なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

いきなり脳腫瘍

2012年02月20日 | Weblog
 70歳台前半男性。肺癌・脳転移。
 体調不良で内科開業医を受診していた。頭痛がひどく動けないと、その医院に連絡したところ、救急要請して当院を受診するよう指示があった。救急当番医師が対応したが、画像をみてほしいと私に連絡が来た。ビックリしたので、とりあえず呼んでみたというところだろう。見に行った時には放射線科医も来て、画像を見ていた。頭痛ということで検査した頭部CTには1cmくらいの転移巣と思われる腫瘤が少なくとも4か所はある。胸部X線・胸部CTで右下肺野に肺癌と思われる腫瘤を認めた。誰が見ても肺癌の脳転移であった。
 この患者さんは、胃癌と腹部大動脈瘤の手術を医療センター(元の国立病院)で受けていた。当院の脳外科医から、その病院の脳外科医へ連絡して、救急搬送となった。

 昨日の日曜日は内科日直で、外来多数と病棟の急変対応や2名の入院があり、今日も疲れが残っている。最近では一度当直をすると、その後3日から1週間調子が悪いが、日直でも外来の数が多い分けっこうな負担になる。今日は外来を済ませた後に病棟をさらっと回って、夕方少し医局で休みたいところだが、さてどうなるか。
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動けない・食べられない

2012年02月19日 | Weblog
 80歳台前半男性。動けない・食べられない。
 3日前に転倒してから(?)、動けなくなりずっと寝ていたらしい。そのまま動けなくなり、食事もできなかったという。結婚歴はなく、同じく独身の甥と同居していたが、甥も仕事で出かけるため、あまり介護はしていないようだ。その甥が救急要請した。
 搬入時、頻脈性心房細動だった。ワソランとジゴシン静注で心拍数が低下して正常域に近くなり、入院後に正常洞調律になった。尿閉があり、両側の尿管腎盂が軽度に拡張して腎前性腎不全になっていた。前立腺が不正に腫脹していて、癌が疑わしい。筋原性酵素が上昇していたのは2-3日起き上がれずに寝ていたことに関係しているのか、筋疾患なのか。頭部CT・MRIでは脳萎縮とラクナ梗塞があるのみで、新鮮な脳血管障害はない。点滴して入院したが、嚥下障害があり、むせてしまう。一昨年みた重症筋無力症の老女を思い出したが、これは違うか。
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抗うつ剤を多く飲んだ

2012年02月17日 | Weblog
 30歳台前半女性。抗うつ剤を多く飲んだ。
 数年前からさまざまな身体的な症状があり、総合病院で検査を受けたが、異常はなかった。精神科受診を勧められ、精神科クリニックを受診したが、症状が軽快しないため、クリニックを変えて数か所を受診していた。
 昨夜、処方された抗うつ剤を10日分いっぺんに飲んだ。死にたいと思ってという。家族が現在通院している精神科クリニックに電話したところ、体に異常がないかどうか内科で診てもらうようにと言われた。
 本日午前中に当院内科を受診した。ちゃんと歩行できるし、普通に会話もできて落ち着いている。神経症状を含めて身体的には異常なし。採血でも肝機能腎機能など特に異常なし。まあ、そのくらいの量では大丈夫だろうと思われた。かかりつけのクリニックでは、内科で検査して異常なければ、入院できる精神科病院に連絡すると言っているらしい。
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脾梗塞・肺梗塞

2012年02月16日 | Weblog
 50歳台前半の女性。脾梗塞・肺梗塞。
、診断も左側腹痛で他の病院から当院の消化器科へ紹介された。数日前からの症状で、検査では貧血(小球性)と炎症反応の上昇と尿混濁がある。腹部造影CTで脾梗塞があり、また子宮全体が腫大して腫瘍様に見える。婦人科医師へ相談された。貧血の原因は不正性器出血だろうか。
 脾梗塞については、血管外科医に相談された。腹部CTをみて、胸部は下部のみ写っていたが、肺動脈分枝の梗塞を指摘された。子宮の圧迫で深部静脈血栓症になって、肺梗塞をきたしたと思われた。居合わせた循環器科医から、卵円孔から血栓が右心系から左心系へ飛んで脾梗塞が発症したのではないかという意見が出た。
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腎梗塞

2012年02月15日 | Weblog
 60歳台男性。腎梗塞。
 昨夜9時から右下腹部痛が続いているという訴えで、本日午前8時すぎに救急外来を受診した。ほとんど通常の外来が始まる前だが、当直医師(大学病院からの応援医師)がまず診察した。以前尿管結石になったことがあるというので、尿管結石を疑った。尿検査で尿潜血(1+)・尿タンパク(2+)。私が救急外来に行って、バトンタッチした。腹部エコーで水腎症を確認しようとしたが、疼痛でつらそうだったので、まずボルタレン坐薬を使用した。
 今日は外来があったので、その合間に腹部エコーの結果を確認したが、水腎症はなくエコー上は疼痛の原因不明であった。虫垂切除術の既往があり、疼痛の部位は臍の右脇くらいのところだったが、ボルタレンで軽減していた。CVA tendernessはなし。あるとしたら大腸憩室炎かと思い、腹部造影CTを行なった。結果は右腎梗塞であった。自覚症状はなく、心不全症状もないが、心房細動があり、わかってみればよくあるパターンだった。
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インフルエンザ+肺炎

2012年02月14日 | Weblog
 30歳台前半女性。インフルエンザと肺炎。
 2日前に救急外来を高熱で受診して、インフルエンザ迅速試験でA型陽性だった。タミフルとカロナールを処方されて、翌日は37℃台になり、前日より気分もよ良くなったという。ところがその翌日再度高熱となり、心配で(患者さんの話)再受診した。咳はあまりないというが、診察中に痰がらみの咳を何度かしていた。意識は清明で体温以外のバイタルは異常なかった。ある程度食事もできるという。
 胸部X線で右下肺内側(中葉に相当)に淡い浸潤影を認めた。肺炎球菌尿中抗原陽性で(喀痰培養も提出)、白血球数とCRPが軽度上昇していた。肺炎球菌肺炎が合併したと判断した。
 入院したくないとのことで、外来治療とした。ロセフィンを1回点滴静注して、クラビット内服を処方してみた。翌日も外来にに来てもらい、朝の体温は36℃台になり、昨日より元気そうに見える。もう1回ロセフィン点滴静注して、クラビット内服を継続して、2日後に外来受診とした。
 これは二次性細菌性肺炎というよりは、混合性肺炎ということになるのだろうか。

 50歳台後半の女性。急性腎盂腎炎。
 前日から高熱があり、内科新患(大学からの応援医師担当)を受診した。発熱以外の症状はなく、胸部X線で肺炎はない。尿混濁があり、腎盂腎炎が疑われるが、CVA tendernessはない。肺炎以外の感染症や感染症以外の疾患も否定的だった。
 担当医師から連絡があり、急性腎盂腎炎と思われるが、入院したくないというので、どうしましょうとのこと。外来に見に行くと、患者さんは元気でハキハキとしゃべっている。尿培養を提出して、抗生剤(ロセフィン)の点滴静注をして、クラビット内服(3日分)を処方した。翌日受診としていたが、翌日患者さんから電話があり、昨日より調子がよく体温も37℃ちょっとだが、今日も病院に行かなくてはいけないかという(要するに今日は行きなくないと)。症状軽快していると判断して、あさって外来受診とした。

 肺炎や急性腎盂腎炎の外来治療は、点滴では半減期の長いロセフィンで、内服はニューキノロンにすることが多い。当院院内にあるニューキノロンはシプロキサン・クラビット・アベロックスで、クラビットを選択することが多い。いつも同じメニューになって芸がないが、他にいい選択も思いつかない。
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亡くなった患者さんの外来予約

2012年02月13日 | Weblog
 70歳後半男性。肺癌。
 1か月前に肺癌で死亡した患者さんが、内科再来の予約に入っていた。できるだけ自宅で過ごして、最期は入院で看取るという方針でみていたが、自宅で亡くなった。救急隊に搬送してもらって救急外来で死亡を確認していた。家族にはDNR(心肺蘇生術はしない)の同意を得ていて、急変しても救急隊にその方針であることを伝えてくださいと話していた。
 患者さんが死亡された時は、外来予約や予定されていた検査は自動的にキャンセルになるはずだが、今回は死亡した扱いになっていなかったようだ。外来診察室の机の上にある外来予約患者さんの一覧票に、「死亡されています」と外来事務員が記入していた。
 
 土日の日直・当直は大学医師の応援だった。内科外来患者の病名付けは私の仕事なので、画面上ではあるが、どんな検査をして治療をしたかを確認して、適切な(?)病名を付けている。来院時心肺停止もあり、胸部大動脈瘤破裂だった。高齢者の誤嚥性肺炎2名が入院していた。
 先月肺炎で入院した慢性閉塞性肺疾患の80歳台後半の方が、タール便・貧血で入院していた。検査結果をみると肺炎で入院した時も貧血ではあった。今回は急激に出血したらしいが、先月内視鏡検査をするべきだった。消化器科で検査して胃穹隆部に進行胃癌があった。転移の有無を検査してから治療を考えるそうだ。
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脳梗塞・嚥下障害・胃ろう造設

2012年02月11日 | Weblog
 75歳男性。脳梗塞。
 数年前に脳出血になり、その後に脳梗塞(ラクナ梗塞)を繰り返していた。幸い日常生活にはそれほど支障がなく過ごせていたらしい。今回は自宅内で急に倒れてしゃべれなくなった。当院に救急搬入され、当直だった私が診た。右半身の完全麻痺がある。開眼しいるが、言葉が出ない。言われたことを理解していないようだ。
 頭部MRIで左中大脳動脈領域に脳梗塞をきたし、MRAでは左内頸動脈が閉塞していた。左椎骨動脈もかなり狭窄していた。家族に、広範囲の脳梗塞で右半身麻痺と失語症があり、ADLが著しく悪くなる見込みであることを説明した。
 経過をみるために行った頭部CTで脳浮腫があり、側脳室が圧迫されていた。脳浮腫に対してグリセオールを使用して、1週間目から漸減して中止した。急性期を過ぎたところで、バイタルは安定して開眼はしているが、声が単発的に出るが言葉にはならない。
 とろみ水をむせることから、嚥下障害で経口摂取は困難と判断された。家族に胃ろうの話をして了解を得た。家族の少しでも口から食事をとらせたいという希望があり、必要な栄養は胃ろうから入れるとして、嚥下訓練をして可能であれば経口摂取もさせることにした。
 消化器科医師と内視鏡的胃ろう造設を行った。患者さんはどちらかというとやせているので、臍のすぐ左上に造設された。胃ろうのキットはボストンのpull法で行うボタン式を使用した。経管栄養が順調にいけば、自宅で介護できないため施設入所になるが、介護保険申請から始めるので数か月は入院継続になる。
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嚥下障害・誤嚥性肺炎

2012年02月10日 | Weblog
 75歳女性。脳梗塞後遺症・パーキンソン症候群・嚥下障害・誤嚥性肺炎。
 パーキンソンで神経内科に通院していた。娘とふたり暮らしで、日中はひとりで過ごしていた。昨年から誤嚥性と思われる肺炎を繰り返している。肺炎になるとふだんより痰が増えて、いっそう嚥下障害が目立つため、肺炎がある程度治るまでは絶食で水分少量のみとなる。本人は食べたくてしかたない。肺炎が治って1か月で再発していたのが、治って1週間で再発するようになってきた。現在も肺炎治療中だが、食べればすぐに肺炎が再発すると予想される。さてどうしたものか。
 嚥下訓練をする技師に嚥下テスト・嚥下訓練をしてもらうこともあるが、これが役に立つようでそうでもない。実際は病棟看護師が「この患者さんは経口摂取困難」と判断する人は、やはり食べられない。時間をかけて嚥下の評価をしても、やっぱり食べられないというのを確認しただけになる。
 胃瘻増設による経管栄養を行い、嚥下訓練をして楽しみ程度に口から少しだけ食べさせるということになりそう。
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低酸素血症・ショック

2012年02月09日 | Weblog
 40歳男性。低酸素血症・ショック
 昨日病院から帰宅して、夕食のカレーを作っている時に、病院から電話が来た。当直の外科医からで、内科開業医からの紹介で救急搬送された40歳男性を内科で入院させたいということだった。「糖尿病性ケトアシドーシスで著しい低酸素血症で」と言われた。糖尿病の問題だけでそれほどの低酸素にならないので、心肺疾患はないですかと聞いたら、胸部X線・胸部CTで異常はないという。画像で一見異常がない重症の低酸素血症なので、肺血栓塞栓症ではないですかと聞くと、「すみません急変です」と言って電話が切れた。病院に電話して状況をきくと、心肺停止して心肺蘇生術に反応せずにそのまま死亡に至ったという。
 今日カルテをみた。急な呼吸困難で内科のクリニックを受診したが、酸素飽和度70%と思い切り低かった。救急車を呼んで、そこの先生が同乗して当院に搬入された。搬入時の血液ガスは、酸素15L/分リザーバーマスク付で酸素分圧44・炭酸ガス分圧22・pH7.4だった。苦しくて頻呼吸している状態だが、酸素が全然上がってない。尿検査は尿糖陽性4+、尿ケトン体陰性で、血糖600、HbA1c13%と、高血糖高浸透圧症候群かもしれないがケトアシドーシスではない。2回目に検査した血液ガス(1回目から30分以内、心肺停止直前)でpH7.1に低下していた。胸部X線は、肺炎はなく、ほとんど正常に見える。ショックのため、造影のない単純CTだけなので何とも言えないが、両側肺動脈中枢部が拡張しているように見える。
 糖尿病が治療されずに、相当に悪い状態であったのは間違いないが、死因になったのは重症の肺血栓塞栓症と思われた。
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