がお勧め。患者さんを不安にさせないためには、1)病気の知識を持って、2)病態には個人差があること、3)診断・治療に時間がかかること、4)管理可能であること、を伝える。

 膠原病は4つに分類される。1)抗核抗体陽性型、2)関節炎型(関節痛があるが、発熱・臓器障害に乏しい)、3)血管炎型(発熱・臓器障害)、4)自己炎症性疾患型(ベーチェット病や成人Still病で、診断がそろうまで待つ)。診断は病歴(発熱・急性か慢性か)、身体所見(関節症状・皮膚粘膜病変・筋病変)、検査(臓器障害・RF/ACPA、ANA、ANCA)。RAは自己免疫性慢性多発関節炎。手関節以遠は小関節。DIP・1MTPは除外。

 RAの基準を満たさないnot RAのその後は、自然寛解・RA発症・同じが1/3ずつ。対応はpain controlか抗リウマチ薬使用か。治療は、生物学的製剤(専門医へ)・MTX・BUC・SASPで、左にいくほど効果があり、右にいくほど安全性が高い。MTX使用時は(HBV・TBをチェック)。T2Tで寛解か低疾患活動性を目指す。

「神経内科コモンディジーズ」 沖縄県立中部病院の吉田剛先生。クリアな講義だったが、頭が付いて行かず、お勧めの「めまい診療シンプルアプローチ」を購入した。わかったのは脳卒中を疑ったらCTを先にとる。これは確か。以前いた脳外科の先生がMRIで出血を間違えた。心源性脳塞栓・アテローム血栓症・ラクナ梗塞の画像の診かたを説明(正確に覚えていない)。t-PAを使用する時は、大動脈解離をチェックすること。t-PAは使用しないが、脳梗塞と思ったら大動脈解離で頸動脈に及んでいた症例あり。脳梗塞にしては?と思った時は感染性心内膜炎を疑う(特に出血を伴う時)。

 めまいは末梢中枢を問わず、急性の変化は回転性、慢性の経過は浮動感。指鼻試験などは小脳上部の障害で起きるので、小脳下部の症状は歩行させないととれない(小脳梗塞)。救急室でのMRIは脳梗塞を12%見逃す~再検する。片頭痛ではトリプタン製剤を使用するが、基本薬で皮下注薬などの種類があるのはイミグラン、速効性ではマクサルト、アマージは半減期が長い(こくまで少し時間がかかる)。

「女性診療」 妊婦もACLSを施行可能。子宮を左方移動させて下大静脈の圧迫をとる(還流増加)。除細動も施行可能。死線期帝王切開(心停止に陥った妊婦に母体蘇生のため緊急帝王切開)は漫画の「コウノドリ」に描かれていた。女性の下腹部痛は、1)妊娠関連、2)月経周期関連、3)男女ともに起こる疾患。妊娠の有無は、性器出血は月経とは限らないこと、問診はあてにならないことを認識して、尿の妊娠反応で確認する。腹痛+妊娠は、正常妊娠と確定できないうちは、異所性妊娠を考える。妊婦の事故では、腹痛と性器出血を訊く。妊娠中の放射線被曝は50mGy未満で、CTでもOK。MRIは妊娠14週以降で安全だが、それ以前でも安全な可能性がある(アメリカ放射線学会)。放射線に影響によらず、自然奇形が3-5%、自然流産が15%あることを伝えておくこと。妊娠中授乳中の禁忌薬は、スタチン・ACE阻害薬とARB、MTX、ワーファリン、後期のNSAIDs。ワクチン可能。タミフルも可能。造影剤はヨードもガドリニウムも可。演者の水谷佳敬先生が「お母さんを診よう」南山堂を勧めていたので購入した。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

病院総合診療学会

2016年09月18日 | Weblog

 9月16日・17日は日本病院総合診療学会に初めて参加した。東京品川での開催で参加しやすかった。品川プリンスホテルのNタワーに宿泊した(いつの間にかできていたビジネスホテル)。時間がなくて利用できなかったが、17階に自由に使える仕事用のスペースがある(今回は朝食サービスだけ利用)。ここも東京に宿泊する時の候補になる。次世代リレー教育講演を中心に聴いていた。

 「+αのスキル」 リーダーシップには、上位下達型双方向型奉仕型(サーバントリーダーシップ)の3タイプがあって、状況に応じて使い分ける。上位下達型は、初期研修医の指導や外科系での指導で行われる。奉仕型は、それぞれすでに独立した人たちに対するもので、自由にやってもらって何か問題がある時だけ相談に乗ってアドバイスをする。リーダーシップは後天的に獲得できるものだという。

「AIDS」 HIV感染と判明したら、CD4値に関係なく全例ART(Anti-Retroviral Therapy)を即時開始する(一生涯治療継続)。日本での新規発症はHIVが1000人、AIDSが400人。問題点は、AISDが進行して診断される例、HIV感染者の高齢化、HANDS(HIV-associated neurocoginitive dysfunctionHIV関連神経認知障害)、ARTの長期継続による副作用。HIV感染者の死亡原因は、AIDS・肝疾患・心血管疾患・非AIDS悪性腫瘍。 HIV感染では10%でHBV感染併発。genotype Aの欧米型が多く、慢性化しやすい。核酸アナログで治療。ART導入後にHBVの免疫再構築症候群に注意。HCV感染併発ではDAA(direct acting antiviral)で治療(非HIVと同じ効果)。 

「パーキンソン病」 パーキンソン病は50際以降に発症し、70歳で100人に1人、75歳で100人に3人発症。日本の患者数は20万人。黒質ドパミン神経細胞の変性脱落で起き、発症時は30%に減少している。細胞内にレビー小体が形成され、αシヌクレインを含む。症状は運動症状と非運動障害。運動症状の動作緩慢が含んで筋強剛・静止時振戦姿勢保持不安定のうち3つ以上あれは診断される。特徴は片側から発症すること。

 診察では、症状を取りにいく必要がある。静止時振戦は、1)リラックスさせる、次に2)精神的に負荷をかける(100-7を言わせるか、野菜の名前を10上げてもらう)と輸発される。筋強剛は、対側の手でグーパーをさせて誘発する。姿勢反射障害は、患者さの後ろに立って、後ろに引くことを伝えてから強く引く(正常は2歩で止まる)。公費負担の目安になるので強く引いて陽性を引き出す?(オフレコ)。検査はMIBG心筋シンチグラフィー(交感神経心臓枝の障害)とDaTSCAN(ドーパミントランスポーター)。

 治療は、L-ドーパ(レボドパ)で予後10年以下から20年以上になった。年齢が70歳以上あるいは生活に障害があれば、L-ドーパで治療を開始70歳未満あるいは軽症では、ドパミンアゴニストで開始。(抗パーキンソン病薬はすべて対症療法薬で、疾患の進行を抑える作用はない) L-ドーパでwearing-off(効かない)、dyskinesia(効きすぎ)が起きるが、経過とともに治療域が狭くなることで起きやすくなる。外科治療で深部刺激療法がある。

 5年は薬が効きやすい時期(ハネムーン期)があるが、効果が減弱して不随意運動が目立つようになる。非運動症状(嗅覚低下、レム睡眠行動障害・便秘など)は運動症状が出現する前から現れる。意外な症状としては鼻漏は健常者の3倍ある。鑑別としての脳血管性オパーキンソニゾムは症状が下肢を強く出ること、左右差がないことが違う。「パーキンソン病の診かた、治療の進め方」水野美邦著を読んでみよう。

「つかえ感」 機能性ディスペプシアは、内視鏡検査で明らかな器質的異常がないにも関わらず、上腹部症状をきたす。症状は食後愁訴症候群(食後後の胃もたれ感・早期膨満感)と心窩部痛症候群(心窩部痛・心窩部灼熱感)。胃食道逆流症GERDは、びらん性GERDが4割、非びらん性GERD(NERD)が6割。PPI常用量8週間投与で9割は改善するが、1割は改善しない(PPI抵抗性GERD)。薬剤調整(漢方薬、消化管運動改善薬を追加)やPPIの変更(倍量投与)を行う。食道運動障害のうち、食道アカラシアは下部食道括約筋(LES)の弛緩不全と食道蠕動波の消失を認める(3型に分類され、造影でわかりにくい型も)。治療は薬物治療(硝酸薬など)・食道バルーン拡張術・手術(経口内視鏡的筋層切開術POEM・腹腔鏡)。

 特別講演で、獨協医科大学の総合診療科を立ち上げた、志水太郎先生の講演があった。大学病院などの大病院での総合診療は、主に診断医学diagnostic medicineということだ。診断力をつけるにはという質問に、自分で診た患者さんのその後の経過を確認すること、と答えていた(一応全例ではないが、している)。地方の中規模病院では遥かに低いレベルになるが、少しずつ診断力をつけるのが楽しみで診療している。あと、できる先生の著書を買って、サインしてもらうのが趣味?。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

医療ドラマ

2016年09月17日 | Weblog

 医療ドラマとしては、古くは「ER」を見ていた。NHKの衛星放送でリアルタイム(日本でのだが)で見ていて、DVDボックスの廉価版を購入していた。初期のメンバー(グリーン・ロス・ルイス・ベントン・カーター・キャロル)が次々にいなくなってからは、大分関心が薄れて、自然に見なくなった。結末を確認するため最後のシリーズⅩⅤは購入した。カーターが戻ってきて、腎臓移植を受けていた。ERはシリーズⅠ~Ⅴまで見れば十分だ。せめてグリーンとカーターだけは残して、その他のメンバーが入れ替わるという形にした方が、継続性があってよかったと思う。シリーズⅩⅤまでというのはさすがに長すぎた。

 「ドクターハウス」は全巻見た。診断学としては面白い。途中で患者さんが心肺停止に陥って、最後は何とか助かるというのはドラマの構成上仕方がないのだろう。診断の勉強になると評判だった。ただ薬物依存で精神的に不安定なハウスは最終的に破滅してしまう。癌治療をあきらめた唯一の親友ウィルソンとバイクで明るく走っていくシーンで終わるが、その先は両者の死しかない。

 「グレイスアナトミー」は女性医師メレディス・グレイの研修医からの成長の話だ。登場する医師たちが、次々に悲惨な目に合うのが、見ていて痛々しい。まだシリーズは続いている(はず)。

 日本のドラマでは、生坂政臣先生監修の「踊るドクター」があった。主演は東山紀之さん。また続編をやらないかな。

 昨日から病院総合診療学会に来ている(東京品川)。この学会に来たのは初めて。    

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

jmed「成人吸入薬のすべて」

2016年09月16日 | Weblog

 倉原優先生の「成人吸入薬のすべて」を読んだ。本当にすべてで、掃除法・廃棄法まで書いてある。吸入薬戦国時代と言う通り、多数(といっても数種類ずつだが)の吸入薬が出ていて、どれを使うべきか迷ってしまう。この本を見てやっと全体像がわかった。

 それぞれの種類で効果に優劣はないというが、吸入アドヒアランス(ちゃんと吸入できて継続できる)を良くすることを考慮して選択する必要がある。

 ICS(吸入ステロイド薬)は、pMDI(加圧式定量噴霧式吸入器)のオルベスコ・キュバール、DPI(ドライパウダー吸入器)のパルミコート・フルタイド・アズマネックス。フルタイドを処方する患者さんはいなくなってしまった。アズマネックスを処方したことはない。喘息ではISC/LABAの処方で開始することが多く、そのまま継続する傾向がある。

 ICS/LABAは、ほとんどがDPIで、アドエア・シムビコート・フルティフォーム・レルベアで、アドエアはpMDIもある。以前から使用している患者さんではアドエアが多く、新規ではシムビコートが多い。レルベアは最近少しだけ処方し始めた。

 LABA(長時間作用性β2刺激薬)は、いずれもDPIのセレベント・オンブレス・オーキシス。LABAの処方は退職した先生から引き継いだ患者さんにオンブレスを継続しているだけで、あとはいない。以前セレベントを数名に処方していたが、今はいない。COPDにLABAで治療開始することがないためだろう。

 LAMA(長時間作用性抗コリン薬)は、ソフトミストのスピリーバとDPIのシーブリ・エクリラ・エンクラッセ。処方しているのはスピリーバレスピマットだけ。新規の患者さんをあまり診ていないので、新しい製剤が出ない。

 LAMA/LABAは、ソフトミストのスピオルトとDPIのウルティブロ・アノーロ。これはまだ処方していない。

 これからはDPIがきちんと吸入できる患者さんでは、エリプタで統一して、エンクラッセ・アノーロ・レルベアで行こうとも思うが、このシリーズはICS単剤の製品がない。安定した喘息患者さんにICS/LABAで継続するのは過剰治療になるので、ICS単剤への変更を考慮することと記載されている。

 一番困るのはpMDIに付けるスペーサーにいいものがないことだ。推奨されている本格的なエアロチャンバープラスやオプティチャンバーダイアモンドではなくて、推奨はされていないが簡単なオルベスコ専用スペーサーのようなビニールの小さなものの方が使いやすい。作るのに100円もかからないだろうから、全部のpMDIで使えるスペーサーが市販されないだろうか。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

好酸球性肺炎だったそうです

2016年09月15日 | Weblog

 8月22日に記載した41歳女性の両側性肺炎。消化器科に潰瘍性大腸炎で通院している(治療はアサコール内服)。1週間以内の症状ということだったが、UCでの前回受診時に炎症反応上昇があり(UCの症状は安定)、1か月くらいの経過かもしれなかった。

 抗菌薬投与に反応せず、両側肺の背側末梢を中心に非区域性(ぐるっと横に広がっている)の浸潤影(air bronchogramを伴うconsolidation)を認めた。若干スリガラス陰影もあった。

 器質化肺炎疑いで地域の基幹病院呼吸器科へ紹介した。電話で相談した時に、ブロンコで検査しますということだった。今日返事が来ていた。肺生検で器質化肺炎の所見があり、気管支肺胞洗浄液(BALF)で好酸球48%。プレドニン30mg/日から開始して、改善したそうだ。現在は外来通院になっている。

 アサコール開始後の症状で、薬剤性のものと判断されるという。同院の消化器科には潰瘍性大腸炎に詳しい先生がいるので、相談してプレドニンを漸減すると記載されていた。いつもながら頼りになる先生だ。ありがとうございました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

バイパスした甲斐があった

2016年09月14日 | Weblog

 今日の内科再来に90歳男性が受診した。今年の5月連休明けに心窩部痛と貧血で内科医院から紹介されてきた。消化器科医だが、貧血が目立つので、内視鏡検査なしでの紹介だった。上部消化管内視鏡検査を行うと、胃角部から幽門にかけて全周性に近い腫瘤を認めた。幽門狭窄を呈している。生検するまでもないが、groupⅤと出た。感染性心内膜炎を併発していたことが判明して、その治療も開始された。

 根治術は無理と判断されたが、年齢の割にかなり元気だった。家族の強い希望もあり、そのまま諦めるという選択はなく、5月末に外科転科してバイパス術(胃空腸吻合術)が行われた。術後経過は順調だった。感染性心内膜炎の治療を途中で経口薬に切り替えて退院した。

 退院後は内科外来に通院となった。暑い時期を乗り切ってまだまだ元気だ。トラクターを運転して畑仕事をしているという。危険なのでやめるよう言ったが、家族も無理に辞めさせる気はないらしい。貧血は鉄剤投与で安定していて、輸血の必要はない。半年もてばラッキーと思っていたが、なんとか到達しそうだ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

結局だめでした

2016年09月13日 | Weblog

 1か月前に肺炎で入院した86歳男性が今朝亡くなった。循環器科で急性心筋梗塞にPCIを施行した既往があった。その後は慢性閉塞性肺疾患+気管支喘息(今時だとACOSか)でステロイド依存状態だった。肺炎の併発によるCOPD急性増悪で何度も入院して、外来主治医だった内科の若い先生が苦労して診ていた。もうダメと判断されて、DNRの方針となったこともあった。何とか、乗り切って外来通院していた。ベットサイドを少し介助で動くくらいだったので、家族2~3名の付き添い付きで来る。院内では当然車移動になる。

 主治医の退職でこちらの外来に回ってきた。最近は認知症の症状として騒ぐことがあり、お嫁さんが困っていた。患者さんが診察室を出た後に、お嫁さんがまた入ってきて、介護がは大変なことをこぼしていた。喘鳴が常にあり、消えることはなかった。

 外来で2回診た後に、肺炎併発でCOPD急性増悪して1か月前に入院した。肺炎は軽快したが、喘鳴がひどく、デカドロン16mg/日を点滴静注して、それにソルメドロールも入った。喘鳴がもう改善しないかと思われたが、粘っているうちに何とか軽減した。ステロイドの漸減を普通の倍かけてゆっくり行った。ステロイドが点滴静注から内服になって、小康状態になったが、また誤嚥性肺炎をきたした。

 そこからまた肺炎の治療を再開したが、肺炎自体が悪化して軽快していた喘鳴も悪化した。今回の入院2回目の、家族(長男夫婦)との相談となった。家族はもう難しいならばとにかく呼吸苦だけ楽にしてほしいと希望された。良性疾患ではあるが、緩和ケア的治療も加えて経過をみたが、昨日夕に血圧が下がった。今晩でしょうとお話したが、朝方までもって亡くなった。

 今月長男も喘鳴で外来を受診していた。やはり喫煙者だった。肺気腫像はなく、若干の気管支影肥厚くらいで慢性気管支炎相当だった。父親とまったく同じACOSになる。吸入ステロイドを開始して症状は軽快しているが、ちゃんと禁煙するのだろうか。

 地域医療連携室から、東京の大学病院に入院中の70歳代半ばの女性の転院依頼がきていると連絡があった。なんでもIgG4関連疾患とされているが、ステロイドで軽快せず、悪性疾患(頭頸部耳鼻咽喉科領域)を疑って精査しているが、診断がつかないらしい。何度も重症の感染症を併発していた。身寄りは当地の弟だけなので、当院に依頼ということだった。2ページにわたってびっしりと記載された診療情報提供書をみると、当院で手におえる気はしないが、弟さんと話し合ってから決めることにした。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

またCOPか

2016年09月12日 | Weblog

 内科医院から81歳男性が、胸部打撲後の胸痛精査で当院外科に紹介された。血液検査をすると炎症反応が症状していて(白血球数11000、CRP27)、胸部CTで両側肺に陰影を認めたため、両側肺炎として内科に回されてきた。

 3日前にグランドゴルフをしている時に、目の前が暗くなって倒れてしまった。かかりつけである内科医院に救急搬送されたが、本人がそこにしてくれと救急隊に希望したので、すぐに意識は戻ったのだろう。暑い日だったので、熱中症の症状かと判断されて、点滴を受けて帰宅した。今日は胸痛を訴えて再受診した。倒れた時に胸部打撲していて、「単純X線で骨折はなさそうですが、御高診下さい」という紹介だった。

 送られて来た胸部X線は鎖骨に重なって両上肺野に陰影があるが、気づかなかったようだ。なにしろ発熱がないので、肺炎という発想は出なかったのだろう。患者さんは年齢の割に元気で若々しく、その先生と一緒にソフトボールをしている仲間そうだ(先生自身も70歳手前だが元気だ)。さすがに食欲はいつもより低下していたので入院とした。あとで外科医も何ですかねえと言っていた。発熱がないので、奇異に思ったようだ。

 胸部CTを見ると、上葉にair bronchogramを伴う浸潤影consolidationがあり、その周囲をスリガラス状陰影が取り巻いている。発熱がないこと(あっても微熱だろう)、両側のそれも上葉に陰影があること、陰影自体の特徴から、抗菌薬に反応しない肺炎かどうかはまだわからないが、器質化肺炎を疑った。これだけの陰影でも酸素飽和度が96%(室内気)あるが、進行スピードがわからないので、安心できない。

 この前紹介した40歳代女性よりは陰影が広範囲なので、抗菌薬の効果をみる前に紹介することにした。さっそく基幹病院呼吸器科の先生に連絡すると、明後日の転院を手配してくれた。ありがとうございます。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

COPD+肺炎(+肺癌)

2016年09月11日 | Weblog

 今日は日直で病院に出ている。内科クリニックから連絡が来た。88歳男性の往診をしているが、入院治療が必要なのでお願いしたいということだった。昨年12月に胸部異常影で当院に胸部CTが依頼されている。右上葉に不整な腫瘤影があり、肺癌と診断されていた。もともとCOPDがある。年齢的に経過観察となっていた。

 昨日嘔吐していて、誤嚥性肺炎をきたしたのではないかという。ただ、先月から食事摂取が低下していた。寝たきり状態で、るいそうが目立つ。救急隊は酸素1L/分で搬送してきたが、喀痰吸引すると酸素飽和度が上昇して、酸素なしでもいいくらいだった。

 胸部X線・CTを確認すると、右上葉に腫瘤が前回より若干大きさを増して嵌入像が目立つようになっていた。全体的には肺気腫で、右中葉に浸潤影があった。誤嚥性肺炎として治療を開始した。肺炎は治癒しても、食事摂取が進まずに、誤嚥性肺炎を繰り返すという経過になるかもしれない。

 55歳男性は昨日下腹部痛で救急外来を受診していた。CTで尿道内(前立腺部)に結石があった。アセトアミノフェンの点滴静注で症状が軽快して、内服薬を処方されていた。また同様の痛みが増強しての再受診だった。下腹部は平坦・軟で圧痛はない。昨日の血液検査で血清クレアチニンが軽度に上昇している。尿沈査で赤血球100以上/HPFだから肉眼的血尿だった。尿管結石が下がってきたのなら通常排出するはずだが。ボルタレン座薬もどうかと思って。芍薬甘草湯を内服してもらうと、疼痛は軽減した。尿道結石なのか、明日泌尿器科のある病院を受診してもらうことにした。

 74歳女性が咳が出て苦しいと訴えて受診した。看護師さんから、要注意の患者さんですと言われた。時間外の受診が多い方だった。内科クリニックに通院しているが、他のクリニックも受診していた。症状を訊こうとすると、かかりつけ医の悪口から始まった。症状は一昨日からの咳だった。受診した際に胸部X線を撮ってもらえなかったと、怒っていた。発熱があっても微熱程度らしい。

 話を聞くと、1か月以上前から咳が続いて、あちこち受診していた。喘鳴ははっきり自覚しておらず、聴診上もなかった。一日中出るというが、夜間から早朝に多いらしい。胸部X線は異常なかった。胸部X線をとるのに、廊下で待っている時にけっこう激しくせき込んでいた。キャラクターに若干問題があるとしても、れっきとした身体的な問題だった。咳のし過ぎで疲れ切ったというのは本当だろう。感染後の咳かもしれないが、喘息かもしれない。ステロイドを点滴で入れて、経口で3日分内服として、吸入ステロイドで経過をみることにした。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする