これまで、マスクをし、アルコール消毒をし、人混みを避け、外食も一切せず、新型コロナから逃げまくる2年間を過ごしてきた。
しかし、変異したオミクロン株が、気づかぬうちに肉体の中に侵入してきたのである。
具体的には「喉」から入ったのであろう。
何か、いがらっぽいなと思ったのは、慣れ親しんだ風邪のときの喉の様子と変わらなかった。
その後は、そのまま治るかと思いきや、これがちょっと変わっていた不良者のギャングであった。
3日くらい身体の中で悪さをしたが、その後は私のNK細胞だかT細胞だか、B細胞だかの免疫機構によって退治された。
私の中で増殖したウイルス子孫の一部は空気中を舞って、どこかの人の身体の中に侵入したのであろうか?
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オミクロンが、私の身体にも侵入したらしきとき、公共交通機関を使わずに抗原検査をしに医療施設に行かねばならなず、自転車に乗って出かけて行った。
私がオミクロンに汚染されていることを知らぬ人々が平気ですれ違って行く。
どっちもマスクをして、一瞬にして通り過ぎるし、距離もあるから平気なはずだが、近づかないほうがいいよ~、まさか道を聞くとか、話しかけたりしないでね~と思う。
私は、黴菌なんだよ。私は凶器を持った人間なんだよ。
なんか殺人犯みたいである。
自分が危険人物になった気分というのは、なかなか経験できるものではない。
電車の中で、自分は新型コロナだ、と言った人が逮捕されたとか?
まったく、感染者は、被害者なのに加害者である。ドラキュラになってしまったみたいだ。
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そんなことだが、そうやって進入してきてしまったオミクロンは、以前にも遭ったことのあるような奴で、全くの新体験な容態というのはなかった。
かつて経験したことのある発熱・喉の痛み・不快感・倦怠感・咳・筋肉痛・鼻水・鼻づまり・下痢・頭痛と言う感じだ。
これは確かに未知のものではなく、風邪によく似た顔をしている。風邪の親戚だろう。
オミクロンに変異してからは、ずいぶんと穏やかな性質になったらしい。
それでも、年寄りや持病のある人にとっては、大きな打撃を身体に与えるので、油断は禁物だ。
感染力の強さが一番の問題なのだろう。
だからできうる限り、人に感染させないように、オミクロンに染まった人は隔離されなくてはならないのだ。
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しかし、そうなってしまって気づいたことがある。
そうだ、これで私はもう、オミクロンから逃げ回らなくてよくなったのだ。
隔離期間の終わりは、新しい生活の始まりである。
これから新しい驚異的な変異種が生まれない限り、私たち夫婦は外食をすることもできるだろう。
映画を見にいくこともできるのだ。
快気祝いに、おいしいものを食べに行こう。
春には旅行にも行こう。
新型コロナになったことで、保健所や自治体や医療には本当にお世話になっている。
日本は本当に良い国である。年寄りを大切にする国だ。
若者も、中年も、子どもたちも、もっと大切にしなくちゃいけない。
政策やシステムに変なところはいっぱいあるけど、それでもおそらく世界の国々の中では、かなりマシな国だと思う。
お世話になったことにはお返ししなくちゃいけないとも思う。
また、経済に貢献するためにも、外食や娯楽などこの2年間にしなかったことをしたい。
スポーツジムに行ったり、貸しピアノ室なども利用したいと思う。
コンサートやライブにも行ける。
これからは、オミクロンを恐れずに活動することができるのだ。
私は自由の身になったのだ。(ちょっと早いが、隔離後の生活が楽しみだ。)
世の中に、マスクをしていない人が多くなると思う。
なぜならば、毎日何万人もの人がオミクロンに罹ったのだから、自然免疫を獲得した人がたくさんいて、その人たちはしばらくは同じオミクロンにはかからないはずなのである。
とりあえず、建物内のルールは守るが、マスクをしないで道路を歩いても全然平気だろう。