なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

病原性大腸菌の慢性感染?

2016年08月20日 | Weblog

 昨日消化器科の先生に、病原性大腸菌の慢性感染ってありますかね、と相談された。30歳代前半の男性で、教員をしている。いつからと訊くと、震災の年からというので5年経過している。下痢・腹痛で受診して、便培養で病原性大腸菌が検出された。抗菌薬(内服)を投与して軽快した。ところがその後同じ症状が出現した。また便培養で病原性大腸菌が検出された。

 感染性腸炎だけでいいのか、炎症性腸疾患が元にあるのではと、大腸内視鏡検査が行われた。大腸粘膜は浮腫状で発赤・細かなびらんが散在していた。炎症性大腸炎の所見ではないそうだ。抗菌薬で治療すると、症状は軽快して、大腸内視鏡検査でも粘膜病変はきれいに治った。

 これを5年間繰り返してきた。検出される病原性大腸菌はO抗原の違うものになった。感受性では、大抵の抗菌薬が効く菌からESBLに変化して。また戻ったりしている。抗菌薬投与で修飾してしまうのが、まずいのか。一通り検索してみたそうだが、あてはまるものがなかったという。確かに聞いたことはないが、専門家ならわかるのだろうか。消化器科の大腸専門の先生も、扱っているのは内視鏡治療のできる大腸腫瘍と炎症性腸疾患で、感染性腸炎の専門ではなさそうだ。

 

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