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この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

予想外ではあってもあまり意外ではなかった短編集『ポーカー・レッスン』。

2013-11-19 20:37:19 | 読書
 辞書的な意味は同じでも、ニュアンスが微妙に異なる言葉があると思います。
 例えば、「予想外」と「意外」。
 予想外っていうのは予想の範囲外、つまり予想が出来ないってことですよね。
 密室殺人事件を題材にした推理小説で、最終章になって唐突に真犯人が瞬間移動する能力の持ち主だと明かされたらどうですか?
 そんな結末、誰も予想できるわけがない。だから予想外の結末ではある。
 でもその結末で「意外だ!」とは思えないですよね。
 思うに「意外」は、「予想外」プラスαなんじゃないでしょうか。そのαが感嘆であったり、恐怖であったり、驚愕であったり、様々だと思いますが。

 ジェフリー・ディーヴァーの短編集『ポーカー・レッスン』には十六編の作品が収められています。どの作品も予想外の結末ばかりです。
 ただ、残念ながら読み終わって「意外だ!」と思える結末の作品はあまりなかったですね。

 例えば長編シリーズでもおなじみのリンカーン・ライムが登場する『ロカールの原理』。
 ネタバレになって恐縮ですが、全米でも指折りの大富豪を殺したのは大富豪の妻で、彼女は殺し屋だったことがライムによって明かされます。つまり、彼女は依頼を遂行するために大富豪と結婚したというオチなのです。
 それは、、、ちょっとないだろうって言いたくなりました。
 仮に大富豪を殺すように依頼されていたとしても、大富豪の妻の座を射止めたのであれば、その時点でフツー依頼は放棄するんじゃないの?何を律儀に依頼を遂行してるの?一度交わした約束は何が何でも果たさないと気が済まない性格だったの?
 そんな具合で予想外ではあっても意外だという気はしなくて、読み終わってモヤモヤばかりが残りました。
 他の作品も似たり寄ったりで、まぁマシかな、と思えたのは『生まれついての悪人』と『遊びに行くには最高の街』ぐらいかなぁ。この二作は悪くないと思いました。

 これまで読んできたサプライズド・エンディングの短編小説の中で、一番驚かされたのは、ジェフリーはジェフリーでもジェフリー・アーチャーの短編『高速道路の殺人鬼』ですね。これは、ヒロインを執拗に追いかける黒い車の正体とは…。読後、ぞぞぞっと鳥肌が立ちましたよ。

 あと、自作ですが、これなんかもかなり意外な結末なんじゃないでしょうか。まぁ要は自画自賛ですが。笑。
コメント
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