湘南ライナー日記 SHONAN LINER NOTES

会社帰りの湘南ライナーの中で書いていた日記を継続中

新雅SONG

2009-10-14 23:41:49 | B食の道


地下鉄有楽町線の江戸川橋駅の近く。ただし、商店街やオフィスなどがあるエリアとは逆、住宅も多い神田川の北側である。
普通ならどう考えても商売が成り立つはずがないと思ってしまうロケーションだ。
成り立っている。
その中華そば屋は、見事に成り立っているのだ。驚いた。
『新雅』である。
店構えというか建物がいい。昭和を絵に描いてしまった(笑)。以前から気になっていたので、今日は自転車を飛ばして入ってみた。


扉が全開になっていて、いい感じ。中が丸見え。コの字のカウンターに、お客が肩をぶつけるように座っている。狭い!
運よく一つあいていたので、すみませ~んと何とか入り込む。座って前を見ると、目と鼻の先でお父さんが中華鍋を振るっている。近っ!狭かったのは、客席だけではない。コの字に囲まれた厨房が想像を絶する狭さだった。他には誰も入る余地はない。
狭い所で奮闘するお父さん、ニコリとしながら「なんにしましょう」という表情を投げてきた。
迷わず「肉野菜炒め定食」(850円)。
「肉野菜定です!」
突然、お父さんの奥にいた息子さんが威勢のいい声をだす。
「ありがとうございます!」
「もやしそば600円です」
「毎度ありがとうございます」
「またどうぞ」
「はい、タンメンお待たせしました~」
「お待まちどうさま」
息子さんにリードされるように、お父さんもお母さんも声を出す。ムダなことは一切言わないので、テンポがいいのだ。何だかとても心地いい。
肉野菜炒めも、濃い目の味付けでおいしかった。写真では肉が見えないが、箸を入れたら僕の好きな薄切りのバラ肉がわんさか出てきて満足!ご飯も丼でボリューム満点だ。
狭いし古いし、しかも何でこんな所にと思えるお店だけど、繁盛するにはちゃんと理由があるもんですね。狭いカウンターに腰掛けてみれば、それが実感できる。

さて、こんなに狭いお店で、お勘定はどうすると思いますか?何しろ、満席だと後ろを通ることは不可能。カウンター越しに、一心不乱に鍋を振うお父さんに直接手渡すわけにもいかない。
答えは簡単。食べ終えた客は一旦表へ出る。すると、お母さんがやって来て路上にて金銭授受(笑)。
それを見届けると、店内からもまた「毎度ありがとうございます!」「またどうぞ!」と声がする。もちろんお母さんも腰を折って「またよろしくお願いします」
静かな街に、元気をもたらす素敵なお店だった。

満腹になって、満足して、自転車をこぎながら歌わずにはいられないのである。
♪ラーララララーラ、ラーララララーラ、ラーラーララララ~
Sing, sing a song…