パピとママ映画のblog

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後妻業の女 ★★・5

2016年08月29日 | アクション映画ーカ行
直木賞作家・黒川博行のベストセラー小説を基に、独り身の高齢男性の後妻におさまりその資産を狙う女を中心に、欲にとりつかれた人々が織り成す群像劇。『愛の流刑地』などの鶴橋康夫監督がメガホンを取り、現代社会に潜む危うさを、ユーモアを交えて活写する。ヒロインにはさまざまな鶴橋監督作品に出演していきた大竹しのぶ、彼女と組んで孤独な老人を食い物にしていく結婚相談所所長に、『必死剣 鳥刺し』などの豊川悦司。さらに永瀬正敏、尾野真千子、笑福亭鶴瓶ら実力派キャストが脇を固める。
あらすじ:妻に先立たれた中瀬耕造(津川雅彦)は、婚活パーティーで年下の女性・小夜子(大竹しのぶ)と出会う。やがて病に倒れた耕造は他界し、後妻におさまった小夜子から公式証書遺言状を見せられた娘の中瀬朋美(尾野真千子)は、遺産は全て小夜子に渡り遺族には一切残らないと知らされる。父の死に疑念を抱く朋美は探偵の本多(永瀬正敏)を雇い、小夜子の身辺を調査するが……。

<感想>何だか、現実でもTVのワイドショーを賑わせた結婚女詐欺師のお話しと似ているような。しかし、彼女は金のある爺さん以外にも50代の小金持ちの青年を手料理で騙し、持っている金を妹が病気で手術代がかかるとか、料理教室への授業料とか、ウソをつき1000万円とか、500万円とか騙し取り、挙句に練炭コンロで一酸化中毒死させ、自殺に見せかけて殺すという手口だった。

今回は、結婚相談所の所長と手を組んで、金持ちで持病もちの爺さん相手に結婚をし、交通事故や心臓病に脳溢血といった病気で死なせて、全財産を死ぬ前に公正証書に女の名前に遺産相続させるという一筆を書かせるという荒業である。

その稼ぎ頭が大竹しのぶ演じる小夜子で、結婚相談所の所長には豊川悦司が扮しており、大竹しのぶの絶妙なる演技でもって全編が成り立っているといっていい。たまたま、9度目かのお見合いで津川の爺さんと出会い、内縁の妻になり、二人で遊び歩き持っている金は金庫の中にあることを突き止める。そして、津川の爺さんを脳梗塞で倒れさせて救急車で病院に運び、酸素吸入ボンベを外したり、点滴の中へ空気を入れたりして爺さんを殺し、葬式の時に公正証書を見せて全財産をもらうと娘2人に言い渡すのだ。

だが、その前に、金庫も豊川所長に頼んで金庫の鍵を開けさせて、中の預金通帳4000万円を銀行から引き出す作戦に取り組む。まだ生きている爺さんのところへ、銀行の支店長を連れていき、爺さんがいかにも小夜子に預金を引き出していいように言いくるめるのだ。

だが、土地と家屋まで自分のものにしたい小夜子に、娘の尾野真千子が弁護士と探偵の永瀬正敏に小夜子の身辺調査を依頼する。それで明るみになる前前回の小夜子の結婚のことが。全部事故死か病死で亡くなり、財産を根こそぎふんだくっているというのだ。本当なのか、事故死と見せかける場面も映し出す。その証拠はないが、調査書を見せて小夜子を呼び出し焼肉屋で揺さぶりをかける尾野真千子。2人の取っ組み合いの喧嘩が見られますから、髪の毛引っ張りの蹴とばすのと、長いよこのシーンも。

この探偵の永瀬正敏も悪で、調べていくうちに結婚相談所の豊川悦司の身辺調査もして女遊びに余念がなく、小夜子が次から次へと金持ち爺さん相手に結婚詐欺を繰り返していることが分かってくる。それを警察に通報すればよかったのに、探偵の永瀬も金が欲しくて所長の豊川を脅しにかかり、3000万円を要求してくるのだ。

その3000万円を小夜子に騙して出させようとするも、小夜子が次のターゲットである不動産王の笑福亭鶴瓶と恋仲になるも、彼は竿氏という巨根の持ち主で、金持ち婆を騙しては金を搾り取る男だったのだ。そのことを知り、挙句に3000万円を要求され呆れてものも言えない。

邪魔者は消せとばかりに、小夜子の息子に拳銃で探偵の長瀬を殺すように命じ、金の入ったカバンには、表だけ万札で中身は白紙。拳銃で長瀬の脚を撃ち、探偵の本多は撃たれた足を獣医の柄本明のところへ行き、10万円で治療してもらう。何故か警察へは行かないのだ。

小夜子の息子は失敗してしまい沖縄にでも逃げようと、母親の家に帰って金品を持ち出しているところに、母親が現れ喧嘩のあげくに母親の首を絞め殺してしまう。
驚いた息子が所長の豊川へ電話をして来てもらい、スーツケースに母親を詰め込んで何処かへ埋めようと車のトランクへと、そこへパトカーが来てそのスーツケースの中身を見せろと言う。すったもんだしている内に、スーツケースが動いて中に何かいるような、警察が開けると小夜子が生きて出てくるというお粗末。

妻に先立たれ、または熟年離婚をして老いぼれ爺さん一人の老後となると、孤独死とかありますが、この物語ではまだまだ金持ち老人たちが、結婚相談所へ足蹴に通っては相手を求めて熟年の再婚をする。それはとても良いことなんだけれども、中にはこういう金だけ狙いの後妻業という女もいるわけで、これはこれで悲劇ですよ。笑いはあまりありません。どちらかというと、女好きの豊川悦司のベッドシーンが長いし、小夜子のベッドシーンも少し長い。そんなの見せられてもね。もう少し、手練手管の絶妙なセリフ回しとか、遊び上手なところを見せてもらわないとね。

喜劇なんだから、面白可笑しく見せてもらわないとね。小夜子と柏木が実際に老人に手を下して殺してしまうなんて。まるで火曜サスペンス劇場みたいな、ラストで小夜子が生きていて、また柏木とグルになって後妻業をやるというところで終わるから、だから出来の悪い映画になってしまって、笑うに笑えなかった。

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