ブルーベルだけど

君にはどうでもいいことばかりだね

秋から始まった物語 その23

2019-10-09 05:39:35 | 日記
天地真理と言えば、恐らく概ね 「あの太ったおばちゃん?」 なんて言うのだろう。
一方、良い意味で 「アップノーズ」 と称された美しく品のある現役時代を知っていても、そのイメージは 〝アイドル歌謡〟 止まりかも知れません。

そんな彼女は、表現力豊かな抜群の歌唱で他を圧倒していました。
加えて、「他に似ている歌手がいない」 「一聴しただけで天地真理だと分かる」 という際立った個性は、世界に通用する資質とも言えるでしょう。


例えば 〝恋は水色〟 ・・・ 和訳した歌詞はともかく、Vicky Leandros や ポールモーリアバージョン と並べ比べても遜色ないクオリティなのです。

そんな彼女の曲で唯一好きな 〝想い出のセレナーデ〟 は1974年9月1日にリリースされました。


最後のベスト10入りとなったこの曲は 「ポールモーリアを意識した」 という意欲作であり、最後の紅白出場曲でもあります。

彼女の曲のバックでしばしば見られる 〝アグレッシヴなベース〟 が存分に発揮されるスタジオ版は(CD でも)ストリングスや、アクセントで入るタンバリンの高音域がフィルターを通したように曇ってしまっている点が唯一惜しい 。。。

  動画1 : 想い出のセレナーデ <スタジオ版>

  動画2 : 想い出のセレナーデ <ライブ版>

  動画3 : 想い出のセレナーデ <紅白ライブ版>
  

とても悲しい曲です。  季節は秋そのもの ・・・ 落ち葉が舞い散る街並み。

メロディは秀逸!  「いそいそと」 という少々古い表現が入った歌詞はメロディと溶け合い、まるで絵本を捲るように次々と情景が現れ、二度と戻れない眩しく幸せな時間を独り想い巡っている姿が目に浮かびます。


丁度モナリザが日本で公開された年で、司会の佐良直美から 「モナリザと言えば微笑み、そして微笑みと言えば天地真理さん」 と紹介された紅白のステージでは、憂いに満ちた表情で歌い上げる姿が印象的。

因みに僕が持っているのは GOLDEN ☆ BEST 。
フォトには彼女らしい PREMIUM BOX のジャケットをあえて。



この頃から、〝白雪姫〟 ともプロモーションされていた彼女の輝くような明るさが消えています。

アイドルが過酷な労働条件を強いられ 「消耗品」 などと呼ばれた時代、既に甲状腺機能障害を発症していて、苦しさを我慢しながらステージに立っていたとしたら?

〝儚い姿を切り取って〟 というタイトルで2011年1月29日にも書いた通り、当時何が起こっていたのか知る由もないけど、イメージチェンジのための演技とは思えない虚ろな表情は、辛い境遇を精一杯訴えていたのかも知れません。


コメント
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