なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

年中喘鳴あり

2016年08月17日 | Weblog

 86歳男性が1週間前から肺炎で入院していた。脳幹梗塞で神経内科に入院した既往がある。9年前に急性冠症候群で循環器科に入院して、PCIを受けた。その年と2年後まで心不全での入院があった。もともと喫煙歴があり、慢性閉塞性肺疾患(肺気腫)を認めるが、喘鳴も常にあった。今時だとACOSということになるが、慢性的な喘息症状の患者さんだった。

 3年前から肺炎で内科入院を10回くらい入退院を繰り返していて、内科の若い先生が担当していた。その先生の退職に伴い、当方の外来い通院していたが、喘鳴が常にあった。直接世話をしているお嫁さんが、診察後にまた診察室に入ってきて。頑固でいうことを聞いてくれなくて困るとこぼしていた。類天疱瘡で皮膚科でステロイドが処方されていて、ステロイド糖尿病としてインスリン注射もしている。まさしくステロイド顔貌で、皮膚は薄く、ちょっと引っ張ると桃の皮のようにツルリと剥けてきそうだった。

 入院後は抗菌薬投与(セフトリアキソン)で改善してきて、食欲もよかった。検査値も改善して、なんとかなりそうだと思われた。以前診ていた循環器の先生から、循環器科通院から内科通院になってから久しいので、「まだ生きていたんですねえ」としみじみ言われた。これまでの10回近い入院では重症肺炎で危ない時もあり、DNRの方針となっていた(人工呼吸まではしないということ)。下手に人工呼吸で圧をかけると一気に気胸を起こしそうだった。

 ところが一昨日から喘鳴がひどくなり、ステロイド点滴投与を繰り返した。昨日家族が来て病状をきかれたが、一気に悪化する可能性もあるとお話した。特に併発症もないので、発作の治療をする以外に方法がなかった。

 昨日は酸素飽和度は保たれていたが、苦しいという訴えていた。家族は、とにかく苦痛がないようにしてほしいと希望した。精神的に興奮すると、よけいに喘鳴が悪化する。アタラックスを投与してみたが、効かない。安定剤の持続点滴もためらわれて、好ましくないとは思ったが、塩酸モルヒネを薄く流すことにした(5mg/日)。喘鳴は続いていたが(興奮が治まって程度は軽減)、呼吸苦の訴えはなくなり、笑顔が出る様になった。数日使用して中止したいが、どうにも後ろめたい治療ではある。追加したステロイドが効いてくるのを待つしかないようだ。

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