パピとママ映画のblog

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西遊記 はじまりのはじまり★★★.5

2014年11月21日 | アクション映画ーサ行
「少林サッカー」「カンフーハッスル」で人気のチャウ・シンチーが、「ミラクル7号」以来6年ぶりに手がけた監督作。日本でも映画やドラマなどさまざまなメディアで描かれ、誰もが知る中国の伝奇小説「西遊記」を題材に、三蔵法師と孫悟空、猪八戒、沙悟浄が出会い、天竺を目指す前の物語を独自に描いたアクションエンターテインメント。

三蔵法師は、得意の「わらべ唄」で妖怪の善の心を呼び覚まそうするが失敗ばかりの若き妖怪ハンター・玄奘として描かれ、孫悟空、沙悟浄、猪八戒もそれぞれ独特な姿で登場。映画オリジナルのキャラクターとして、人気女優スー・チーが扮する女性妖怪ハンターも活躍する。

<感想>ミラクル7号」(08)で監督・出演したチャウ・シンチーが珍しく出演していないのだ。製作・脚本・監督と頑張っているので、別に俳優をやめたわけではない。興味深いことで、映画は中国で年間興収トップ、それに香港でもヒットしたそうで、果たして日本ではどうなのか?・・・。「西遊記」の前伝つまり、第0話に相当する映画にしたことである。

映画は、豚小屋砦を思わせるごちゃごちゃとした建屋が川沿いに張りだした集落が舞台である。面白いことが始まりそうな、高まる期待感でいっぱいだ。ところがそこで起こるのは惨劇で、妖怪がいたいけない少女を食べてしまうのだから、ショッキングな話だ。
始めは、川に落ちた漁師の父親が、大きいエイに食べられるところから始まり、一人の道士がそのエイを引き上げるのだ。ところが、みんなが油断している隙に川の中に怪物の魚が現れて、みんなを食い殺してしまう。

そこに居合わせた若き妖怪ハンター・玄奘、後の三蔵法師が、その怪物を仕留めようと悪戦苦闘するシーンが続く。その怪物魚を陸に上げれば暴れないという妖怪ハンター・玄奘。おとなしめのウェン・ジャンが演じていて、結構イケメン青年である。

物語りの軸は妖怪退治修行中の玄奘と美人妖怪ハンターのラブロマンスでもあります。普通の人間が憎しみにより妖怪になるという設定や、キャラ造形もユニークで、半人前の玄奘に美男子の猪八戒、そして一番笑えるのがさえない中年の孫悟空である。
日本では、孫悟空が日本猿に、沙悟浄はカッパに変化し、猪八戒は豚、現代ではTVドラマの影響で三蔵法師が女性だと信じる者も多い。私も夏目雅子さんの三蔵法師が好きでした。
面白ければなんでもありの世界。こちらの沙悟浄は半魚半獣の怪物として出現し、猪八戒も巨大なブタというかイノシシである。

孫悟空は、西村雅彦さん似のまるで落ち武者のような小さい男で、これがゴリラと化して暴れ回る。つまりは、三蔵法師のお供は本来は妖怪であるという原点を強調した造型と演出になっている。

そして、香港映画界きっての売れっ子女優であるスー・チーが扮する、女性妖怪ハンター。少女のようでもあり妖艶な大人の色気をもち、艶めかしく登場する。玄奘に恋をして迫りくるアクションにも笑いが出てくる面白さ。でも、冒頭で沙悟浄の顔面をボコボコにする容赦なさ。沙悟浄が人間の男に戻ると、イケメンの青年だったりして。肝心の玄奘の法力“わらべ唄三百首”はまるで効かないのだ。

スー・チーが扮する、女性妖怪ハンターは、何しろ屈強なハンターたちを束ねる女頭領だから、つねに臨戦態勢が整っていて勇ましいのだ。たいていの場面では、長い髪を振り乱し、玄奘が苦戦しているところへやってきては、自在に数と飛び方を変える腕輪を操って死霊を倒して行く。スー・チーさん、「トランスポーター」に出てましたね。
顔は汗と埃にまみれ、そんな鉄火肌の姉御が、実はとても愛情深く玄奘に一途という、落差あるキャラクター設定が見事に決まっている。しかも、随所で発揮するコメディエンヌぶりが何とも悪戯っぽくて可愛いのだ。
それが現れている場面が、ハンター仲間のギャルの遠隔操作で、玄奘を誘惑しようとする場面では、文句なしの面白さで笑える。玄奘の師匠に、デブで豚のような身体の男が、まるで沙悟浄と間違えるほどで笑える。

最後の方で、玄奘の師匠によれば、このイノシシ猪八戒を倒せるのは、仏によって五指山に500年も幽閉されている孫悟空だけ。さすがに玄奘を騙して岩穴から出た孫悟空が暴れるところでは、まるで京劇のような孫悟空の出で立ち。

腕自慢の妖怪ハンター空虚王子や足爺いも現れ、最強の妖怪ハンターを決めるべく、五指山のふもとで妖術対決が始まる。

三蔵法師が大日如来のように神々しく、そして、CGでのお釈迦様が地球の周りにいるという設定も見事だった。さすがに「チャイニーズ・オデッセイ」で、孫悟空の壮大なる愛を描いた監督。子供の頃から「西遊記」が大好きで映画やドラマを見て、今回は自らの豊かな想像力を膨らませて、誕生物語を作り上げたというわけだ。続篇ありきの終わり方でした。
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