西島秀俊主演で司城志朗の小説「ゲノムハザード」(小学館文庫刊)を映画化した日韓合作サスペンス。記憶を失った天才科学者の文字通りの“奔走”をノンストップで描いた、スリル満点のエンタテイメントが完成した。
あらすじ:平凡な会社員・石神武人はある日、自宅で妻が殺されているのを発見する。その信じられない衝撃の最中、死んだはずの妻からの電話。そこに現れた警察を名乗る怪しい男たちによる執ような追跡。石神は事態を全く把握できないまま逃げ続け、やがて正体不明の韓国人女性記者(キム・ヒョジン)に出会う。石神は妻の死の真相を解明すべく、記者の協力をあおぎながら、命をかけた逃亡劇に身を投じていく。
<感想>甘さを拝した大人の魅力で大ブレイク中の、西島秀俊主演での理系ミステリー・アクション。「過酷な現場ほど楽しくなる」と語るM系俳優の西島らしく、マンションの屋上から脱出劇など本格的なアクションシーンを、極力スタントに頼ることなく自分の体を張って演じて見せているのに感心しました。
最愛の妻を何者かに殺された平凡な日本人男性が、真相を追求するうちに、実は遺伝子研究をしていた韓国人科学者だったという驚愕の過去が甦り始めるという、予測不可能なストーリーになっている。
「美しき獣」のキム・ソンス監督ら韓国人スタッフによる、日本映画とはひと味違う乾いたタッチの、ハードなアクションシーンが見どころです。「俺の記憶は5日後にすべて消える」と、42歳の西島、魅力満載の逃亡劇、韓国人のオ・ジヌと石神武人の二役を演じる彼は、アクション俳優として覚醒か?・・・。カーチェイスも見ものですよ。
石神を取り巻く2人の女性には、「誰にでも秘密がある」などで知られるキム・ヒョジンが、フリーライターとして記憶喪失の西島を助ける役を、「さよなら渓谷」「そして父になる」の真木よう子が石神の妻役を演じている。そして、研究所の博士佐藤に、伊武雅刀が扮してオ・ジヌが研究していた不老不死薬(アルツハイマーのワクチン)とファイルが欲しくて、ゲノム薬品会社の社長と結託してオ・ジヌを殺そうとする。
日本人の石神は、たまたま伊武雅刀が運転していた車に轢かれて、研究所に運び込まれ、そこへオ・ジヌが入って来て、研究のワクチンを投与され記憶を石神にすり替えられたのだ。本当の石神は、別人の日本人である。
イランの鬼才アミール・ナデリ監督作「CUT」でも、ボコボコに殴られ肉体を限界まで追いつめた西島だったが、本作ではとにかく走りまくり韓国人のニセ警官の悪人から逃げ回ります。記憶も曖昧で状況も分かってない男が、殺し屋たちに追い掛けられて逃げ切れるわけがない。
記憶をぐしゃぐしゃにされた人物に扮しているとはいえ、西島が繰り出す演技のテンションが半端じゃなく高く、男くさいムードでムキムキの体を見せてしまったら、普通の男という設定なのに、ちょっとアンバランスなところが引っかかる。
冒頭で目の前の妻の死体を見て驚き、そこへ妻からの電話がかかってくる。「実家に帰ってます」と言うのだ。じゃぁ、目の前の女は妻じゃないのか?・・・、このシーンは奇抜で面白いのに、謎めいた人物が次々と登場して、誰がみても警察だという黒服のいかつい男たち、日本人刑事を装うのに、日本語がヨレヨレ過ぎる韓国人キャラ。ニセ警官というのは一目瞭然なのに。
オ・ジヌの奥さんはいったい誰に殺されたのか?・・・これが最後に明かされるのですが、妻は殺されたのではなく、揉みあっている内に突発的な事故で、後頭部を打って死亡したもの。犯人というか、西島が部屋へ入って来た妻の死体を発見した時に、犯人はベランダに隠れていた意外な人です。それに、妻の死体は動かされて、2度目にその部屋に行くと妻の死体はなかった。
ですから、途中からストーリーに付いていけなくて、デザイナーの石神と、韓国人のオ・ジヌが同一人物というのは、理屈としては理解できます。ですが、記憶を上書きするメカニズムが、目に見えないので映画向きのテーマとしては、不向きなような気がした。理解できる人には面白いのでしょうがね。
西島が演じているのは、本当は韓国人の科学者オ・ジヌなのに、観ていると石神の記憶を植え付けられた男、オ・ジヌなのだ。そこがどうみても石神に見えてくる。本当の石神は交通事故死してこの世にいないのに。そのことがしっかりと見えてくるところまでは、西島演じている逃亡者の石神なのだ。
しかし、石神とオ・ジヌは似ても似つかないまったく違う人物。記憶の混濁という設定だったり、ということも関係あるのかもしれないが、細部まで詰められた部分と、ビックリするほど雑な部分とが混在していて、どうにも落ち着かないのも残念。
それと、警察に駆け込まずに、主人公を助けようとする韓国人の女性記者が、特ダネのために主人公の逃亡の手助けをする設定にも無理があり、西島さんの熱演がもったいないですから。
カーアクションや研究施設などのしっかりした撮影なのに、妻との思い出など、ドラマパートの安っぽさの落差にがっかりです。
2014年劇場鑑賞作品・・・21 映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
あらすじ:平凡な会社員・石神武人はある日、自宅で妻が殺されているのを発見する。その信じられない衝撃の最中、死んだはずの妻からの電話。そこに現れた警察を名乗る怪しい男たちによる執ような追跡。石神は事態を全く把握できないまま逃げ続け、やがて正体不明の韓国人女性記者(キム・ヒョジン)に出会う。石神は妻の死の真相を解明すべく、記者の協力をあおぎながら、命をかけた逃亡劇に身を投じていく。
<感想>甘さを拝した大人の魅力で大ブレイク中の、西島秀俊主演での理系ミステリー・アクション。「過酷な現場ほど楽しくなる」と語るM系俳優の西島らしく、マンションの屋上から脱出劇など本格的なアクションシーンを、極力スタントに頼ることなく自分の体を張って演じて見せているのに感心しました。
最愛の妻を何者かに殺された平凡な日本人男性が、真相を追求するうちに、実は遺伝子研究をしていた韓国人科学者だったという驚愕の過去が甦り始めるという、予測不可能なストーリーになっている。
「美しき獣」のキム・ソンス監督ら韓国人スタッフによる、日本映画とはひと味違う乾いたタッチの、ハードなアクションシーンが見どころです。「俺の記憶は5日後にすべて消える」と、42歳の西島、魅力満載の逃亡劇、韓国人のオ・ジヌと石神武人の二役を演じる彼は、アクション俳優として覚醒か?・・・。カーチェイスも見ものですよ。
石神を取り巻く2人の女性には、「誰にでも秘密がある」などで知られるキム・ヒョジンが、フリーライターとして記憶喪失の西島を助ける役を、「さよなら渓谷」「そして父になる」の真木よう子が石神の妻役を演じている。そして、研究所の博士佐藤に、伊武雅刀が扮してオ・ジヌが研究していた不老不死薬(アルツハイマーのワクチン)とファイルが欲しくて、ゲノム薬品会社の社長と結託してオ・ジヌを殺そうとする。
日本人の石神は、たまたま伊武雅刀が運転していた車に轢かれて、研究所に運び込まれ、そこへオ・ジヌが入って来て、研究のワクチンを投与され記憶を石神にすり替えられたのだ。本当の石神は、別人の日本人である。
イランの鬼才アミール・ナデリ監督作「CUT」でも、ボコボコに殴られ肉体を限界まで追いつめた西島だったが、本作ではとにかく走りまくり韓国人のニセ警官の悪人から逃げ回ります。記憶も曖昧で状況も分かってない男が、殺し屋たちに追い掛けられて逃げ切れるわけがない。
記憶をぐしゃぐしゃにされた人物に扮しているとはいえ、西島が繰り出す演技のテンションが半端じゃなく高く、男くさいムードでムキムキの体を見せてしまったら、普通の男という設定なのに、ちょっとアンバランスなところが引っかかる。
冒頭で目の前の妻の死体を見て驚き、そこへ妻からの電話がかかってくる。「実家に帰ってます」と言うのだ。じゃぁ、目の前の女は妻じゃないのか?・・・、このシーンは奇抜で面白いのに、謎めいた人物が次々と登場して、誰がみても警察だという黒服のいかつい男たち、日本人刑事を装うのに、日本語がヨレヨレ過ぎる韓国人キャラ。ニセ警官というのは一目瞭然なのに。
オ・ジヌの奥さんはいったい誰に殺されたのか?・・・これが最後に明かされるのですが、妻は殺されたのではなく、揉みあっている内に突発的な事故で、後頭部を打って死亡したもの。犯人というか、西島が部屋へ入って来た妻の死体を発見した時に、犯人はベランダに隠れていた意外な人です。それに、妻の死体は動かされて、2度目にその部屋に行くと妻の死体はなかった。
ですから、途中からストーリーに付いていけなくて、デザイナーの石神と、韓国人のオ・ジヌが同一人物というのは、理屈としては理解できます。ですが、記憶を上書きするメカニズムが、目に見えないので映画向きのテーマとしては、不向きなような気がした。理解できる人には面白いのでしょうがね。
西島が演じているのは、本当は韓国人の科学者オ・ジヌなのに、観ていると石神の記憶を植え付けられた男、オ・ジヌなのだ。そこがどうみても石神に見えてくる。本当の石神は交通事故死してこの世にいないのに。そのことがしっかりと見えてくるところまでは、西島演じている逃亡者の石神なのだ。
しかし、石神とオ・ジヌは似ても似つかないまったく違う人物。記憶の混濁という設定だったり、ということも関係あるのかもしれないが、細部まで詰められた部分と、ビックリするほど雑な部分とが混在していて、どうにも落ち着かないのも残念。
それと、警察に駆け込まずに、主人公を助けようとする韓国人の女性記者が、特ダネのために主人公の逃亡の手助けをする設定にも無理があり、西島さんの熱演がもったいないですから。
カーアクションや研究施設などのしっかりした撮影なのに、妻との思い出など、ドラマパートの安っぽさの落差にがっかりです。
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