なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

膵癌

2018年06月27日 | Weblog

 施設から87歳女性が内科外来に紹介されてきた。先々月から時々嘔吐するという。明らかな腹痛はないらしい。体重減少はなかった。6年前に胃潰瘍穿孔があり、当院外科で手術(大網充填術)を受けた既往がある。上部消化管内視鏡検査の依頼だった。

 血液検査で以前からある腎機能障害が進行していて造影CTはできない。血清カルシウム高値が気になった。肺癌だろうか。胸部X線で右肺門部が少し気になったが、明らかな肺癌はなかった。

 胸腹部CTで確認すると、肺癌はなく、膵体部に腫瘍があった。嚢胞性+実質性なので、通常の膵癌ではなく、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)の癌化も疑われる。腫瘍は胃体部を圧排していて、これだと(常にではなく)時々嘔吐するという症状と合うのかもしれない。腫瘍マーカーがCEAが119、CA19-9が2084と上昇していた。6年前のCTを見返したが、萎縮した膵臓が写ってだけで嚢胞性病変はなかった。IPMNがあれは、そのころからあってもいい?。

 患者さんは特に困った症状はない。年齢的に精査・治療の対象にはならない。高カルシウム血症の治療で入院してもらうのもあるが、施設で過ごす方がいいのではないか。ゾメタ点滴静注して来週再受診した時に確認することにした。内視鏡検査はしない。

 首都圏在住の息子さんが来ていたので、病状をお話した。がんセンター紹介(セカンドオピニオン)は希望されなかった。施設入所を継続して、施設の判断で入院したほうがいい時にはいつでも入院でみますと伝えた。案外経過は長いかもしれない。

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