アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

「靖国神社」をめぐる気になる動き

2016年11月07日 | 安倍政権と戦争

    

 靖国神社をめぐる気になる動きが相次いでいます。

南城市・糸数壕(アブチラガマ)入り口に大砲。説明版に「靖国神社」

 沖縄県南城市の糸数壕は「平和教育」の場として知られていますが、その入り口に今年3月、旧日本軍の大砲と魚雷が設置(移設)されたことを、乗松聡子さん(ピース・フィロソフィー・センター代表)の論稿で知りました(琉球新報10月2日付「論壇」)。

 しかもその説明版には、移設にあたって、次の文がひときは大きなの文字で書き加えられたといいます。
 「現在砲としては、靖国神社遊就館にも展示されている。 平成28年3月移設 南城市」

 乗松さんは、「県内外からの訪問客も多い、平和教育の重要拠点である糸数壕での兵器展示と『靖国』の碑文の問題は、南城市だけでなく沖縄戦の記憶継承全体に関わる重大な問題だ」と指摘しています。

 なぜあえて大きな文字で「靖国神社」を付け加えたのか。
 南城市の古謝景春市長は、日本会議メンバーの佐喜真淳宜野湾市長とは選挙応援に駆けつける仲です。

石原慎太郎氏らが靖国神社に「合祀」要求

 
靖国神社(前身の東京招魂社)はもともと幕末の戊辰戦争で明治新政府の側の人々を慰霊するために建てられたもので、幕府や会津の人々は祀られていません。これに対し、「幕府、会津両軍の戦没者の合祀を求める動きが出始めた」(10月26日付中国新聞、柿崎明二・共同編集委員コラム)といいます。
 「亀井静香元金融相、石原慎太郎元東京都知事らが呼びかけ人となり、有志の会を立ち上げ、(10月)12日に徳川康久宮司に会い、合祀するよう求めたのだ」(同)

 徳川宮司(15代将軍徳川慶喜の曾孫)は「すぐ直ちにそういたします、とは言えません」と答えたそうですが、「ある神道関係者は『そもそも申し入れに直接対応することが異例。問題提起をきっかけに国民が新政府側一辺倒の明治維新観を見直すことを期待しているのではないか』と見る」(同)

 「明治維新観の見直し」というより「靖国神社観の見直し・拡大」を図ろうとする狙いではないでしょうか。

靖国神社・招魂齋庭が「戦争準備」?

 靖国神社には招魂齋庭という場所がありますが、そこに異変が起こっているといいます。「中国人戦争被害者の要求を実現するネットワーク」の機関紙(「すおぺいネットワークニュース」10月号、写真右)の、「靖国神社の『戦争準備』」と題した記事です。抜粋して紹介します。

 <靖国神社は「戦死者を神様にする」神社です。戦死者を神様にする儀式をおこなっていました。招魂齋庭の前に牛車に載せた戦死者の名簿を祭壇に示し、そこから本殿に奉納するのです。この招魂齋庭は長い間使われていませんでした。戦後70年以上たち、新たな戦死者がでていないからです。そこで、招魂齋庭の前の広場を「月極駐車場」として利用していました。財政上の理由から「定期収入」を得るための措置でした。招魂齋庭は鳥居と石碑が残っているだけでした。
 ところが、この7月以来、「月極駐車場」をなくしてしまいました。招魂齋庭の前庭は更地になっています
 これはどういうことでしょうか。昨年来の安全保障法制の成立にともなって、自衛隊の海外派兵もできるようになっています。「駆けつけ警護」(写真中は南スーダンに派遣されている自衛隊員ー引用者)も可能と言っています。新たな「戦死者」がでるかもしれません。靖国神社はそのときに備えて、戦死者を神様にする儀式はすぐにできますよ、とアピールしているようです。

 招魂斎庭の駐車場が更地になった真相は分かりません。しかし、「新たな戦死者」が出る危険が目前に迫っているのは事実です。招魂齋庭をふたたび「神様にする儀式」に使わせてはなりません。
 


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