パピとママ映画のblog

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りんごのうかの少女 ★

2014年03月06日 | ら行の映画
『ウルトラミラクルラブストーリー』などで知られる青森県出身の横浜聡子が監督と脚本を務め、反抗期の少女を取り巻く家族を描く中編。弘前のりんご農家を舞台に、反目する母娘の姿を通して思春期の焦燥感を全編津軽弁で描写する。『ミステリー・トレイン』で共演した永瀬正敏と工藤夕貴が夫婦を演じ、青森のご当地アイドル「りんご娘」のときが娘を好演。ユーモアを交えながら展開する鮮烈な物語に引き込まれる。
あらすじ:青森県弘前市の岩木山麓でりんご農園を経営する三上家の14歳の娘りん子(とき(りんご娘))は、中学にも通わず家出ばかりしている。母の真弓(工藤夕貴)は口うるさい祖母に文句を言われながらも、ぐうたらな夫の玉男(永瀬正敏)の代わりに必死で働いていた。りん子の誕生日を控えたある晩、玉男が娘のプレゼントにとリボンを飾った馬を引いて帰る。
<感想>青森県弘前市が中心となって制作したご当地映画は昔からあるが、地方発の映画がそのことを超えてゆくあり方は、面白い映画の場合、話はどうでもよくなることと無関係ではないだろう。

白人男性がこちらを見すえて、津軽三味線をベンベンと弾きまくるオープニングにハッとさせられ、観ている側が???マークになろうが、お構いなしで繰り出される津軽弁に驚いた。ですが、家族や田舎な地元から遠くへ離れたい少女のウダウダという、ありがちな物語でもある。少女が手にするポリタンク、着ている赤い服、履いているヒールなど、やたらと赤を強調しているようだが、彼女の頬っぺたの赤だけで十分だと思いました。
弘前のりんご園を舞台に反抗期の少女と家族の関係を描いているが、そんなこと以上に画面の突拍子もなさに驚かされる。母親の工藤夕貴が、夜に建てつけの悪い戸をガタピシと開けると、馬がぬっと顔を出す。

亭主の永瀬正敏がその馬に乗ってリンゴ畑を進んで、リンゴをもぎ取りお前も食うかと馬に差し出すやいなや、落馬してしまい斜面を転げて、次の瞬間というか場面が葬式のロングショットになる。
その父親を娘がリンゴ畑で想うシーンでは、主演のリンゴ娘ときが歩き回る姿と、よちよち歩きの幼子が、永瀬正敏から歩行を教わる姿とが、同一画面の中に同時に描かれるのである。
何だか意表をつく描写が続く。しかも台詞は津軽弁で、意味不明のところも多く、だから観客はただ唖然として見守って、突飛な画面を楽しむしかなく、実際、次々と出て来るイメージは奔放さに溢れているのだ。

青森出身の横浜聡子監督が、青森の風土や津軽弁にこだわるのは当然だし、それが個性だと思うのだが、出身者でなければ分からない表現には戸惑いがある。
その勢いの前では、反抗期の娘を中心とした話など、どうでもよくなり映画はイメージの連続体として展開していく。
しかし、映画を引っ張っていく主人公りん子の感情や屈折した心理描写が不十分なので、大切なりんごの樹に火を放つ行為が唐突な印象は拭えない。42分という尺の中で、2時間もの作品と同じように論じることはできないが、未完成作品のラッシュを見たような中途半端な気分が残りました。

前に観た「奇跡のリンゴ」では、無農薬でりんごを育てるという。何度も害虫に食べられ失敗しては、諦めないで無農薬のりんごを育てる夫婦と娘の立派さと、リンゴの花の満開に努力が実ったことに感動した思いがあるので、この映画は別ものだと、比較してはならないと自分に言い聞かせました。
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