湘南ライナー日記 SHONAN LINER NOTES

会社帰りの湘南ライナーの中で書いていた日記を継続中

洋風それから揚げ

2009-10-28 23:50:45 | B食の道


東京帝国大学に招かれていたドイツ人のフォン・ケーベル氏の家に夏目漱石がやってきた。その時、フォン・ケーベル氏が専属料理人にあり合わせで何か作ってくれとリクエストして生まれたのが「洋風かき揚げ」(単品で900円)である。
そして、その専属料理人が始めた店が、神田淡路町の『松栄亭』だ。
前回訪れた時には「ポークソテー」になびいてしまったので(笑)、今回がその名物料理初体験となった。
それにしても、実に不思議な料理だ。運ばれてきた途端に芳ばしく懐かしい香りが漂う。でも、なんの匂いなのかが思い出せない。
見た目は、オムレツを唐揚げにしてしまったよう。一応洋食なので、ナイフでカットする。サクッで、フワッである。中は卵と小麦粉に、賽の目状の豚肉と玉ねぎが包まれている。しっとりでもパサパサでもなく、なんとも中途半端な感じ。


いや、決してマズイわけではない。事実、箸(フォーク)がどんどん進むのだから問題などないのだ。ただ、この味、この食感をどう表現していいのかが全くわからない。
で、結局あっという間に完食してしまったことを考えれば、うまかったということ。だが、どううまかったのかを明確に表現できないでいる。
「明治の頃から数々の洋食が広がっていった中で、この料理が広がらなかったことが、その味を物語ってはないか」というようなブログ記事を読んだ。
確かにポピュラーになるには、ハッキリとした主張が足りない料理だったかもしれない。しかし、広がらなかったからこそ、貴重ともいえないだろうか。
その後も漱石先生が好んで食べたという「洋風かき揚げ」を、当時のレシピのままいただけるのは、発案者が始めたこのお店だけというところに特別な価値がある。

実は、今日はお弁当があったので、お茶の水での仕事を終えて帰社するつもりだった。ところが、同行の淋しがり屋さんをお一人様にするわけにいかず、お付き合いとなったのだ。
ここのところ連日『B食の道』なので今日こそは避けたかったんだけどなぁ…。
でも、結局ごちそうになってしまいました!
あっ、いま思い出したけど、はじめに鼻腔をくすぐった匂いは、サーターアンダギーの芳ばしさだったかもしれない!


こちらは今朝の壱岐坂下交差点。自転車が気持ち良さそう!
といいつつ僕も、昨日の春日、今日のお茶の水と、会社のママチャリで仕事へ出かけたのだ。