朝日新聞(2023・6・10 土)の読書欄に、<売れてる本>として、下掲の
石垣りん 著
『朝のあかり』
石垣りんエッセイ集(中公文庫)
が、紹介されていた。(文・蜂飼 耳)
Amazonへ注文して入手し、昨日から今日にかけて読んだ。
石垣りんの詩は、しばしば読んできた。が、エッセイは初めてである。
1920(大正9)年生まれの石垣りんが亡くなられたのは2004(平成16)年。
1933(昭和8)年生まれの私と重なり合う時代もある。
が、20世紀は、戦前・戦中・戦後を含む移ろいの激しい時代だったので、そうした激変を幾歳のころに迎えているかは、それぞれの生き方に、かなりの差異を生ずるもののように思う。
作者は、このエッセイで、ご自分の生き方やものの見方・考え方について、いささかの粉飾もなく、ありのままに書いておられる。詩人の感性が文章にも生かされて、味わい深いエッセイとなっている。
その生き方には芯があり、主体性がある。それでいて、やさしさもあり、さらに衒いのないユーモアもあって、心地よく読めるエッセイであった。