ちょっと遅くなってしまったのだが、3月23日にスエズ運河で起きたコンテナ船「エバーギブン」座礁事故のニュースには関心を持っていた。
この船が世界最大級の大きさであり、その所有者が日本の会社であって、それが砂嵐によって流されて座礁し、スエズ運河を塞いでしまい、動けなくなってしまった。そして、他の400隻を超える各国の船も進むことができない。これは大変なことである。
という一報である。
その後、エジプトなどの懸命な作業によって29日に船を動かすことができ、運河の運航が再開した。
あの大きな船が動いたというニュースは感動だった。
それに、「日本の船だから日本がどうにかしなさい」ではなく、やはり現地の人たちが全力を尽くして取り組んでくれた(運河が使えないのは大問題だから当然ではあるが)のがすごく嬉しいし、浚渫(しゅんせつ)船やタグボートを使って重大な仕事をやり遂げた人々の姿は素晴らしいと思った。
座礁したのは不幸な出来事で、1100億円の保障はどうなるのかという問題はあるにせよ、運河にも船にも目立った損傷はなく、積み荷も無事で水質汚染もなかったとのこと。人間が力を合わせて問題を解決したということは、久々に良いニュースだと思ったのだ。
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ところで、この「エバーギブン」という船は、写真を見ても、その巨大さに驚き、その積み荷の量にも驚くのだった。大きさは、長さ約400m、幅約60m、高さ約33mであり、荷物を積むと最大14.5m海中に沈むそうだ。
長さを考えると、東京タワーが333mなので、その高さよりも長いことになる。
コンテナは最大で約2万個積むことができ、座礁したときは約1万8千個積んでいたそうである。気の遠くなるような荷物の量である。
持ち主は今治造船の子会社である正栄汽船という会社だそうで、子会社がこんな大きな船を持つなんて、親会社はどんなに大きいんだろうと思ってしまう。確かに今治造船というのは、日本最大級の造船会社らしい。
そして、意外だったのは、この船を運行しているのは台湾のコンテナ輸送会社「長栄海運」であり、船員はすべてインド人なんだそうである。それから船籍はパナマだそうだ。
普段どのような航路で動いているものかはわからないが、この日はオランダのロッテルダムに向かっていたそうだ。
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では座礁したコンテナ船「エバーギブン」をどうやって離礁させたのであろうか?
エジプトの運河庁とオランダの専門会社による共同チームによって作業が行われたとのことである。
まず浚渫船などで、エバーギブンの船首付近の土砂を3万立方メートルほどかきだし、十数隻のタグボートで船を押し引きした。すると船尾を浮かせることができた。その後潮が満ちてくる流れを利用し船首も浮かすことができ、ついに船を動かすことができた。
船には通常「バラスト水」という船体を安定させるための水が入っているが、それを9000トン抜いて船を軽くしたことも功を奏したとのことだ。
離礁に成功すると、タグボートが高らかに汽笛をならして脱出を祝ってくれたそうで、その場面は見なかったが、素晴らしい光景だっただろうなと想像する。
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船の航行(船による輸出・輸入、経済活動)というのは世界規模のもので、その大きさや量も莫大だが、そこに関わる人々も多国に渡っていて、すごいなあと思うばかりである。
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スエズ運河6日ぶりに通航再開 コンテナ船離礁、原因を調査へ | 毎日新聞 (mainichi.jp)
アマゾンに慣れきった私たちに、スエズ運河の座礁事故が教えてくれること | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト (newsweekjapan.jp)
追記:船体に「EVERGREEN」と書いてあるのですが、船の名前は「EverGiven」であって、エバーグリーンは台湾の運航会社(長栄海運)の名前なのだそうです。エバーグリーンライン。
おまけ
エバーグリーンとは、いつも緑。常緑樹のことらしい。
エバーグリーンと言えば、私はこれを思い出してしまう。
Raphael - Evergreen (PV)
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