独立行政法人国民生活センター発行 国民生活2021.2
暮らしの法律Q&A 第104回より 回答者は萩谷雅和弁護士
事例
通販サイトで大幅に値引きされている商品(1万円→3千円)を見つけ、
お得だと思い購入したのですが、後から調べてみるとそもそも3千円程度であると分かりました。
こうした表示は問題ないのでしょうか?
回答 問題があると言えます
問題になるのは次の2つの法律
どちらも「事業者」を規制する法律であることに注意!
※事業者:一定の目的をもってなされる同種の行為の反復継続的遂行をしているもの(会社・団体等も含む)
〇不当景品類及び不当表示防止法(以下、景表法)
事業者側から消費者側に対する「広告」「商品表示」等について不当なものを規制する法律
事業者が不当な手段で消費者を引き付けることを抑制するという目的があり、
これにより消費者も安心して商品やサービスを選ぶことができる。
ここで問題となる不当な手段とは「有利誤認表示」
商品やサービスの価格といった取引条件が「実際の者や同業他社よりも著しく有利であると
消費者に思わせる表示」のこと
つまり、「お得なように見えたに、実はそうでなかった」という表示がこれにあたります。
景表法は、このような不当な表示を行政機関が排除するための法律であり、
事業者に対するペナルティーの条項はありません。
〇消費者契約法(以下、消契法)
事業者側の不当な手段により消費者が売買契約を締結したり、
その代金を支払ったりした場合のその後の処理方法について定めている
「第1条 この法律は、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差に鑑み、
事業者の一定の行為により消費者が誤認し、又は困惑した場合等について、
契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができることとする」と定める法律
本来3千円程度の商品を1万円と誤認させられたのですから、
その購入を承諾する意思表示を取り消すことができます(消契法第4条1項1号)
取り消すと、売買契約そのものがなかったことになります。
今回の事例では「購入した」ということですから、代金もすでに支払ったものと思われます。
この場合、契約はないのに代金を支払ったことになるので、その代金の返還を求めることができます。
もちろん、受け取った商品は返還しなければなりません。
******************************************
私たちがよく目にするものに「二重価格表示」があります。
「通常〇〇円、今だけ△△円」「通常価格〇〇円、セール価格△△円」
家計を考えてお得な商品を買い物するための参考にしている消費者も多いのではないでしょうか!
注意したいのは実は通常価格では売られていなかった。
そもそもセール価格でいつも売られている場合は違反です。
通販サイトでは、じっくり考える時間があるので「クーリング・オフ」制度は適用されません。
そもそもその通販サイトは信頼できるサイトなのか?
返品特約はどうなっているのか?(返品するときのルール)
価格は正当か、商品は思っているものなのか?など
しっかり確認してトラブルを避けたいものです。
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暮らしの法律Q&A 第104回より 回答者は萩谷雅和弁護士
事例
通販サイトで大幅に値引きされている商品(1万円→3千円)を見つけ、
お得だと思い購入したのですが、後から調べてみるとそもそも3千円程度であると分かりました。
こうした表示は問題ないのでしょうか?
回答 問題があると言えます
問題になるのは次の2つの法律
どちらも「事業者」を規制する法律であることに注意!
※事業者:一定の目的をもってなされる同種の行為の反復継続的遂行をしているもの(会社・団体等も含む)
〇不当景品類及び不当表示防止法(以下、景表法)
事業者側から消費者側に対する「広告」「商品表示」等について不当なものを規制する法律
事業者が不当な手段で消費者を引き付けることを抑制するという目的があり、
これにより消費者も安心して商品やサービスを選ぶことができる。
ここで問題となる不当な手段とは「有利誤認表示」
商品やサービスの価格といった取引条件が「実際の者や同業他社よりも著しく有利であると
消費者に思わせる表示」のこと
つまり、「お得なように見えたに、実はそうでなかった」という表示がこれにあたります。
景表法は、このような不当な表示を行政機関が排除するための法律であり、
事業者に対するペナルティーの条項はありません。
〇消費者契約法(以下、消契法)
事業者側の不当な手段により消費者が売買契約を締結したり、
その代金を支払ったりした場合のその後の処理方法について定めている
「第1条 この法律は、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差に鑑み、
事業者の一定の行為により消費者が誤認し、又は困惑した場合等について、
契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができることとする」と定める法律
本来3千円程度の商品を1万円と誤認させられたのですから、
その購入を承諾する意思表示を取り消すことができます(消契法第4条1項1号)
取り消すと、売買契約そのものがなかったことになります。
今回の事例では「購入した」ということですから、代金もすでに支払ったものと思われます。
この場合、契約はないのに代金を支払ったことになるので、その代金の返還を求めることができます。
もちろん、受け取った商品は返還しなければなりません。
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私たちがよく目にするものに「二重価格表示」があります。
「通常〇〇円、今だけ△△円」「通常価格〇〇円、セール価格△△円」
家計を考えてお得な商品を買い物するための参考にしている消費者も多いのではないでしょうか!
注意したいのは実は通常価格では売られていなかった。
そもそもセール価格でいつも売られている場合は違反です。
通販サイトでは、じっくり考える時間があるので「クーリング・オフ」制度は適用されません。
そもそもその通販サイトは信頼できるサイトなのか?
返品特約はどうなっているのか?(返品するときのルール)
価格は正当か、商品は思っているものなのか?など
しっかり確認してトラブルを避けたいものです。
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