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読書日和

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「ビブリア古書堂の事件手帖2  ~栞子さんと謎めく日常~」三上延

2012-05-13 18:00:03 | 小説
今回ご紹介するのは「ビブリア古書堂の事件手帖2 ~栞子さんと謎めく日常~」(著:三上延)です。

-----内容-----
鎌倉の片隅にひっそりと佇むビブリア古書堂。
その美しい女店主が帰ってきた。
だが、入院以前とは勝手が違うよう。
店内で古書と悪戦苦闘する無骨な青年の存在に、戸惑いつつもひそかに目を細めるのだった。
変わらないことも一つある-それは持ち主の秘密を抱えて持ち込まれる本。
まるで吸い寄せられるかのように舞い込んでくる古書には、人の秘密、そして想いがこもっている。
青年とともに彼女はそれをあるときは鋭く、あるときは優しく紐解いていき-。

-----感想-----
この作品は「ビブリア古書堂の事件手帖 ~栞子さんと奇妙な客人たち~」の続編となります。
北鎌倉の駅前に佇むビブリア古書堂を舞台とした古書ミステリーです。

前作と大きく変わるのが、足を骨折して入院していた栞子(しおりこ)がビブリア古書堂に帰ってきたこと。
前作は栞子が入院していたので、大輔と栞子の妹の文香(あやか)が店番をして、古書買取の査定をする時は病院に行って栞子に本の査定をしてもらっていました。
それが本来の店主が帰ってきたことで、今作ではビブリア古書堂で大抵の業務が出来るようになりました。
なので今回は比較的移動の少ない物語になるのかなと思いきや。。。これがそうでもありませんでした。

今作では大輔がビブリア古書堂で働いてから初めて「出張買い取り」を行うことになりました。
一度に多くの古書の買い取りを依頼してきた家に出向いて査定するというもので、この依頼者の家がなかなか複雑な揉め事を抱えていました。
かなり大きな家で、依頼者の父が亡くなったことでその遺産処分を兼ねての古書買い取りだったのですが、依頼者には複雑な家の事情があり、古書買い取りの過程でそれが明らかになっていきました。
そしてその古書の中に一冊、数十万円の値が付く高価な古書があるはずだという情報もあり。。。
その古書を巡り、なかなか読み応えのあるドラマが繰り広げられていきました。
一度映像で見てみたいような展開だったなと思います。

それと今回の最大の焦点は、栞子の母親の謎に迫っていったこと。
あるとき突然家を出ていき、それ以来全く連絡もなくなってしまっていました。
そして今作を読んだ限り、どうやら次作ではさらに母親の謎に迫っていくことになりそうです。
今作の後半でその母親が回想の形で少し描かれているのですが、性格は明るいながらもなかなかミステリアスなところのある人だったようです。
「本にメッセージを込める」というのが興味深かったですね。
栞子の母親は誰かに本をプレゼントする時、自身の気持ちをその本の内容に反映させるタイプの人だったとのこと。
花を贈る時に花言葉をメッセージとして添えるのと似ていますね。
そして栞子の母親が家を出ていく前に栞子にプレゼントした本の内容、それが母親からの栞子へのメッセージでした。
その部分を読んで、なぜ栞子が母親のことを疎ましく思っているのか、その理由がよく分かりました。
母親の謎がさらに明らかになるであろう第3巻、期待して待ちたいと思います。


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