アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

軍縮会議で高校生大使の演説を妨害した「国」はどこか

2017年08月24日 | 核・被爆者と日米同盟

     

 毎年8月スイスで開かれるジュネーブ軍縮会議で、これまで3年続けて行われてきた高校生平和大使代表の演説が、今年は行われませんでした(22日)。

 大使を派遣する市民団体「高校生平和大使派遣委員会」が事前に外務省に今年も演説を打診したところ、「外務省の担当部局である軍備管理軍縮課から「今回は難しい」との回答があった。明確な理由の説明はなかったという」(20付中国新聞=共同配信)。

 外務省の高見沢将林軍縮大使は、演説ができない理由を「ルールにのっとっていない、という国がで出てきた」からだと言いました(22日、写真中)。
 高見沢氏は高校生大使らに、「「軍縮会議では通常、政府代表の発言しか認められない」と説明、一部の国から強い懸念の声があったなどと話した」(23日付中国新聞=共同配信)といいます。

 その「国」とはどこなのか。なぜ今年に限りその「国」はクレームを付けたのか。高見沢氏は一切口をつぐんでいます。

 しかし、関係者には見え透いた話です。
 「平和大使たちは核兵器禁止条約(今年7月採択ー引用者)への共感を示しており、関係者は「日本政府が署名しないと明言する条約について演説で言及されることを懸念したのではないか」と指摘した」(20日付中国新聞=共同配信)

 平和大使OBで明治学院大大学院生の林田光弘さん(25)は、「高校生は被爆者からバトンを託され、スピーチの準備をしてきた。核軍縮の議論を進めるうえで、被爆者の思いを受け入れることは不可欠なはずだ」(23日付東京新聞「こちら特報部」)と演説の中止を悔しがるとともに、「高校生たちがスピーチで、禁止条約に触れることに危機感を覚えての対応ではないか」(同)と指摘しています。

 高校生平和大使の演説が中止になった(妨害された)背景に、核兵器禁止条約があることは明白でしょう。そして、クレームをつけた「国」とは、「被爆国」でありながらアメリカに追随して条約に反対し会議に出席すらしなかった日本政府自身であること、すなわち高校生スピーチへのクレームと中止は安倍政権の自作自演である可能性がきわめて濃厚だと言わざるをえません。
 そうでないと言うなら、高見沢氏は高校生大使の演説を妨害した「国」がどこなのか明確にすべきです。

 仮にその「国」が日本自身でないとしても、安倍政権がその「国」のクレームに唯々諾々と従った責任は免れません。

 一方、軍縮会議では高見沢氏やアメリカのウッド軍縮大使が、北朝鮮の「核・ミサイル開発」を一方的に非難し、「われわれはあらゆる手段をとる用意がある」(ウッド氏)、「日本も最も強い言葉で非難する」(高見沢氏=写真右)と、核兵器の先制使用も含めて北朝鮮を威圧しました。

 被爆者の願いを託された高校生大使の演説の妨害と、北朝鮮に対する核攻撃も辞さない威圧。それは核兵器廃絶に背を向け続ける核大国とその追随勢力の大国主義という同じ根でつながっています。 

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「ビキニ核被災」をめぐる知... | トップ | 「北朝鮮の脅威」煽って過去... »