NITE(ナイト)独立行政法人製品評価技術基盤機構製品安全センター)
2024.8.27 VOL. 459
PSマガジン(製品安全情報メールマガジン)
======================================
製品安全についての情報をお届けします。(第2・4火曜日発行)
======================================
9月1日は防災の日です。
自然災害による停電の際にも使用される携帯発電機やポータブル電源において、
製品起因の事故以外にも誤使用が原因の事故が発生しています。
また、停電復旧後の通電や被災で損傷した電気製品の使用が、
火災の原因となることもあるため注意が必要です。
今回は災害時の事故を防ぐための注意点をお伝えします。
災害時の事故
1. 携帯発電機の事故
(1) 携帯発電機とは
発電機は、ガソリン、軽油、ガス(カセットボンベ)などの燃料を使ってエンジンを稼働させ、
装置内のコイルや磁石を回転させることで電気を発生させる装置です。
持ち運びが可能な発電機を携帯発電機といい、
可搬型発電機、小型発電機、ポータブル発電機などという場合もあります。
(2) 事故事例
一酸化炭素(CO)中毒により1名が死亡し、現場に家庭用の携帯発電機がありました。
→取扱説明書には、「排ガス中毒のおそれがあるため、排ガスがこもる場所で使用しない。
排ガスは一酸化炭素(CO)などの有害成分を含んでいる。」旨、記載されていたにもかかわらず、
停電時に携帯発電機を換気の不十分な屋内で使用したため、
排ガスが滞留し、一酸化炭素(CO)濃度が上昇して事故に至ったものと考えられます。
(3) 使用時の注意点
携帯発電機の使用による死亡事故も報告されています。
以下の注意点に従って、安全に使用してください。
【携帯発電機使用時の注意点】
・屋内では絶対に使用しないでください。
発電機運転中の排ガスには一酸化炭素(CO)が含まれており、
屋内で使用すると一酸化炭素(CO)中毒になるおそれがあります。
・屋外であっても、自動車内やテント内で使用すると屋内と同等の危険性があります。
排ガスが逆流しないように出入口、窓など開口部から離れたところ、
かつ、風通しの良いところで使用してください。
2. ポータブル電源の事故
(1) ポータブル電源とは
リチウムイオン電池などの充電式電池を内蔵した大容量かつ可搬型の蓄電装置で、
交流100V出力に対応するなどしたものがいわゆるポータブル電源と呼ばれています。
(2) 事故事例
インターネット通販で購入したポータブル電源を充電中、
ポータブル電源付近から異音がして出火し、周辺を焼損しました。
→焼損が著しく、詳細な使用状況等が不明であり、原因の特定には至りませんでしたが、
当該製品は屋外に置かれていました。
風雨があたらないよう別途用意した樹脂製ケースで覆われていましたが、
覆いが不十分な状態であったため、雨水等が浸入して短絡が生じ、
内蔵のリチウムイオン電池セルが異常発熱して出火した可能性が考えられます。
(3) 使用時の注意点
蓄電池にリチウムイオン電池を使用しているポータブル電源は、
モバイルバッテリーと同様の注意が必要と考えられます。
一般的に総エネルギー量が大きい製品は、事故発生時の発熱量も大きくなるため、
大容量のポータブル電源はより注意が必要です。以下の注意点に従って、安全に使用してください。
【ポータブル電源使用時の注意点】
・ 落としたりするなど衝撃を与えないようにしてください。
もし、強い衝撃を与えてしまった後、発熱、変形などの異常を感じた場合は、
直ちに使用を中止して製造・輸入・販売事業者の修理窓口に相談してください。
・ 高温環境下での使用は控えてください。
また、長期間使用しない場合は、箱に入れて直射日光が当たらない冷暗所に保管しましょう。
・ 屋外では、防水・防塵性能を有する製品の使用を検討しましょう。
携帯発電機やポータブル電源の中にはリコール品もあります。
使用前には、メーカーからのお知らせやリコール情報を確認するようにしましょう。
【参考:リコール検索サイト】
○消費者庁リコール情報サイト(https://www.recall.caa.go.jp/)
○(独)製品評価技術基盤機構NITE SAFE-Lite(https://safe-lite.nite.go.jp/)
3. 停電復旧後の通電火災について
(1) 通電火災とは
自然災害に伴う停電の復旧後、
可燃物が接触した状態の電熱器具や水没したり部品が破損したりした電気製品に
電気が流されることに伴い発生する火災のことをいいます。
(2) 事故事例
(ア) 停電復旧後に電気こんろの上に置いていた電気製品を焼損する火災が発生しました。
→当該製品は、落雷による停電以前にスイッチが入った状態で切り忘れ防止機能が働いた状態でした。
停電時に切り忘れ防止機能がリセットされ、停電復旧後にヒーターへの通電が再開されたため、
ヒーター上に置かれていたほかの電気製品が焼損したものと考えられます。
なお、取扱説明書及び本体には、
「ヒーターの上に可燃物を置かない。」、「使用後は火力調整つまみの「切」を確認する。」旨、記載されています。
(イ) 事務所で異音がしたため確認すると、バッテリー(鉛蓄電池)及び周辺を焼損する火災が発生していました。
→10日前に発生した台風の水害により水没した当該製品を乾燥させるため、
販売事業者が事務所兼倉庫に置いていました。
水害により製品内部に水が浸入したため、異常発熱が生じて焼損したものと考えられます。
(3) 通電火災の注意点
地震や大雨等に伴い、自宅に置いてある電気製品が浸水などによって損傷することが考えられます。
また、停電復旧後に電気ストーブ等の電熱器具が意図せず作動することで、
付近のタオル等の可燃物に引火し、火災につながるおそれもあります。
以下の注意点に従って、通電火災を起こさないよう対策を取ってください。
【通電火災を防ぐための注意点】
・地震が発生した際に可燃物が散乱しないように、家具はできるだけ壁に固定しましょう。
併せて、電気ストーブ等の電熱器具の周辺に可燃物を置かないように日頃から意識しましょう。
・ 自宅から避難する際に時間的な猶予がある場合は、
停電復旧時に異常のある製品に通電されることによる事故を防ぐため、
分電盤のブレーカーを切ってください。
日頃から分電盤の位置や操作方法を確認しておきましょう。
・ 停電復旧時における意図しない作動による火災を防ぐため、
特にヒーターを内蔵した電気ストーブ等の電熱器具は、
停電時には電源プラグをコンセントから抜きましょう。
・ 停電復旧後、浸水などによる被害を免れた製品を使う際は、
機器などの外観に異常がないか(電源プラグやコードに損傷はないか、製品に焦げた痕はないか、など)を確認の上、
分電盤のブレーカーを入れ、
機器の電源プラグを1台ずつコンセントに差し、様子を確認しながら使用しましょう。
異音や異臭がする場合は、直ちに使用を中止し、メーカーや販売店に相談してください。
■NITEでは2024年8月27日に注意喚起として
『災害時にも活躍する携帯発電機やポータブル電源の事故と停電復旧後の通電火災に注意!』を
経済産業省、消費者庁と同時発表しました。
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/press/2024fy/prs240827.html
■事故事例は、「NITE SAFE-Lite」で「携帯発電機」「ポータブル電源」等を
キーワードに検索していただけます。
https://safe-lite.nite.go.jp/
***********************************
台風10号。近年希にみる大きな台風です。
8月29日に鹿児島に上陸してからも
ゆっくりと日本列島を進んでいます。
大雨、突風による被害が台風から離れた所でも出ています。
災害時にも活躍するものを
携帯発電機やポータブル電源などを準備している方も多いのではないでしょうか。
取扱説明書をよく確認して使いましょう!
停電復旧後に通電火災が発生する場合があります。
避難する時はブレーカーを落としてください🖕
地震や台風など不安な毎日です。
情報を集め、冷静に対処できるよう普段から心がけたいですね!
************************************
2024.8.27 VOL. 459
PSマガジン(製品安全情報メールマガジン)
======================================
製品安全についての情報をお届けします。(第2・4火曜日発行)
======================================
9月1日は防災の日です。
自然災害による停電の際にも使用される携帯発電機やポータブル電源において、
製品起因の事故以外にも誤使用が原因の事故が発生しています。
また、停電復旧後の通電や被災で損傷した電気製品の使用が、
火災の原因となることもあるため注意が必要です。
今回は災害時の事故を防ぐための注意点をお伝えします。
災害時の事故
1. 携帯発電機の事故
(1) 携帯発電機とは
発電機は、ガソリン、軽油、ガス(カセットボンベ)などの燃料を使ってエンジンを稼働させ、
装置内のコイルや磁石を回転させることで電気を発生させる装置です。
持ち運びが可能な発電機を携帯発電機といい、
可搬型発電機、小型発電機、ポータブル発電機などという場合もあります。
(2) 事故事例
一酸化炭素(CO)中毒により1名が死亡し、現場に家庭用の携帯発電機がありました。
→取扱説明書には、「排ガス中毒のおそれがあるため、排ガスがこもる場所で使用しない。
排ガスは一酸化炭素(CO)などの有害成分を含んでいる。」旨、記載されていたにもかかわらず、
停電時に携帯発電機を換気の不十分な屋内で使用したため、
排ガスが滞留し、一酸化炭素(CO)濃度が上昇して事故に至ったものと考えられます。
(3) 使用時の注意点
携帯発電機の使用による死亡事故も報告されています。
以下の注意点に従って、安全に使用してください。
【携帯発電機使用時の注意点】
・屋内では絶対に使用しないでください。
発電機運転中の排ガスには一酸化炭素(CO)が含まれており、
屋内で使用すると一酸化炭素(CO)中毒になるおそれがあります。
・屋外であっても、自動車内やテント内で使用すると屋内と同等の危険性があります。
排ガスが逆流しないように出入口、窓など開口部から離れたところ、
かつ、風通しの良いところで使用してください。
2. ポータブル電源の事故
(1) ポータブル電源とは
リチウムイオン電池などの充電式電池を内蔵した大容量かつ可搬型の蓄電装置で、
交流100V出力に対応するなどしたものがいわゆるポータブル電源と呼ばれています。
(2) 事故事例
インターネット通販で購入したポータブル電源を充電中、
ポータブル電源付近から異音がして出火し、周辺を焼損しました。
→焼損が著しく、詳細な使用状況等が不明であり、原因の特定には至りませんでしたが、
当該製品は屋外に置かれていました。
風雨があたらないよう別途用意した樹脂製ケースで覆われていましたが、
覆いが不十分な状態であったため、雨水等が浸入して短絡が生じ、
内蔵のリチウムイオン電池セルが異常発熱して出火した可能性が考えられます。
(3) 使用時の注意点
蓄電池にリチウムイオン電池を使用しているポータブル電源は、
モバイルバッテリーと同様の注意が必要と考えられます。
一般的に総エネルギー量が大きい製品は、事故発生時の発熱量も大きくなるため、
大容量のポータブル電源はより注意が必要です。以下の注意点に従って、安全に使用してください。
【ポータブル電源使用時の注意点】
・ 落としたりするなど衝撃を与えないようにしてください。
もし、強い衝撃を与えてしまった後、発熱、変形などの異常を感じた場合は、
直ちに使用を中止して製造・輸入・販売事業者の修理窓口に相談してください。
・ 高温環境下での使用は控えてください。
また、長期間使用しない場合は、箱に入れて直射日光が当たらない冷暗所に保管しましょう。
・ 屋外では、防水・防塵性能を有する製品の使用を検討しましょう。
携帯発電機やポータブル電源の中にはリコール品もあります。
使用前には、メーカーからのお知らせやリコール情報を確認するようにしましょう。
【参考:リコール検索サイト】
○消費者庁リコール情報サイト(https://www.recall.caa.go.jp/)
○(独)製品評価技術基盤機構NITE SAFE-Lite(https://safe-lite.nite.go.jp/)
3. 停電復旧後の通電火災について
(1) 通電火災とは
自然災害に伴う停電の復旧後、
可燃物が接触した状態の電熱器具や水没したり部品が破損したりした電気製品に
電気が流されることに伴い発生する火災のことをいいます。
(2) 事故事例
(ア) 停電復旧後に電気こんろの上に置いていた電気製品を焼損する火災が発生しました。
→当該製品は、落雷による停電以前にスイッチが入った状態で切り忘れ防止機能が働いた状態でした。
停電時に切り忘れ防止機能がリセットされ、停電復旧後にヒーターへの通電が再開されたため、
ヒーター上に置かれていたほかの電気製品が焼損したものと考えられます。
なお、取扱説明書及び本体には、
「ヒーターの上に可燃物を置かない。」、「使用後は火力調整つまみの「切」を確認する。」旨、記載されています。
(イ) 事務所で異音がしたため確認すると、バッテリー(鉛蓄電池)及び周辺を焼損する火災が発生していました。
→10日前に発生した台風の水害により水没した当該製品を乾燥させるため、
販売事業者が事務所兼倉庫に置いていました。
水害により製品内部に水が浸入したため、異常発熱が生じて焼損したものと考えられます。
(3) 通電火災の注意点
地震や大雨等に伴い、自宅に置いてある電気製品が浸水などによって損傷することが考えられます。
また、停電復旧後に電気ストーブ等の電熱器具が意図せず作動することで、
付近のタオル等の可燃物に引火し、火災につながるおそれもあります。
以下の注意点に従って、通電火災を起こさないよう対策を取ってください。
【通電火災を防ぐための注意点】
・地震が発生した際に可燃物が散乱しないように、家具はできるだけ壁に固定しましょう。
併せて、電気ストーブ等の電熱器具の周辺に可燃物を置かないように日頃から意識しましょう。
・ 自宅から避難する際に時間的な猶予がある場合は、
停電復旧時に異常のある製品に通電されることによる事故を防ぐため、
分電盤のブレーカーを切ってください。
日頃から分電盤の位置や操作方法を確認しておきましょう。
・ 停電復旧時における意図しない作動による火災を防ぐため、
特にヒーターを内蔵した電気ストーブ等の電熱器具は、
停電時には電源プラグをコンセントから抜きましょう。
・ 停電復旧後、浸水などによる被害を免れた製品を使う際は、
機器などの外観に異常がないか(電源プラグやコードに損傷はないか、製品に焦げた痕はないか、など)を確認の上、
分電盤のブレーカーを入れ、
機器の電源プラグを1台ずつコンセントに差し、様子を確認しながら使用しましょう。
異音や異臭がする場合は、直ちに使用を中止し、メーカーや販売店に相談してください。
■NITEでは2024年8月27日に注意喚起として
『災害時にも活躍する携帯発電機やポータブル電源の事故と停電復旧後の通電火災に注意!』を
経済産業省、消費者庁と同時発表しました。
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/press/2024fy/prs240827.html
■事故事例は、「NITE SAFE-Lite」で「携帯発電機」「ポータブル電源」等を
キーワードに検索していただけます。
https://safe-lite.nite.go.jp/
***********************************
台風10号。近年希にみる大きな台風です。
8月29日に鹿児島に上陸してからも
ゆっくりと日本列島を進んでいます。
大雨、突風による被害が台風から離れた所でも出ています。
災害時にも活躍するものを
携帯発電機やポータブル電源などを準備している方も多いのではないでしょうか。
取扱説明書をよく確認して使いましょう!
停電復旧後に通電火災が発生する場合があります。
避難する時はブレーカーを落としてください🖕
地震や台風など不安な毎日です。
情報を集め、冷静に対処できるよう普段から心がけたいですね!
************************************