ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

アリストテレス著 「詩学」    ホラティウス著 「詩論」

2021年09月03日 | 書評
美濃吉本店「竹茂桜」

 アリストテレス著 「詩学」   
ホラティウス著 「詩論」
      
岩波文庫(1997年1月)
概論
2) ホラーティウス 「詩論」

{第一部 1-152行}
(1) 全体の釣り合いが取れていない詩は、上の方は美しい女、下の方は醜い魚である怪物
いかに大胆な試みであれ、古来画家にも詩人にも認められた特権であるが、著しくバランスを欠いた設定は避けるべきである。

(2)全体の釣り合いが取れていない詩の実例
最初荘重な調べで始まり、大きな出来事を約束する作品はそれにふさわしい装いが必要だ。何を始めるにせよ、それは少なくとも単一で統一のあるものでなくてはならない。

(3) 詩人が犯しやすい過ち
もし技術を欠いているならば、過ちを避けようとすることが、かえって過失につながる。詩人の多くはうわべだけの正しさにとらわれてそれに欺かれる。

(4) 自分の力にあった題材を選ぶこと。題材の配置の魅力
自分の力に合った題材を選ぶ者は、流暢さにも配列の明快さにも欠けることは無い。

(5) 語の組み合わせと新しい語
巧妙な組み合わせがよく知られた語を新鮮なものにするならば、その表現は優れたものになるあろう。まだ聞いたことのない語を作り出すだろうが、その自由は節度を守るという条件で許される。

(6) 新しい世代の言葉は古い世代の言葉に取って代わる
古い時代の言葉も滅んで行き、生まれたばかりの言葉が若者のように咲き誇っている。言葉の栄光と魅力はさらに短命である。

(7) 韻律の種類とそれぞれの韻律に適したジャンル
どのような韻律で王と将軍を描き、悲惨な戦争を欠くべきかを示したのはホメーロスであった。怒りの感情はイアムボスを与えた。このように詩には異なる形式と特色が定められている。

(8) 悲劇も喜劇もときには声の調子を変える
嘆きによって観客の心を動かそうとするならば、大げさな文句を棄て、月並みな言葉で困窮を嘆くのだ、

(9) 詩は快いものであること。言葉は感情と役割に応じて変化する
詩は美しいだけでは十分でない。それは快いものでなければ観客の心を導くものではない。口舌を仲立ちとして心の動きを外に表す。語られる言葉は語る者の見の上に一致しなければいけない。

(10) 伝説に従うか、首尾一貫した物語を作ること
あえて新しい人物を作り出すなら、その性格は最後まで一貫させなければならない。新しい人物を登場させるより、いくつかの幕に分ける法がいい。

(11) 叙事詩ホメーロスからの例。各部分の適切な配置
昔の叙事詩人のように、自分の詩を始めるのでなければ、大口や無駄口を言わないことである。トロイ戦争をたえず終りに向かって急ぎ、事件の核心に聴き手を引き入れる。

(つづく)


最新の画像もっと見る

コメントを投稿