なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

急性薬物中毒

2017年10月20日 | Weblog

 午前7時前に56歳女性が意識障害(昏睡状態)で救急搬入された。意識以外のバイタルサインは正常域だった。当直医(外科)が血液検査・頭部CT・胸部X線・心電図と一通り検査したが、異常はなかった。

 内科に診察依頼があり、午前9時ごろ救急室に診に行った。大きな声で呼びかけると開眼するくらいにはなっていた。睡眠薬大量服用のパターンと思われた。

 家族は母親と弟と同居していて、介護職をしているそうだ。この方は15年くらい前に夫のDVで実家に戻ってきていた。離婚しようとしたが、相手の夫が応じないため、今でも籍は入ったままだった。昨日は午後7時ご仕事から帰ってきた。特に最近変わった様子はなかったという。 

 地域医療連携室からかかりつけのクリニックに処方薬の問い合わせをしてもらった。送られてきたFAXには脂質異常症のスタチンと坐骨神経痛のNSAIDが記載されていた。もう一度睡眠薬・安定薬の処方がないか問い合わせると、4か月前にマイスリー10mgが30日分処方されていた。

 開眼してぼんやりはしているが、何とか会話もできるようになった。眠れない時に1錠(か2錠?)頓用で内服していたらしい。昨晩まとめて飲んだかどうか訊くと、10錠まとめて飲んだという。

 弟さんに自宅に帰って、部屋の中を探してもらうと、ごみ箱の中にマイスリーに10錠入っているPTPシートがあった。また細いマジックで書いた遺書のようなものも発見した。この量で死亡することはないが、自殺企図だった。

 昨日携帯電話をなくしたそうで、それが離婚できないでいる夫の手に渡ると内容を見られてしまうと盛んに気にしていた。住んでいる地域も違うのでそんなことはないはずだが。ふだんからうつ状態であったところに、それが引き金になったのか。

 精神科病院に地域医療連携室から問い合わせてもらった(ふだん連携室同志でやりとりしている)。どの先生に相談したらいいか教えてもらうつもりだったが、精神科の先生から直接連絡が来た。搬入されてからの経緯を説明すると、診てもらえることになった。まだ家族の車で行くのは無理なので、救急搬送になった。

 

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