多読家の筆者が、古今東西の書籍の中から、音読にふさわしい詩文をまとめてくださったものである。
先日、朝日新聞の広告で、同じ著者の、下掲の本、
『いつも「話が浅い」人 なぜか「話が深い」人』
を知り、帰宅の日に受け取れるよう、Amazonへ注文して、入手。
早速読了。
私は、この題名を見たとき、日常、いろいろな方とお話をする場面を思い出し、確かに会話の中身に深淺の差を感じたり、話題に人柄を感じとったりするのを思い出した。
その背景にあるものは、その人の人柄であったり、生い立ちの歴史であったり、いろいろな要素が絡み合っているのだろうな、と思っていて、この本でも、そうした会話に見え隠れする人の個人差について書かれたものかと、勝手に予想していた。
が、私の想像していた内容とはかなり異なるものであった。
どちらかというと、読書の実利的な効用を挙げて、読書の勧めが書いてある。主として、学生を頭に置い書かれた本のように感じた。
斎藤隆先生らしい書き方だと思った。
講義として、<話が深い人になるためのプロセスは、かくあった方が良い>というような教えを説いていらっしゃる。
古今東西の名著を読むことの効用、人間評価にいかに読書が役立つか、といったような実利的なことなどが、具体的に書いてある。
私が本を読むのは、楽しく面白いからであって、自己を高めるためといったような効用を意識することはまずない。
話の深い人になるための読書と言われると、読書の楽しみが、少々歪められ、便宜的に扱われているような気がしないでもなかった。
高校生や大学生向きの、読書の効用、そして勧めを意図して書かれた本と言えば、あたっているだろうか。