内科医院から81歳男性が、胸部打撲後の胸痛精査で当院外科に紹介された。血液検査をすると炎症反応が症状していて(白血球数11000、CRP27)、胸部CTで両側肺に陰影を認めたため、両側肺炎として内科に回されてきた。
3日前にグランドゴルフをしている時に、目の前が暗くなって倒れてしまった。かかりつけである内科医院に救急搬送されたが、本人がそこにしてくれと救急隊に希望したので、すぐに意識は戻ったのだろう。暑い日だったので、熱中症の症状かと判断されて、点滴を受けて帰宅した。今日は胸痛を訴えて再受診した。倒れた時に胸部打撲していて、「単純X線で骨折はなさそうですが、御高診下さい」という紹介だった。
送られて来た胸部X線は鎖骨に重なって両上肺野に陰影があるが、気づかなかったようだ。なにしろ発熱がないので、肺炎という発想は出なかったのだろう。患者さんは年齢の割に元気で若々しく、その先生と一緒にソフトボールをしている仲間そうだ(先生自身も70歳手前だが元気だ)。さすがに食欲はいつもより低下していたので入院とした。あとで外科医も何ですかねえと言っていた。発熱がないので、奇異に思ったようだ。
胸部CTを見ると、上葉にair bronchogramを伴う浸潤影consolidationがあり、その周囲をスリガラス状陰影が取り巻いている。発熱がないこと(あっても微熱だろう)、両側のそれも上葉に陰影があること、陰影自体の特徴から、抗菌薬に反応しない肺炎かどうかはまだわからないが、器質化肺炎を疑った。これだけの陰影でも酸素飽和度が96%(室内気)あるが、進行スピードがわからないので、安心できない。
この前紹介した40歳代女性よりは陰影が広範囲なので、抗菌薬の効果をみる前に紹介することにした。さっそく基幹病院呼吸器科の先生に連絡すると、明後日の転院を手配してくれた。ありがとうございます。
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