なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

稀少部位子宮内膜症

2016年08月27日 | Weblog

 8月24日のNHK「ドクターG」は神戸市立医療センター中央市民病院の池田裕美枝先生が登場した。症例は、30歳台後半の女性の「足のつけ根が痛い」。婦人科疾患だろうから、子宮内膜症かなとは思ったが、「稀少部位」という言い方にちょっと驚いた。へえ~、そういう言い方をするのか。最初から正解を出していた研修医の先生が「稀少部位子宮内膜症」とフルネームでちゃんと出していた。今の研修医の世代はそう教わっているのか。

 卵巣などの通常みられる部位以外の、比較的あるいは相当珍しい部位に発生する子宮内膜症を「稀少部位子宮内膜症」とするのは、2012年からだそうだ。今回の症例は鼠径部で、比較的珍しい部位になる。昨年当院の外科で手術した回盲部の子宮内膜症も比較的珍しい部位に相当する。10年くらい前、当院に呼吸器科医がいたころ(呼吸器外科も大学から時々手術に来ていた)に手術された「月経随伴性気胸」は胸膜の子宮内膜症なので、相当珍しい部位になる。

 番組の中でも様々な部位に子宮内膜症が生じる原因を解説していたが、部位(臓器)ごとに異なる機序で発生するらしい。通常の卵巣など骨盤内の子宮内膜症は、月経血の骨盤腔への逆流で、子宮内膜(片)が腹膜に生着して生じる。

 帝王切開創(皮膚)に病変が形成される子宮内膜症は、手術時にその部位に生着して生じると説明できる。肺など遠隔臓器の子宮内膜症は、産婦人科手術の既往があり、血行性に飛んだ子宮内膜が遠隔臓器に生着するらしい。胸膜や横隔膜の子宮内膜症は、横隔膜の小孔を通して子宮内膜組織が生着する。横隔膜の小孔は右側に多く、腹腔内には時計回りの還流があり、月経随伴性気胸は9割が右側に生じるそうだ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする