アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

知って驚く日台漁業協定-また「国策」の犠牲

2013年05月11日 | 日記・エッセイ・コラム

GyogyousuiikiIkarigyomin こういうのを「火事場泥棒」というのでしょうか。政府の「4・28独立式典」が大問題になっていた最中の先月10日に締結された日台漁業協定です。ルールなきまま今月10日発効し、漁民は困惑し怒りに燃えています(写真右=テレビから)。私自身、これまで問題だとは思いながら、「4・28」に気をとられて十分注目してこなかったのが正直なところです。あらためて新聞報道を読み直して、その理不尽さ、重大さを再認識しました。
 協定は日本政府が大幅に譲歩して日本の漁場を台湾側に譲ったもの(写真左の赤い部分)。交渉はすべて地元沖縄の頭越し。情報提供すらなし。沖縄県議会は「協定に強く抗議し、見直しを求める」との意見書を全会一致で可決し(4月18日)、東京へ要請行動を行いましたが、一切無視。まったく「オスプレイ」と同じです。沖縄の漁場はたたでさえ米軍の訓練水域に広く侵されています。このうえさらに水域を奪われればまさに「死活問題」です。
 なぜこんなことになったのか。沖縄の漁業を犠牲にして台湾を取り込んで「尖閣問題で中国をけん制したい官邸の強い意向」(4月30日付沖縄タイムス)のためです。しぶる水産庁幹部を「菅官房長官自身が、自分の責任で最後まで対応する」(同)と押し切りました。協定は国際的ルールにも反するもので、その影響は沖縄・日本だけにとどまらず、「中国と海洋紛争を抱えているアジア諸国にも影響を与える」(上田不二夫沖大名誉教授4月11日付琉球新報)と危惧されています。まさに日中漁業協定(1997)の二の舞いです。
 沖縄(の庶民)はまたしても「国策」の犠牲になったのです。しかも「4・28政府式典」で沖縄の歴史・県民意思が踏みにじられた、まさにその最中にです。ほんとうに腹が立ちます。
 と同時に、いかに「4・28問題」の渦中だったとはいえ、遠い離島の海域の漁業問題が、本島では基地問題ほどに切実に受け止められているようには見えない(私自身も含め)ことが、さらに心を重くしています。

<今日の注目記事>(沖縄タイムス11日付1面トップから。琉球新報も1面)

 ☆<普天間返還10~15年後 米軍高官、上院で証言 日米合意の「最短」困難視>
 「米海兵隊のジェームズ・ケスラー施設本部長(少将)は9日、上院歳出委員会の軍事建設等小委員会の公聴会で、米軍普天間飛行場の返還について『早くて10~15年後になる』と証言した。4月に日米両政府が発表した返還計画では、9年後の『2022年度またはその後』と明記していたが、同証言で米側は返還の最短目標時期の達成を困難視し、28年ごろまでずれ込む可能性を想定していたことが明らかとなった」
 4月の発表計画では「またはその後」のごまかしが指摘されましたが、その馬脚が早くも露呈しました。日本政府(自民党)の「外交」がいかにいいかげんで売国的か。ここでも痛感します。


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