毎週、トラベルナースを見ている。
ナースというのは本当に大変だなあと思う。
見ていると、看護師になった友人のことがアタマにめぐってくる。
高校時代の演劇部の親友は、看護師になった。
高校2年の秋くらいまで、部活にのめりこんでいたのだが、文化祭が終わり、いよいよ卒業後の進路を考えなくてはならない時期になってきた。
私たちは、演劇の道に進みたいと思っていたのだが、親友は演劇の道か看護師の道かで悩んでいた。
そして、家族と相談し、現実的な職業として看護師への道を選んだのだった。
彼女は理系クラスに進んで、看護学校に行き、看護師になってからは、外科の手術に立ち会うなどバリバリに働いていた。
結婚してからも看護師を続け、子供を産むのも遅かったが二人のお子さんを立派に育て、そして今もなお看護師として働いている。
子どもが生まれてからは、夜勤のない仕事になったようだが、看護師を40年もやっていることになる。
私は、高校時代に自分が看護師になろうなどとは到底思えなかった。人の世話なんかするタイプではなかったし、人の身体に触ったり、注射針を刺したりするなんて、全然やりたいとは思えないのだった。
そんなわけで、非現実的な演劇の道なんてものを漠然と考えて文系の短大に入ったが、結局、人のためにもならず、かといって自分の好きなことを貫きもせず、いい加減な生き方しかできていない。
友人のことを思うと、本当に頭が下がる。
でも、トラベルナースを見ていたら、今だったら割りきって看護の仕事ができるかもしれないと思う。
あの高校の頃、あんなに仲のよかった友人を真似して、同じ道に進もうとは、全く全然思わなかったのは何故なのか?人に合わせるような性格でもなかったし、よほど看護の仕事に興味が持てなかったのだろう。
でも、もし私も友人と同じ職業になっていたら、お互いの経験を語り合ったりして、さらに絆を深めて年を重ねてこられたかもしれないなあ、なんて思う。
今なら、わざわざ険しい道を選ぶことも有り得るような気がする。人間としての任務を全うするみたいな意志を持てば、好き嫌いを越えて頑張れるかもしれないけど・・・。
だが、やっぱり、元々人のお世話をするのはキライかも?
一方、親友が文学や演劇の道に進んだとしたら、どうなっていたかという未来は、全く想像できない。彼女は看護師が似合っていると思う。元々頼りがいがあって優しい人だったな。
劇団員や女優は現実的ではなく可能性が薄すぎると思うし、かといって普通のOLになっている姿は、今となっては全然想像できないのだ。でも、どんな仕事でもきちんとする人だとは思う。
高校時代に築いた信頼関係は、今もなお続いていると思っているけど、長年の間に仕事内容も全然違い、どんなことを考えて毎日を暮らしているのかもわからなくなってしまった。
ただただ、ナースのドラマを見ながら、親友はこういう世界に生きてきたんだなあと感じるこの頃である。