なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

脳梗塞と高血糖

2014年04月22日 | Weblog

 昼過ぎに63歳男性が駅前を歩いていて、急に両下肢?の脱力でしゃがみこんだ。近くにいた人が救急要請して、当院の救急外来に搬入された。会話はできたが、住所が途中までしか出てこない。一人暮らしで、兄弟姉妹のことは言えた。普段は特に治療を受けていない。血糖が400と高く、HbA1cが14%だった。救急当番の整形外科医から内科の若い女性医師に連絡が来て、いっしょに診に行った。

 東部CTで右放線冠に陳旧性ラクナ梗塞がポチッとあり、左側には新鮮なラクナ梗塞が疑われた。東部MRIの拡散強調画像で新鮮な脳梗塞と判明した。搬入時に上肢は特に症状がなく、左下肢に少し脱力があるということだったが、左右を比べて明らかな差はなかった。今回の梗塞による右半身の脱力・感覚障害ははっきりしない。幸いに、このまま経過すれば、あまり日常生活には支障がないようだ。脳梗塞急性期としての治療をしつつ、無治療だった糖尿病の治療も開始することになった。神経内科医が先週末にインフルエンザに罹患して体調不良ということで、脳梗塞治療のアドバイスをもらって内科でそっくり引き受けることになった。

 糖毒性解除までインスリン強化療法を行うことになった。最終的にどの程度の治療で血糖が改善するかわからないが、DPP4阻害剤とメトホルミンでうまくいくかもしれない。それにしても頭部CTですでに低濃度域が出現しているので、6時間前の朝には発症していたはずだが、昼まではふつうに動いていた。急にしゃがみこんだのは、脳梗塞の症状がしだいにでてきたとみるべきなのか、高血糖とそれに伴う脱水症が関係しているか、よくわからない。血液検査上は血液濃縮の所見はないが。このまま放置すれば、脳梗塞や冠動脈疾患が進行して、致命的な状態に陥った可能性があり、今回のエピソードはきちんと治療をするいい機会になったとも考えられる。

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