1946年(昭和21年)9月に株式会社 大阪電気音響社として設立されたオンキヨーホームエンターテイメント株式会社は昨日5月13日、大阪地裁へ自己破産を申請し、同日破産手続き開始決定を受けた。
2015年には資本・業務提携し一部事業を統合した〝パイオニア〟もブランドの1つとして製品を展開していた。
昭和生まれとしては「オンキヨー・パイオニアもか…」と寂しい限り ・・・ 。
店内模様替え最中の石丸電気で、かつてカートリッジが宝石のように並んでいたショーケースが階段近くに埃をかぶって放置されているのを見て、アナログ時代の終焉を知った日にも似た、晩秋のような気分だ。
以前書いた通り、オンキヨーとは疎遠だった。
ところが、愛用していたラックスマンのプリメインアンプを買い替える際に専門店(残念ながら、その後閉店)で偶然、試聴した A-977 の広大な音場と非常識な安さに驚いて購入し、7年前まで愛用していた。
>>> A-977 購入当時のブログ記事 <<<
その後、CDプレーヤーの買い換えで比較試聴した結果、やはり異常なまでのハイコストパフォーマンスを発揮した C-7000R を購入し、こちらは現在も愛用中。
こいつは標準で SHARP に設定されているフィルターを SLOW に切り替えて初めて実力を発揮するが、ニコニコしながら「こうすると高級品が売れなくなっちゃうんですよ!」と、わざわざ切り替えてくれた親切な店員さんには今も感謝している。
>>> C-7000R 購入当時のブログ記事 <<<
一方のパイオニアも、10年前に発売されたプリメインアンプ A-70、そして5年前に発売されたCDプレーヤー PD-70AE は、価格を超えた素晴らしい製品だった。(パイオニアとは疎遠なまま)
両社とも希望小売価格そのものが庶民的な値付けで、これを可能にしたのは開発者の情熱と努力だろう。
しかし、残念ながら庶民は圧縮オーディオ専科で、フルサイズコンポには興味なし。
かくして、フラッグシップモデルがオンキヨー・パイオニアより高い価格帯に位置するマランツ・デノンの低価格品がフルサイズオーディオのビギナー層を獲得。
また、デジタルアンプ化も支持票を失った一因だろう。
オーディオファンは保守的なのだ。(マランツも少々心配)
加えて、プリメインアンプのデザインがシンプル過ぎた。
ヤマハのように、値上げしてでもパワーメーターを付けていたら人気も出ただろうに。
もしもブラインドテストを行ったらオンキヨー・パイオニアの圧勝だったのでは?
実際、2005年冬に行われたブラインドテストでは13万円程の A-977 が50~70万円程の製品よりも高い評価を獲得していたから。
早々にディスコンとなった JBL の STUDIO 570CH(1本7万円) も「スピーカーの価格とはいったい何だろう?」と不思議に思うほど素晴らしい製品だった。
低音の締まりはともかく、この4倍の価格(1本28万円)の S143MT との比較試聴でも勝っていたので、JBL にとって目障りな自社製品だったことは確かだろう。
今尚シュリンクする一方のオーディオ界でブランドを確立したのは、ラックスマンとトリオの創業者らが設立したアキュフェーズ( ← 元々高級オーディオブランド)だ。
両社とも現在は厳格な価格統制が敷かれていて、中古販売でも高値。
しかし、これもブランドイメージを高めるのに奏功している。
そもそも両社は購買者が激減している分、価格をつり上げて経営を成立させている(勿論、価格相応のモデルもある)から、所有欲を満たす見た目もブランド戦略も大切。
普及価格帯の L-505uXⅡ や E-280 などは何とも言い難い音だが、「(アキュフェーズやラックスマンを)買ったぞ!」という満足感はあるだろう。
>>> 以前、アキュフェーズとラックスマンについて書いた記事 <<<
無骨なダイヤトーンやバッフル面がブラック統一のテクニクスとともに、パイオニアのブラウンコーンが艶やかに写ったスピーカーのフォトを眺めながら、「大人になったら照明にも凝ったオーディオルームを♪」などと憧れを膨らませていた頃が懐かしい…
スーパーでもオーディオコーナーを設けて壁一面にスピーカーを並べ、更に P-610B などのユニット販売もしていた時代が懐かしい…
時は流れた 。。。