森本哲郎著
『名作の旅、伝説の旅』
本棚で長い間眠っていた森本哲郎著の6冊目を読んだ。
今回、読んだのは題名どおり、名作や伝説の地を巡る旅を綴った本である。
古いものは1965年、新しいものでも1974年の旅に基づく記録であるから、その土地土地の印象としては、今とはかなり異なるところがあるだろう。
それでも、不易なものが当然あるはず。特に名作や伝説は変わらないわけであるから、諸外国に疎い私にとっては初めて知ることが多い。
森本哲郎著の6冊は、積ん読ではなく、購入時に読んでいた。その証拠には、傍線などが加えられている。
ただ今回読み直して、初めて読む本のように新鮮であった。いい本である証拠であろう。
三度(みたび)読み直す機会はないだろう。しかし、『ことばへの旅』(1〜3)は、また手に取りたくなりそうな気がしている。いつまでも古びることのない内容の本であるから。
上掲の本の最後のページに、下掲の新聞の切り抜きが入っていた。
朝日新聞の「天声人語」である。
現在は、左下に日付が入っているが、これにはない。
福原倫太郎が昨年、86歳で死去とあり、とそれを手がかりに調べてみると、1982年のコラムであることがわかった。内容も、福原倫太郎の「失敗について」というエッセイ日て書かれたものである。
視力の衰えた眼には、読みづらい小さな活字である。
森本哲郎の本に挟んであるから関連のあるものかと思ったが、さにあらず。
過去にも、取り出した本から思いがけないものが出てきたことがある。
そのとき読んでいる本に、無意識にものを挟む癖があるらしい。