2011年6月11日(土) ウィルダネスシステムズのケープホーンを積んだアテンザは、雨の瀬戸内を後にして、北へと向かう。 この週末の目的地は、この時期に毎年訪れるお気に入りのスポット、島根半島。
週末が近付くと、天気予報をチェックするのが日課となるが、この週末はどうやら雨となる模様。 じゃあ天気図は? お、もしかして、これなら行けるんじゃあないか。 と言う訳で、週末の目的地は島根半島に決定!
中国山地を越え、松江に入ってもまだ雨が降り続いている。 うーん、さすがに晴れは期待できないか。 まあいいや、小雨ならスカノラックを来て漕ぎ出す事にしよう。
まだまだ北上し、野波を越えて小波、多古へと近付くと雨も上がり、次第に青空が広がってきた。 『うん、読みはバッチリ! 良い感じじゃあないか。 まだまだ嗅覚は生きているようだ』
***
いつも出艇場所として使わせていただいている小さな港へ。 そこに居られた方に『すみません。 クルマ、ここにしばらく停めさせていただいていいですか?』と断りをいれる。
『ああ、ええよ』 『毎年この時期にはここに漕ぎに来るんです。 今日も、七つ穴へ行こうと思って』
『そうか。 でも今日は、雨の後やから、洞窟には入らん方がええ』 『え、そうなんですか?』
『あそこは、石と泥が混ざった土地や。 特に最近は、松が全部枯れてしもうて、雨が降った後は、根っ子があった穴から水が染み込んでいく。 じゃから、石が落ちて来るかもしれんよ。 気をつけんさい』 『そうなんですか。 知りませんでした。 じゃあ今日は洞窟には入らないように気をつけます』
***
『ところで、いつもはどんな漁をされよるんですか?』 『わしか。 潜りじゃ』 『じゃあ、サザエにアワビ。 ワカメはどうですか?』 『ワカメは後の手間がかかる。 サザエやアワビは漁協に出せばそれで終りやけど、ワカメは干したりせないかんから、わしはやらん』
『冬も潜られるんですか』 『一年のうち、何ヶ月かはサザエやアワビの禁漁期間があるが、それ以外は潜るよ』 『冬なんか寒いでしょう』 『うん、去年と今年は水温が低かった』
『温暖化なのに、水温は低いんですか?』 『うーん、確かに温暖化もしよる。 夏なんか、見た事が無い様な熱帯魚みたいなんが居るよ。 でも、冬には居らんから、死んでしまうんじゃろうなあ』
『冬は荒れるから、あまり潜られんでしょう』 『そうやね、週に1日か2日位かね』 『じゃあ、アワビも値が上がるんですか?』 『いいや、変わらんよ。 でもまあ、贅沢もできんが、それなりに暮らしよるわい』 『それがええですね。 こんな景色がええとこで、おいしい魚食べて、ええじゃないですか』
***
『十何年前にここに来たとき、地元の方がアメフラシを獲られよりました。 食べるんじゃいうて言われよりましたが、ありゃあ、どうやって食べるんですか?』 『あれは、まず内蔵を出して、それから二回ほど茹でて、薄くスライスして酢味噌で食べる』 『時期はいつ頃がええんですか?』 『そうじゃなあ、今はもうだいぶ大きくなっとるから、まあ春先じゃなあ。 酢味噌に木ノ芽を加えて食べたらええよ』
『ところで、小波のところに「日本海」いう飲み屋さんがありましたが、もうやめてしもうたんですか』 『そうよ。 もう店は閉めた。 あこは、わしと同い年の知り合いがやっとったんよ。 よう知っとるから、うちのも忙しい時には手伝いに行きよった』 『そうなんですか。 それは残念ですね。 じゃあ、ちょっと漕いできます』
雨の後の七つ穴の危険性、サザエとアワビ漁の事、アメフラシの食べ方、そして気になっていたスナック『日本海』の情報など、なかなか貴重な情報を入手することができた。
久し振りの日本海。 今日は風も弱く、穏やかな海。 さて、出発するとしようか!
毎年訪れるお気に入りのエリア。 雨の後の澄んだ空気の中、気持ちの良いパドリング。
波は低いが、瀬戸内とは違うリズムとうねり。
景色もやはり日本海。
瀬戸内を離れて日本海を選択した読みがバッチリ当たり、梅雨とは思えない絶好のツーリング日和に遭遇して、気分は最高。
約1時間半ほどのツーリングを、たっぷりと堪能することができた。
***
シーカヤックを引き上げ、荷物を片付け、カートップしていると、近くで声が聞こえてきた。 どうやら、港の片隅で、おばあちゃんとおばさんが話をされているようだ。
『こんにちは』 近付いて挨拶。 一人の方が、大きな魚を包丁でさばき、鱗と内蔵をとっておられる。
『この魚はお昼ご飯のおかずですか?』 『そうよ。 さっき獲れたから、この人にあげたん』 『それにしても大きいですねえ』
しばらくすると、魚を捌いていたおばさんは魚を手に家に帰られた。
するとおばあちゃんが、『どこから来られた?』 『広島からです。 多古の七つ穴が好きで、毎年この時期にここに漕ぎに来るんですよ』
『そうねえ、広島から。 昔はここらの人は、毎年広島に行きよったよ』 『え、そうなんですか?』
『昔はね、ワカメやスルメを先に広島に送っておいて、汽車で広島に行って、宿に泊まりながら売って歩きよったよ。 仲良うなって、なじみになってくれる人もおったそうな』 『それは何月頃ですか?』
『そうねえ、3月から5月くらいじゃったろうか』 『じゃあ、冬のうちにスルメやワカメを干して、売りに行きよったんですね。 おばあちゃんも行かれたんですか?』
『いやあ、わたしゃあここのワカメやなんやの仕事が忙しゅうて。 でもしゅうとめさんが行きよったよ』 『それは知りませんでした』
『昔はねえ、ワカメも天日で干しよった。 今は乾燥機じゃけど、やっぱり天日干しが一番おいしいね』
『じゃあ、そろそろ帰るよ。 あんたも、またおいでんさい』 『はい、ありがとうございます。 また漕ぎにきます!』
***
島根半島の美しい海岸線の景色を楽しみながら、予約してあるホテルへと向かう。 途中の食堂で、『カニトロ丼』でお昼ご飯。
その後は、皆生温泉で潮抜きをしてサッパリ。 『おお、最高の気分じゃのお』
***
今日の宿は、米子全日空ホテル。
いつものキャンプツーリングとは少し雰囲気を変え、少しだけ贅沢なホテル泊にしてみた。
ネット割引で、ビアホールでのビール飲み放題の夕食と、バイキング形式の朝食が付いた、お得なプラン。 たまにはこんな雰囲気もいいんじゃないか!
夕食までは少し時間があるので、米子駅前をしばし散策。 少し寂れた感じの商店街をそぞろ歩き。 ああ、ビールが待ち遠しい!
***
レストランが会場となるビアホールでの夕食。 バイキング形式ではなく、セットメニューが一品づつ運ばれて来る。
料理はおいしいし、ビールがなくなれば『次は何にいたしますか』と声を掛けて下さる。 さすがは全日空ホテル。 良い雰囲気で食事を楽しむことができる。
1時間半、一人でゆっくりと食事とビールを楽しんだ。 『ごちそうさまでした』 大満足!
***
翌朝は、7時に朝食を摂り、チェックアウト。 今回は、ここのこのプランにして大正解だった。
部屋は広いし、食事はおいしいし、地ビールを含めビール飲み放題でこの料金。 いやあ、今回のツーリングは良い感じじゃないか。
今日は曇りで、午後から雨の予報。 まずはクルマで今日の出艇予定地へ。
ここは、約15年前に一度来たことがあるのだが、その後は訪れる機会がなかったポイント。 ロケハンを兼ねて、すこし散策してみるつもり。
小さな浜からシーカヤックを出す。 小さな漁船で帰ってこられた漁師さんに、『何が獲れたんですか?』と伺うと、バケツから50cm位の魚を取り出し『ハマチが一匹だけ』と笑いながら返ってきた。
15年前に来たときより、エリアを広げて漕ぎ進む。 うーん、ここはなかなか好いねえ!
約1時間の、快適な朝の海でのお散歩ツーリングを終え、シーカヤックを洗ってカートップしていると、『おや、これは?』
ポツリ、ポツリと雨が落ち出した。 なんとツイているんだろう。
昨日は快晴、今日はツーリングが終わったら雨が降り出した。 ツーリングプラン&宿泊プランとも、今回は全てが大当たりだ。
これで今年はようやく8漕ぎ目。 やはり海旅の視点では『失われた半年』は大きいが、ここのところ楽しいツーリングが続いているので、それも良しとして楽しんで行こう。
久し振りの島根半島、日本海お散歩ツーリング。 次はいつ来よう?
週末が近付くと、天気予報をチェックするのが日課となるが、この週末はどうやら雨となる模様。 じゃあ天気図は? お、もしかして、これなら行けるんじゃあないか。 と言う訳で、週末の目的地は島根半島に決定!
中国山地を越え、松江に入ってもまだ雨が降り続いている。 うーん、さすがに晴れは期待できないか。 まあいいや、小雨ならスカノラックを来て漕ぎ出す事にしよう。
まだまだ北上し、野波を越えて小波、多古へと近付くと雨も上がり、次第に青空が広がってきた。 『うん、読みはバッチリ! 良い感じじゃあないか。 まだまだ嗅覚は生きているようだ』
***
いつも出艇場所として使わせていただいている小さな港へ。 そこに居られた方に『すみません。 クルマ、ここにしばらく停めさせていただいていいですか?』と断りをいれる。
『ああ、ええよ』 『毎年この時期にはここに漕ぎに来るんです。 今日も、七つ穴へ行こうと思って』
『そうか。 でも今日は、雨の後やから、洞窟には入らん方がええ』 『え、そうなんですか?』
『あそこは、石と泥が混ざった土地や。 特に最近は、松が全部枯れてしもうて、雨が降った後は、根っ子があった穴から水が染み込んでいく。 じゃから、石が落ちて来るかもしれんよ。 気をつけんさい』 『そうなんですか。 知りませんでした。 じゃあ今日は洞窟には入らないように気をつけます』
***
『ところで、いつもはどんな漁をされよるんですか?』 『わしか。 潜りじゃ』 『じゃあ、サザエにアワビ。 ワカメはどうですか?』 『ワカメは後の手間がかかる。 サザエやアワビは漁協に出せばそれで終りやけど、ワカメは干したりせないかんから、わしはやらん』
『冬も潜られるんですか』 『一年のうち、何ヶ月かはサザエやアワビの禁漁期間があるが、それ以外は潜るよ』 『冬なんか寒いでしょう』 『うん、去年と今年は水温が低かった』
『温暖化なのに、水温は低いんですか?』 『うーん、確かに温暖化もしよる。 夏なんか、見た事が無い様な熱帯魚みたいなんが居るよ。 でも、冬には居らんから、死んでしまうんじゃろうなあ』
『冬は荒れるから、あまり潜られんでしょう』 『そうやね、週に1日か2日位かね』 『じゃあ、アワビも値が上がるんですか?』 『いいや、変わらんよ。 でもまあ、贅沢もできんが、それなりに暮らしよるわい』 『それがええですね。 こんな景色がええとこで、おいしい魚食べて、ええじゃないですか』
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『十何年前にここに来たとき、地元の方がアメフラシを獲られよりました。 食べるんじゃいうて言われよりましたが、ありゃあ、どうやって食べるんですか?』 『あれは、まず内蔵を出して、それから二回ほど茹でて、薄くスライスして酢味噌で食べる』 『時期はいつ頃がええんですか?』 『そうじゃなあ、今はもうだいぶ大きくなっとるから、まあ春先じゃなあ。 酢味噌に木ノ芽を加えて食べたらええよ』
『ところで、小波のところに「日本海」いう飲み屋さんがありましたが、もうやめてしもうたんですか』 『そうよ。 もう店は閉めた。 あこは、わしと同い年の知り合いがやっとったんよ。 よう知っとるから、うちのも忙しい時には手伝いに行きよった』 『そうなんですか。 それは残念ですね。 じゃあ、ちょっと漕いできます』
雨の後の七つ穴の危険性、サザエとアワビ漁の事、アメフラシの食べ方、そして気になっていたスナック『日本海』の情報など、なかなか貴重な情報を入手することができた。
久し振りの日本海。 今日は風も弱く、穏やかな海。 さて、出発するとしようか!
毎年訪れるお気に入りのエリア。 雨の後の澄んだ空気の中、気持ちの良いパドリング。
波は低いが、瀬戸内とは違うリズムとうねり。
景色もやはり日本海。
瀬戸内を離れて日本海を選択した読みがバッチリ当たり、梅雨とは思えない絶好のツーリング日和に遭遇して、気分は最高。
約1時間半ほどのツーリングを、たっぷりと堪能することができた。
***
シーカヤックを引き上げ、荷物を片付け、カートップしていると、近くで声が聞こえてきた。 どうやら、港の片隅で、おばあちゃんとおばさんが話をされているようだ。
『こんにちは』 近付いて挨拶。 一人の方が、大きな魚を包丁でさばき、鱗と内蔵をとっておられる。
『この魚はお昼ご飯のおかずですか?』 『そうよ。 さっき獲れたから、この人にあげたん』 『それにしても大きいですねえ』
しばらくすると、魚を捌いていたおばさんは魚を手に家に帰られた。
するとおばあちゃんが、『どこから来られた?』 『広島からです。 多古の七つ穴が好きで、毎年この時期にここに漕ぎに来るんですよ』
『そうねえ、広島から。 昔はここらの人は、毎年広島に行きよったよ』 『え、そうなんですか?』
『昔はね、ワカメやスルメを先に広島に送っておいて、汽車で広島に行って、宿に泊まりながら売って歩きよったよ。 仲良うなって、なじみになってくれる人もおったそうな』 『それは何月頃ですか?』
『そうねえ、3月から5月くらいじゃったろうか』 『じゃあ、冬のうちにスルメやワカメを干して、売りに行きよったんですね。 おばあちゃんも行かれたんですか?』
『いやあ、わたしゃあここのワカメやなんやの仕事が忙しゅうて。 でもしゅうとめさんが行きよったよ』 『それは知りませんでした』
『昔はねえ、ワカメも天日で干しよった。 今は乾燥機じゃけど、やっぱり天日干しが一番おいしいね』
『じゃあ、そろそろ帰るよ。 あんたも、またおいでんさい』 『はい、ありがとうございます。 また漕ぎにきます!』
***
島根半島の美しい海岸線の景色を楽しみながら、予約してあるホテルへと向かう。 途中の食堂で、『カニトロ丼』でお昼ご飯。
その後は、皆生温泉で潮抜きをしてサッパリ。 『おお、最高の気分じゃのお』
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今日の宿は、米子全日空ホテル。
いつものキャンプツーリングとは少し雰囲気を変え、少しだけ贅沢なホテル泊にしてみた。
ネット割引で、ビアホールでのビール飲み放題の夕食と、バイキング形式の朝食が付いた、お得なプラン。 たまにはこんな雰囲気もいいんじゃないか!
夕食までは少し時間があるので、米子駅前をしばし散策。 少し寂れた感じの商店街をそぞろ歩き。 ああ、ビールが待ち遠しい!
***
レストランが会場となるビアホールでの夕食。 バイキング形式ではなく、セットメニューが一品づつ運ばれて来る。
料理はおいしいし、ビールがなくなれば『次は何にいたしますか』と声を掛けて下さる。 さすがは全日空ホテル。 良い雰囲気で食事を楽しむことができる。
1時間半、一人でゆっくりと食事とビールを楽しんだ。 『ごちそうさまでした』 大満足!
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翌朝は、7時に朝食を摂り、チェックアウト。 今回は、ここのこのプランにして大正解だった。
部屋は広いし、食事はおいしいし、地ビールを含めビール飲み放題でこの料金。 いやあ、今回のツーリングは良い感じじゃないか。
今日は曇りで、午後から雨の予報。 まずはクルマで今日の出艇予定地へ。
ここは、約15年前に一度来たことがあるのだが、その後は訪れる機会がなかったポイント。 ロケハンを兼ねて、すこし散策してみるつもり。
小さな浜からシーカヤックを出す。 小さな漁船で帰ってこられた漁師さんに、『何が獲れたんですか?』と伺うと、バケツから50cm位の魚を取り出し『ハマチが一匹だけ』と笑いながら返ってきた。
15年前に来たときより、エリアを広げて漕ぎ進む。 うーん、ここはなかなか好いねえ!
約1時間の、快適な朝の海でのお散歩ツーリングを終え、シーカヤックを洗ってカートップしていると、『おや、これは?』
ポツリ、ポツリと雨が落ち出した。 なんとツイているんだろう。
昨日は快晴、今日はツーリングが終わったら雨が降り出した。 ツーリングプラン&宿泊プランとも、今回は全てが大当たりだ。
これで今年はようやく8漕ぎ目。 やはり海旅の視点では『失われた半年』は大きいが、ここのところ楽しいツーリングが続いているので、それも良しとして楽しんで行こう。
久し振りの島根半島、日本海お散歩ツーリング。 次はいつ来よう?