アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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「安倍国葬」黒塗り・「38人の報道関係者」は名乗り出よ

2023年08月09日 | 政権とメディア
  

 7日付の地方紙各紙(共同配信)によると、昨年9月27日に強行された安倍晋三元首相の「国葬」に関し、「共同通信が内閣府に招待者名簿などを情報公開請求したところ、74%の氏名が黒塗りだった」といいます(写真左)。

 74%は全体(招待者数6175人)の平均値。内訳をみると、「元国会議員」は招待者数1104人に対し黒塗り率100%、「文化人・著名人」を含む「遺族・遺族関係者」は同1177人に対し黒塗り利率96%、「各界代表」は2101人に対し91%です。

 NPO法人「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長は、「国葬は秘密儀式ではなく、参列者が秘密保持義務を負うものでもない。不開示の理由「業務の適正な遂行に支障を及ぼす恐れがある」とはつながらないのではないか」(7日付共同)と、不開示には根拠がないと指摘しています。

 不開示にする必要のない氏名をなぜ黒塗りにするのか。

「多額の公費(約12憶円)を支出しながら名前を伏せる点は、安倍氏が私物化批判を招いた「桜を見る会」をほうふつとさせる。(黒塗りの)開示文書は、推薦基準の曖昧さを露呈した」(7日付共同)といえます。

 とりわけ重大なのは、「招待者」の中には「報道関係」が38人おり、その黒塗り率は100%だということです。これは特別の意味を持っています。

 内閣府は氏名不開示の理由について、「同じ属性にありながら推薦されなかった者が明らかになる」からだとしています(7日付共同)。「招待者」に選ばれた者と選ばれなかった者が分かるとまずいというわけです。これは政府が招待者を恣意的に選んだことを自ら認めたことに他なりません。

 その政府の恣意的な選別で「38人の報道関係者」が招待された。その者たちは、政府によって「安倍国葬参列にふさわしい」と選ばれたわけです。それはいったいどこの(報道機関の)誰なのか。市民は知る権利があります。

 一方、「38人の報道関係者」は、仮にも報道記者を自認するのであれば、最低限、市民の「知る権利」を蹂躙する政府の黒塗り・隠蔽策に手を貸すべきではありません。彼らは私的な関係(遺族関係者)として招待されたのではなく、「報道関係」という公的な立場で招待されたのです。

 そもそも「報道関係者」は「国葬」に出席すべきではありません(2022年9月22日のブログ参照)。出席したうえその事実を隠蔽することは、二重の罪を重ねることになります。

 招待された「38人の報道関係」は、自ら名乗り出て、出席したのか欠席したのか明らかにすべきです。
 それができないというのは、政府との癒着を自ら認めることに他ならず、報道機関に身を置く資格はありません。

 「安倍国葬」の名簿黒塗りは、「国葬」が政府の恣意的な基準で行われ、ナショナリズム醸成の手段になるとともに、招待者を選別することで政治家・官僚・学者・文化人そしてメディア関係者を分断して取り込むものであることを示しました。「国葬」は完全に廃止すべきです。
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