湘南ライナー日記 SHONAN LINER NOTES

会社帰りの湘南ライナーの中で書いていた日記を継続中

東京人の中の大瀧詠一

2009-10-07 00:49:16 | 湘南ライナーで読む


我もまた渚を枕』に続き『東京の空の下、今日も町歩き』(ちくま文庫)と、川本三郎氏の著者を遡るように読む。
いずれも、エリアを決めて町歩きをし、大衆食堂で昼食をとり、昼間のうちに目星をつけておいた酒場で夜にビールを飲んでから駅前のビジネスホテルへ。古本屋で買った本を読みつつ、いつの間にか就寝。翌朝は早起きをして吉野家で納豆定食を食べてから2日目の町歩きへ。という、散歩者にとっての夢を地でいくような日を綴った本だ。
そして、文中に必ず出てくるのが、映画のワンシーンである。特に、その場所で撮影された古い日本映画が紹介されていると、今度はその映画で当時の風景を見たくなってしまう。氏は映画への造詣が深く、実は映画に描かれた東京を訪ねる『銀幕の東京』といった著者もある。
ところが、その『銀幕の東京』に刺激されて、『銀座化粧』(昭和26年)と『秋立ちぬ』(昭和35年)という成瀬巳喜男監督作品に登場する銀座周辺のロケ現場を調べ上げてしまった人物がいる。

大瀧詠一氏である。

そう、あの『ロンバケ』の巨匠だ。
今月の『東京人』(都市出版)特集「映画の中の東京」の、川本三郎氏との対談で、その調査結果が細かく報告されている。
「彼ならやる」
大瀧マニアなら、誰もがそう納得するだろう。驚くべき調べっぷりである。
それを川本氏に夢中でしゃべっている鼻息まで聞こえてきそうな楽しい対談になっている。
ファンならずとも必見(必読)ですよ。なにしろ、新富町あたりの路上に立つ大瀧氏(と川本氏)のショットが、普通に掲載されているのだから。
ちなみに“微熱少年”松本隆氏も別の対談で登場しているのは、編集者の趣味かサービス?それとも、単なる偶然か。

尚、冒頭にあげた二冊は、もともと『東京人』の連載をまとめたものである。

そういえば、今日は有楽町線に乗っていたら、大瀧氏が調べたおした新富町、銀座一丁目を通過。思わず、上を見上げてしまった(笑)。