「見逃すと怖い血管炎」湯村和子編著(日本医事新報社のjmed)を通読。わかりやすくて、本当にいい本だ。一般医にとっては、これで充分だと思う。血管炎の一般的な事項と、高安動脈炎・巨細胞性動脈炎・川崎病・結節性多発動脈炎・多発血管炎性肉芽腫症・ANCA関連血管炎性中耳炎・好酸球性多発血管炎性芽腫症・IgA血管炎・皮膚白血球破砕性血管炎がそれぞれ一章ずつあって、メインの顕微鏡的多発血管炎については少し詳しく6章にわたって記載してある。基本的に診断したら、あるいは疑ったら専門医に紹介する疾患ばかりだ。
jmedでは、不明熱とリウマチ膠原病もお勧めだ。今日は「名医たちの感染症の診かた・考えかた」を購入した。内容は知識の再確認になるが、巻頭言にあるように執筆者が豪華で、有名感染症科医のオンパレードだ。jmedは全部購入していないが、当たりの確率が1/3~1/2くらいになる。
青木眞先生の講義で、バレー部員の女子高校生が急性虫垂炎になって、術前検査として心電図や凝固検査はいらないという話が出てくる。研修医の青木先生が網羅的に術前検査をしようとした時に、沖縄県立中部病院の指導医から無駄な検査はしないようにと戒められる。毎年の若手医師セミナーで話されるが、これには賛成できない先生方も結構いると思う。
実際に患者さんを治療するのは、麻酔をかける麻酔科医と執刀する外科医だ。手術をお願いする内科医の立場で、麻酔科医に向かって心電図は無駄ですとは言えない。心電図を検査してもほぼ100%異常なしだろう。それでも万が一手術中に致死的な不整脈が発生したとすれば、術前に心電図検査をしなかったことで追及される可能性がある(術前検査が不整脈発症をまったく予知できないとしても)。また、メスを握る外科医に凝固検査は無意味ですとは言えない。開腹手術(今どきはラパロだが)をするというのは、やはり大変なことだ。異常なしになるような検査は無駄だというのは、手術をしない内科医だけの考えだと思う。まあ、内科で検査していなければ、麻酔科医や外科医が術前に必ず検査を追加してしまうが。