ブログ 「ごまめの歯軋り」

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読書ノート 北岡伸一著 「国連の政治力学」 中公新書

2008年06月30日 | 書評
国連活動は国際政治の場ー日本常任理事国入り失敗をふまえて 第8回
Ⅲ 安保理改革の軌跡(常任理事国入り運動) (2)

最も激しく反対したのが中国である。アジアの覇権を目指しているのか中国は日本の立場を認めようとしない。中国は国内では反日デモを扇動して日本施設への襲撃を始めた。東京裁判、サンフランシスコ平和条約、日中国交回復、南京事件、教科書問題、靖国参拝問題、軍国主義復活などが再燃した。これには小泉首相の反アジア喧嘩外交も悪い影響をした。要するに中国は常任理事国と云う棚ボタの既得権を国際政治で後生大事に120%活用したい姿勢が良く分かる。

もっと深刻な問題は日本政府の煮え切らない態度である。「常任理事国入りは外務省の悲願」というような態度が見えるのである。当時の小泉首相はあえて中国を刺戟する言動を得意になって行って事態を悪化させ、アメリカのブッシュ大統領に電話をして妥協を打診することもせず、代表団の仕事を見殺しにした。そしてアメリカ政府が強く云うことには絶対服従と云う態度で終始したことである。「アメリカが日本の常任理事国入りに反対なら仕方ない」でお終いである。G4案は2005年5月に、常任理事国を六ヶ国増やして十一ヶ国に、非常任理事国を四ヶ国増やして十四ヶ国にするものだった。この案で6月には共同提案国三十三ヶ国を集めた。8月にはアフリカ連合は拒否権を持つ常任理事国を2つ要求する案が出て改革運動は2/3の賛同を得られず挫折した。反動から日本の分担金率を下げる運動をするべきだと云う意見も出る始末。


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