アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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市民連合・中野晃一氏の注目すべき「野党共闘」見直し論

2024年02月28日 | 野党共闘
   

 政治改革へ向けて「野党共闘」を追求している市民連合(「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」)の中野晃一運営委員(上智大教授)が朝日新聞のインタビューに答え、注目すべき「野党共闘」見直し論を展開しています(以下抜粋、写真左も)。

< ――野党が存在感を示し、受け皿になるためには何が必要でしょうか。

 本来、どういう政権になるかは選挙の後にしかわからないものなのに、この間、日本では選挙前から誰と誰が組むかということが問われている。

 選挙戦略としてどこと組む、組まないという話はあるが、政権をとった後に政権に入る、入らないを選挙前に決める国は他にない。自民党と公明党が選挙の前から連立政権を前提にすることの方が異常だ。

 ――しかし、2021年衆院選は、立憲が政権を取ったら共産とどうするか、という話になった。本当はすべきではなかったということですか。

 あのときは、あれぐらいやらないと、という意識があったが、選挙前に踏み込みすぎた面がある。各政党が勝ち上がってくることの方が本当は重要だと思う。

 21年選挙の反省点は、比例区での戦略が足りなかったことだ。選挙区で候補者を一本化するのはいいが、それぞれの政党が自由活発に独自の政策を訴えて有権者に売り込み、各党が比例で議席を増やすということも必要だ

 大きな方向性を共有して、選挙協力ができれば、より具体的な政策は、各党で主張をし、政権をつくる段階になったら、互いに歩み寄ればいい。いまは小選挙区制のもとでの「政権選択選挙」に過剰に適用しようとしている。>(22日付朝日新聞デジタル)

 これは明らかに、これまで市民連合が調整役となって試みてきた「野党共闘・連合」の失敗を認めたものであり、共闘の在り方を見直すべきだという表明です。

 2021年の衆院選を前に、立憲民主党と日本共産党は同年9月30日、「総選挙で自公政権を倒し、新しい政治を実現する」「両党は「新政権」において、市民連合と合意した政策を着実に推進するために協力する。その際、日本共産党は合意した政策を実現する範囲で限定的な閣外からの協力とする」などの3点で合意しました。

 これはまさに衆院選を「政権選択選挙」とし、市民連合と共に結んだ「20項目の共通政策」を政権公約としたものです。中野氏が誤りだと指摘する「どういう政権になるか」「誰と誰が組むか」「政権をとった後に政権に入る入らない」を選挙前に公約したのです(2021年10月2日のブログ参照)(写真中、右)。

 中野氏はその誤った「政権選択選挙」によって「それぞれの政党が自由活発に独自の政策を訴えて有権者に売り込み、各党が比例で議席を増やすということ」ができなかったと認めています。共産党が「日米安保条約廃棄」などを選挙戦で事実上封印したことはまさにその表れでした。

 今回の中野氏の「共闘」論見直しは、遅きに失したとはいえ、妥当です。

 しかし、共産党の志位和夫委員長(当時)は衆院選敗北後もこう述べていました。

「共通政策および日本共産党と立憲民主党の党首会談での政権協力の合意は、公党間の合意であり、それを掲げて総選挙をたたかった以上、国民への公約であります。日本共産党は、この合意と公約を誠実に順守し、野党共闘の大道を前進させるために、今後も揺るがずに力をつくすことを表明するものであります」(第4回中央委員会総会幹部会報告、2021年11月29日付しんぶん赤旗)

 今年中にも衆院選が予想される中、共産党は中野氏の指摘を踏まえ、「野党共闘」論の抜本的見直しを行う必要があります。
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