なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

診断はすぐについた

2016年08月29日 | Weblog

 月曜日の内科再来は予約を少な目にしているが、今日は多かった。明日台風が来るので、1日前に来たという糖尿病の患者さんもいた。内科新患を診ていた先生(大学病院から出張)から、90歳女性の入院をお願いしたいと言われた。食欲不振と下肢の浮腫で受診していた。これまで「医者にかかったことがない」人だった。胸部X線で両側肺に腫瘤が多発していて、転移性肺癌と判断される。原発巣検索のため、胸腹部造影CTを行うところだという。

 腫瘍マーカーはCEAとCA19-9が3桁だった。大腸癌と推定され、腸閉塞ではないらしいので(内腔の広い)右側結腸かと予想した。胸腹部造影CTで、上行結腸に全周性腫瘍を認め。肝臓全体と両側肺に転移巣があった。肝臓はかなり腫大している。中央処置室で点滴を受けている患者さんのところに行くと、やせた小柄な患者さんがいた。自分でベットから起き上がってきた。手を耳に当てて、こちらの言うことを聞こうとしているからたいしたものだ。

 同居している娘さんがいったん自宅に戻っていたので、病院に戻ってきてから相談した。診断は上行結腸癌で、多発性肝転移・肺転移がある。癌に対する治療はない。食欲がなければ点滴をするが、それで良くなるというものでもない。病院で引き受けるのはいいが、結局お看取りするまで預かるだけになることを伝えた。

 日中家に(他の家族が)誰もいなくなるので、入院させてほしいという。治療による改善が見込めないのは、それでいいという。患者さんには食欲がないので、入院して点滴をしましょうということにした。診断は来院して2時間で全部ついてしまい、DNRの書類も作成して入院となった。痛みは特にないらしい。最期まで腸閉塞の症状が出ないといいと思う。これまで病院にほとんどかからす、おそらくあと1~数か月で亡くなるので、理想的な人生なのかもしれない。

 

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