この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

盤上の奇跡。

2008-12-18 22:20:47 | ゲーム
 竜王戦七番勝負第七局、渡辺明竜王が羽生善治名人を破り竜王位防衛に成功し、五期連続防衛により永世竜王の称号を勝ち得ました。
 99.9999・・・%羽生名人が竜王位を奪取するものと思って疑っていなかったので、渡辺竜王の防衛には心底驚きました。
 竜王は9×9の81マスの盤上で奇跡を起こしたのだな、と思いました。

 羽生善治は史上最強の棋士です。漫画『ヒカルの碁』の第一巻でもそう紹介され、将棋のことを少しでも知っている人であれば、それに異を唱える人はいないでしょう。
 その羽生が今回の第二十一期竜王戦七番勝負ではいきなり三連勝しました(七番勝負なのでどちらか先に四勝した方が竜王となる)。
 あぁ、これで今年の竜王戦も終わった、自分はそう思いました。
 なぜなら、渡辺竜王が竜王位を防衛するためには二つの奇跡を同時に起こさなければいけないからです。

 一つ目の奇跡、それは羽生相手に四連勝しなければいけない、ということです。
 前述の通り羽生は史上最強の棋士なので、そもそも負ける、ということが滅多にありません。それが同じ相手に連敗するとなるといよいよ珍しい。さらに三連敗となると、、、たぶん一度あったかどうかという程度でしょう(記録上のことは詳しくは知りません)。それがさらにさらに四連敗となると、断言してもいいですが、これまで一度もなかったはずです。

 そしてもう一つの奇跡ですが、タイトル戦七番勝負において、かつて三連敗の後四連勝しなければいけない、ということです。
 勝負が第七局までもつれこむこと、それはままあります。しかし三連敗四連勝という星勘定は竜王戦に限らず、すべてのタイトル戦において一度もなかったことなのです。

 どちらか一つでも成し遂げられたら奇跡と呼べることなのに、それを同時に二つ成すというのは不可能というものだろう、自分に限らずほとんどの将棋指し、将棋好きは思ったに違いありません。

 しかし、奇跡は起こるべくして起こるのですね。渡辺竜王、羽生名人相手にやっちゃいましたよ、三連敗四連勝。
 奇跡を目の当たりにすると胸のすく思いがするものなのですね。
 大袈裟かもしれませんが、生きる勇気みたいなものまで与えられたような気がします。
コメント (3)
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