2013年12月7日(土) 『じゃあ、出掛けてくるよ』 『今回はどちらへ?』と妻。
『この週末は、久し振りに周防大島でキャンプツーリングにする。 お前も今日の忘年会、ゆっくり楽しんで!』 『はい。 じゃあ気をつけて』
***
今日のお昼ご飯は、前から行きたいと思っていた中華そば屋さん。
周防大島の『たちばなや』である。
作られたレトロではなく、一歩一歩時間と時代を重ねてきた、本物の昭和の匂いがする良いお店。
出てきた中華そばは、透き通ったスープがラーメンではなく中華そばであることを主張している。
『いただきます』
お、これは美味い。 昔地元にあった、そして子供の頃通っていた、懐かしい山根食堂を彷彿とさせる味。
『ごちそうさまでした』
***
食事を終えると、いつもの浜へ。
クルマを停めると、まずはテントを張り、出艇の準備を開始。
今日は風はないが曇り空。
寒すぎる事無く、初冬のお散歩ツーリングを楽しむには好い感じである。
南側の海と空は鉛色。
後ろを振り返ると、北の空はなんと青空。
ものすごいコントラストである。
沖にある島を、カウンタークロックワイズで一周する。
この辺りまで来ると、水が澄んで気持ち良い海のお散歩。
約1時間半ほどのお散歩ツーリング。
『ああ。 景色のコントラストも楽しんだし、海も穏やかで、ええ気分やったなあ』
***
シーカヤックをテントの横に移動すると、着替えてクルマで移動。
星野哲郎記念館へ。
これまで何度も訪れているここの楽しみは、大スクリーンと良い音で星野作品が楽しめる、星野劇場。
俺にとって、ここの入場料500円也は、星野劇場への入場料なのである。
『黄色いサクランボ』 『男はつらいよ』 『なみだ船』 『風雪ながれ旅』 いやあ、本当に素晴らしい。
黄色いサクランボでは、聞いているだけで胸がキュンキュンしてくるし、
男はつらいよでは、渥美清の声と台詞が最高だ。
なみだ舟は、大きなスクリーンに北海道の荒れた海で漁をしている映像が流れるのだが、この光景と歌がシンクロして自分が漁師になった気分である。
そして、風雪ながれ旅。 もう、何も言うことは無い。 ほんと、何度聞いてもこの映像と音は感無量である。
記念館を出ようとすると、案内の方が、『あの、奥の方は廻られましたか?』と声を掛けて下さった。
俺が、星野劇場だけで帰ろうとしたのを見られていたようだ。
『ありがとうございます。 ここへは、これまで何度も来ているんですよ』と笑いながら答える。
『そして、星野劇場が気に入ってるんで、時々来るんです』 『あ、そうなんですか。 こちらこそありがとうございます』
***
いつもの魚屋さんに立ち寄った後は、久賀のスーパーで買い物、そして給油を済ませ、浜へ戻る。
ちょうど夕暮れ時で、キャンプの晩ご飯を始めるには良い頃合いである。
浜にいつもの食卓セットを準備し、クレージークリークに座って、まずはビールをプシュリ。
ゴクリ、ゴクゴク。 『あー、やっぱりキャンプのビールは美味いのお』
『そうや、今日はサンフレッチェの最終戦やったなあ』 期待は出来そうも無いが、一応優勝の可能性も残っているという事なので、試合結果を見ようとiPhoneでチェックすると、まだ後半20分。
『え、まだ試合中やんか』 そして、サンフレッチェは1点入れて現時点では勝っており、横浜マリノスは1点入れられて負けている。 ということは、『優勝の可能性もあるってことか』
熱心なサッカーファンという訳ではないのだが、一応地元のチームでもあり、気にはなる。 ラジオのスイッチを入れ、サッカー中継を聞き始めた。
そして、サンフレッチェの試合は終了。 その数分後にマリノスの試合も終了。
『へえ、こんな事もあるんやなあ。 まあ、嬉しいことや』
『じゃあ、改めて乾杯!』
食事を終え、夜が更けると、明るいうちに集めておいた一人分の流木をセットして火を点ける。
クレージークリークを焚き火の近くに移動し、メラメラと揺らめく小さな焚き火を眺めながら、焼酎のお湯割りをゴクリ。
久し振りの焚き火は、やはり楽しいな。
月と星を眺め、焚き火を眺め、すべての煩わしい事から開放され、独り静かにお酒を楽しむ。
今日は、周防大島の浜で、俺の忘年会である。
***
翌朝。
今回から、冬用のシュラフに変えたので、ポカポカと心地良い睡眠をたっぷりと楽しむことができた。
テントから出ると、昨日の燃え残りの流木に点火。
暖をとりながらお湯を沸かし、熱いお茶で体を温める。
次第に明るくなって行く東の空。
日の出と日没。 キャンプツーリングでの、お気に入りの時間の一つ。
朝食は、うどん。 冬のキャンプツーリングの朝は、これに限る。
食事を終えると、キャンプ道具を片付け、出艇の準備。
今日は、寝る時に着用していた『あったか下着』の上に、直接ドライスーツ。
妻が見つけて、俺の冬のツーリング用にと買ってくれた、この『あったか下着』が最高の優れもので、冬のキャンプツーリグには欠かせない一品である。
『ようし、出発するか』
千貫門。
西側の岬。
今日は、1時間10分ほどの朝のお散歩ツーリング。
岬からの帰りは、ちょうどいいトレーニング程度の北風があり、久し振りの向い風、向い波でのパドリングを楽しんだ。
『あー、ええ運動になったなあ』 ドライスーツの下は、下着一枚なのだが汗をかいたほど。
***
シーカヤックをカートップし、道具を潮抜きしていると、これからここでダイビングを楽しむのだという方々が来られた。
しばし、四方山話。
『どの辺りで潜られるんですか?』 『ええ、あの先に見える出っ張りの辺りまでですね』
『浜から途中まで、いろいろ岩や石があって、その先には土管が沈んでいるんですよ。 そこが魚礁の様な感じで、結構大きな魚が居るんです』
『この季節はドライスーツですか?』 『いいえ、まだウエットですね』
『年に何度か、この辺りでももの凄く水が澄んで透明度が上がることがあるんです。 潜っていても、今日は凄い、って日が年に2-3日ありますね』 『それはやっぱり冬ですか?』 『いいえ、春先です』
『じゃあ、楽しんで下さい』 『ええ、あなたも気をつけてお帰り下さい』
***
竜崎温泉で汗を流し、周防大島文化交流センターへ。
今回、周防大島に来たのは、星野劇場に加えて、ここ文化交流センターの企画展、『宮本常一と岡本太郎_日本を見つめた二つのまなざし』
小さな企画展ではあるが、思いも掛けない二人の接点を知り驚いた。
岡本太郎が、こんな写真を撮っていたなんて知らなかったし、展示してあった著書の文章を読んで再びビックリ。
岡本太郎の撮影した、人の顔がなんとも良い表情なのだ。 いやあ、これまで知らなかった写真家としての岡本太郎。
改めて凄い人である。
企画展図録も入手し、タップリ堪能した周防大島を後にした。
今年も残り数週間。 さて、どんな旅が待っているのだろうか?
『ああ、またまたこの週末も最高だったなあ!』
『この週末は、久し振りに周防大島でキャンプツーリングにする。 お前も今日の忘年会、ゆっくり楽しんで!』 『はい。 じゃあ気をつけて』
***
今日のお昼ご飯は、前から行きたいと思っていた中華そば屋さん。
周防大島の『たちばなや』である。
作られたレトロではなく、一歩一歩時間と時代を重ねてきた、本物の昭和の匂いがする良いお店。
出てきた中華そばは、透き通ったスープがラーメンではなく中華そばであることを主張している。
『いただきます』
お、これは美味い。 昔地元にあった、そして子供の頃通っていた、懐かしい山根食堂を彷彿とさせる味。
『ごちそうさまでした』
***
食事を終えると、いつもの浜へ。
クルマを停めると、まずはテントを張り、出艇の準備を開始。
今日は風はないが曇り空。
寒すぎる事無く、初冬のお散歩ツーリングを楽しむには好い感じである。
南側の海と空は鉛色。
後ろを振り返ると、北の空はなんと青空。
ものすごいコントラストである。
沖にある島を、カウンタークロックワイズで一周する。
この辺りまで来ると、水が澄んで気持ち良い海のお散歩。
約1時間半ほどのお散歩ツーリング。
『ああ。 景色のコントラストも楽しんだし、海も穏やかで、ええ気分やったなあ』
***
シーカヤックをテントの横に移動すると、着替えてクルマで移動。
星野哲郎記念館へ。
これまで何度も訪れているここの楽しみは、大スクリーンと良い音で星野作品が楽しめる、星野劇場。
俺にとって、ここの入場料500円也は、星野劇場への入場料なのである。
『黄色いサクランボ』 『男はつらいよ』 『なみだ船』 『風雪ながれ旅』 いやあ、本当に素晴らしい。
黄色いサクランボでは、聞いているだけで胸がキュンキュンしてくるし、
男はつらいよでは、渥美清の声と台詞が最高だ。
なみだ舟は、大きなスクリーンに北海道の荒れた海で漁をしている映像が流れるのだが、この光景と歌がシンクロして自分が漁師になった気分である。
そして、風雪ながれ旅。 もう、何も言うことは無い。 ほんと、何度聞いてもこの映像と音は感無量である。
記念館を出ようとすると、案内の方が、『あの、奥の方は廻られましたか?』と声を掛けて下さった。
俺が、星野劇場だけで帰ろうとしたのを見られていたようだ。
『ありがとうございます。 ここへは、これまで何度も来ているんですよ』と笑いながら答える。
『そして、星野劇場が気に入ってるんで、時々来るんです』 『あ、そうなんですか。 こちらこそありがとうございます』
***
いつもの魚屋さんに立ち寄った後は、久賀のスーパーで買い物、そして給油を済ませ、浜へ戻る。
ちょうど夕暮れ時で、キャンプの晩ご飯を始めるには良い頃合いである。
浜にいつもの食卓セットを準備し、クレージークリークに座って、まずはビールをプシュリ。
ゴクリ、ゴクゴク。 『あー、やっぱりキャンプのビールは美味いのお』
『そうや、今日はサンフレッチェの最終戦やったなあ』 期待は出来そうも無いが、一応優勝の可能性も残っているという事なので、試合結果を見ようとiPhoneでチェックすると、まだ後半20分。
『え、まだ試合中やんか』 そして、サンフレッチェは1点入れて現時点では勝っており、横浜マリノスは1点入れられて負けている。 ということは、『優勝の可能性もあるってことか』
熱心なサッカーファンという訳ではないのだが、一応地元のチームでもあり、気にはなる。 ラジオのスイッチを入れ、サッカー中継を聞き始めた。
そして、サンフレッチェの試合は終了。 その数分後にマリノスの試合も終了。
『へえ、こんな事もあるんやなあ。 まあ、嬉しいことや』
『じゃあ、改めて乾杯!』
食事を終え、夜が更けると、明るいうちに集めておいた一人分の流木をセットして火を点ける。
クレージークリークを焚き火の近くに移動し、メラメラと揺らめく小さな焚き火を眺めながら、焼酎のお湯割りをゴクリ。
久し振りの焚き火は、やはり楽しいな。
月と星を眺め、焚き火を眺め、すべての煩わしい事から開放され、独り静かにお酒を楽しむ。
今日は、周防大島の浜で、俺の忘年会である。
***
翌朝。
今回から、冬用のシュラフに変えたので、ポカポカと心地良い睡眠をたっぷりと楽しむことができた。
テントから出ると、昨日の燃え残りの流木に点火。
暖をとりながらお湯を沸かし、熱いお茶で体を温める。
次第に明るくなって行く東の空。
日の出と日没。 キャンプツーリングでの、お気に入りの時間の一つ。
朝食は、うどん。 冬のキャンプツーリングの朝は、これに限る。
食事を終えると、キャンプ道具を片付け、出艇の準備。
今日は、寝る時に着用していた『あったか下着』の上に、直接ドライスーツ。
妻が見つけて、俺の冬のツーリング用にと買ってくれた、この『あったか下着』が最高の優れもので、冬のキャンプツーリグには欠かせない一品である。
『ようし、出発するか』
千貫門。
西側の岬。
今日は、1時間10分ほどの朝のお散歩ツーリング。
岬からの帰りは、ちょうどいいトレーニング程度の北風があり、久し振りの向い風、向い波でのパドリングを楽しんだ。
『あー、ええ運動になったなあ』 ドライスーツの下は、下着一枚なのだが汗をかいたほど。
***
シーカヤックをカートップし、道具を潮抜きしていると、これからここでダイビングを楽しむのだという方々が来られた。
しばし、四方山話。
『どの辺りで潜られるんですか?』 『ええ、あの先に見える出っ張りの辺りまでですね』
『浜から途中まで、いろいろ岩や石があって、その先には土管が沈んでいるんですよ。 そこが魚礁の様な感じで、結構大きな魚が居るんです』
『この季節はドライスーツですか?』 『いいえ、まだウエットですね』
『年に何度か、この辺りでももの凄く水が澄んで透明度が上がることがあるんです。 潜っていても、今日は凄い、って日が年に2-3日ありますね』 『それはやっぱり冬ですか?』 『いいえ、春先です』
『じゃあ、楽しんで下さい』 『ええ、あなたも気をつけてお帰り下さい』
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竜崎温泉で汗を流し、周防大島文化交流センターへ。
今回、周防大島に来たのは、星野劇場に加えて、ここ文化交流センターの企画展、『宮本常一と岡本太郎_日本を見つめた二つのまなざし』
小さな企画展ではあるが、思いも掛けない二人の接点を知り驚いた。
岡本太郎が、こんな写真を撮っていたなんて知らなかったし、展示してあった著書の文章を読んで再びビックリ。
岡本太郎の撮影した、人の顔がなんとも良い表情なのだ。 いやあ、これまで知らなかった写真家としての岡本太郎。
改めて凄い人である。
企画展図録も入手し、タップリ堪能した周防大島を後にした。
今年も残り数週間。 さて、どんな旅が待っているのだろうか?
『ああ、またまたこの週末も最高だったなあ!』