パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

おしん ★★★★

2013年10月16日 | あ行の映画
NHK連続テレビ小説として放映され、大ブームを巻き起こし、海外でも人気の高い国民的ドラマ「おしん」を映画化。おしんの少女時代に焦点を合わせ、苦しい家計のためにやむなく奉公に出された彼女がさまざまな苦難に見舞われながらも、たくましく生きていく姿を描く。おしん役は、オーディションで選出された新星・濱田ここね、母親役に上戸彩、父親役に稲垣吾郎と多彩な顔ぶれが集結。『星に願いを。 Nights of the Shooting Star』などで知られ山形県出身の冨樫森が監督を務め、極寒の山形県で全てのロケを行った。

あらすじ:明治40年、凶作が原因でひもじい生活を強いられている小作・谷村家は、口減らしのため泣く泣く7歳のおしん(濱田ここね)を奉公に出すことに。奉公先の材木店で朝から晩まで働き通しの毎日を送る彼女は、雪が溶けたら家に帰れると信じてつらい日々を耐え抜く。しかしある時、店の50銭銀貨が紛失してしまいぬれぎぬを着せられたおしんは、雪が吹き荒れる天候の中、自分から店を出ていき……。

<感想>日本中が涙した名作ドラマが30年ぶりに映画でよみがえった。橋田壽賀子が脚本を手がけ、平均視聴率52.6%を記録したNHKの朝ドラをリメイク版。しかし、1983年に放映されたドラマは、私は見ていなかったのだ。だから初めて観る「おしん」に涙を流して観てしまった。
7歳の少女が貧乏な家のために奉公へ出稼ぎに行くというお話。この時代の日本は、まだ暮らしも平均的に平等ではなく、田舎へいくほど毎日食べるのに事欠く有様。どういう分けか、そんな貧乏の家には子だくさんという仕組み。父親は炭焼きをしているというが、冬の仕事のない田舎では父親が出稼ぎに行くのが当たり前だろうに。幼い子供を年季奉公に追いやって、自分らの毎日の米をその幼いわが子に託すという理不尽さに腹が立つ。それに、生まれて間もない我が子を、子供のいない家に売ってしまう。これも腹が立つ。

この時代は封建的な父親が、亭主関白で働きもないくせに子供を作る。妊娠して困った母親は、冬の冷たい川の中へ入ってお腹の子供を流産させるようにする。こんな暮らしをしていた日本、今では考えられない生活と経済状態。

「おしん」の母親を上戸彩、父親を稲垣吾郎が演じて、小林綾子と泉ピン子がドラマ版とは異なる役で、顔を出す配役は、オリジナルへの敬意を表しているそうだ。なかでも、驚嘆するのは、約2500人の応募者から選ばれたおしん役の濱田ここねの存在感である。
実に生き生きとして、健気なおしんを上手に演技していて、ここねちゃんの持っている凄い力で、それが前面に出ていて、辛い時も、嬉しい時も、本当に素直に演じていて心打たれました。こんなに初めての子役で巧いのは、ここねちゃんが初めてだと思います。

特に、筏に乗って母親と別れるシーンですね。それに、奉公先でお金を50銭盗んだと泥棒呼ばわりされて追い出されるシーンでも、絶対に自分は泥棒なんてしないと言い切る毅然とした演技も良かった。

それから、吹雪きの中を自分の家へとトボトボと帰るおしんが、途中で行き倒れのように雪の中で倒れてしまうところ。絶対に誰かが助けてくれると信じて、それが後で脱走兵と判明する猟師の俊作に助けられるシーン。束の間の幸せな時間を過ごすシーンですね。
ここで、俊作に読み書きを教えてもらい、ハーモニカまで教えてもらうおしんは、頭のいい子共だったのですね。
俊作は、おしんに言って利かせる言葉が良いですよ。「おしんのしんは、信じるのしん。真実のしん。辛抱するのもしんだが、神様だってしんと言うのだ」という場面。神様は見ていてくれる。だから、お前がやったことはそれでいいんだ。猟師小屋にはもう一人炭焼きの老人、ガッツ石松がいて、正月と言うことで餅つきをするシーン。「おしんは餅を返すのが上手いな」とガッツ石松に言われて、おしんがデヘヘと笑うシーンの凄くいい笑顔で、観ている側も笑顔が込み上げてきます。
餅なんて貧乏な家では食べたことなんてなかったのでは。毎日大根飯で、それもお粥のような水でどろどろにした食べ物。酒田の加賀屋へ奉公に行き、白いご飯に麦が少しの毎日に、笑顔がこぼれる子供らしいおしん。どんなに貧乏で、辛くても母親の胸に抱かれるのが一番のご褒美なのよね。

おしんに「母ちゃんはいつでも待っているから、耐えられない時はいつでも帰って来い」と、そんな母の存在をおしんは誇らしく思っている。一人の人間として、家族のために健気に尽くす母のように美しく生きたいという憧れが、その後の人生を切り開く大きな原動力となっているのですね。
2013年劇場鑑賞作品・・・298   映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング


この記事についてブログを書く
« トランス ★★★★.5 | トップ | 陽だまりの彼女 ★★★ »

あ行の映画」カテゴリの最新記事