アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

「復帰」41年、広がる離島格差

2013年05月23日 | インポート

AgunijimaMinamidaitoujima 「5・15」で沖縄の「復帰」が問い直されました。その多くは基地問題を中心とした日米安保の視点から沖縄の「非独立」を告発するものでした。でも、「復帰」から41年たって改めて問わなければならないのは基地問題だけではありません。たとえば、離島問題です(写真左は粟国島=戸澤裕司さんの写真展より、右は南大東島)。
 沖縄には160の離島があります。そのうち有人島は39。県全体の約10%(13万人)が暮らしています。日本全体の離島人口が約0・5%(69万人)なのに比べ、沖縄がいかに離島県であるかが分かります。離島での生活はあらゆる面で沖縄本島と格差があります。生活必需品の価格は約1・3倍。39の有人島の中で医療機関がある島は29。高校がある島はわずか4。高校進学者の26%が島を離れなければなりません。その悲哀は映画「旅立ちの島唄~十五の春~」でも知られるようになりました。
 そんな「離島格差」が、「復帰41年」でさらに拡大しています。沖縄タイムス(5月15日付)によれば、1970と今年4月現在の人口を比較すると、沖縄本島は58%増加しているのに対し本島を除く離島全体では3・5%減少(減少率50%以上が5島。最大は渡名喜島の59・6%)。過疎化、高齢化がいっそう進行しているのです。これは産業にも影響します。たとえばサトウキビ生産は離島が全体の約7割を占めますが、重労働のためこのまま高齢化が進めば衰退は必至だといわれています。
 沖縄というと基地、離島は紛争の舞台、というイメージがありますが、離島に住む人々の劣悪な生活条件、広がる格差にもっと目を向ける必要があると、あらためて気づかされます。そもそもウチナーンチュウとは沖縄本島人のこと、ウチナーグチとは沖縄語のことで、いずれも離島は含まれません。離島は本島から見放され、「格差」は「差別」に直結しかねません。
 離島問題はいわば沖縄の中の「沖縄問題」なのです。

<今日の注目記事>(23日付沖縄タイムスから)
 

 ☆<遺骨収集・鑑定 国に要請 ガマフヤー 一括金活用を提案>(第3社会面2段)
 「沖縄戦遺骨収集ボランティア『ガマフヤー』の具志堅隆松代表は22日、沖縄戦の遺骨収集と遺骨のDNA鑑定を国の責任で実施するよう、内閣府に要請した。・・・具体的には県の一括交付金を活用し、県内障がい者と支援団体でつくるNPOに遺骨収集事業を委託、失業者を雇用する構想を提案した。/具志堅代表は『戦後処理が沖縄振興に役立ち、一括交付金の趣旨にも合う』と指摘した。/厚生労働省へ同様に要請してきたが、同省の方針では遺骨と、その身元が分かるような遺品がセットで見つからなければDNA鑑定の対象にならないといった条件があり、『遺骨を遺族に返すには時間がない。迅速に進める制度を作ってほしい』と強調した。/内閣府への要請は初めて」
 ※具志堅さんは無償どころかたいへんな持ち出しをしながらボランティアを続けています。声高な政府批判や主張ではなく、確実に「実」をとっていこうとする賢明さ、戦後処理と雇用対策を結合する発想力、不屈の献身にはほんとうに頭が下がります。

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