中央分離帯に佇むモニュメントは、何やら胎内を表現したようにも見える。 横断歩道の向うにある小さなカウンターバーのソフトクリームで飲酒後のクールダウンを図るべく、M さんを促しながら吸い込まれるように入っていった。
マスターはお洒落な髭を生やした 40 代男性。 新しい店らしいが、何やらまとまりのない印象。 そう、BGM の音がもっさりしていて粗雑なのだ。 訊けばミニコンポを使っているそうで、カウンター下を覗き込むと左右に貧相なスピーカーが無造作にねじ込まれていた。
サッポロクラシックを M さんの分も頼んで、まずは二次会の乾杯。 僕はマスターと M さんに音が雰囲気に与える影響の重篤さを説きつつ、安価でしかも良質な音を奏でる JBL の 530 CH を薦めた。 マスターは営業スマイルでかわしたが、M さんは 「 今使っているのが 8 年も経っているし、ぜひ購入したい 」 と言う。 僕は満足げに店右奥のトイレに入った。
マスターに注がれ綺麗に整えられたグラスで 4 杯ずつ飲み、いよいよソフトクリームを注文。 期待した “ 生クリームのような味 ” はしなかったけど、食べ終えるとここも僕が払い、歩いて帰ろうとするもホテルの方角が分らない。 元々 「 歩いて帰れますよ 」 と提案した M さんもギブアップしたところで、路駐のタクシーの窓を叩いた。
翌朝は快晴。 頭上には、東京近郊では縁遠い “ 雲一つない紺碧の空 ” が広がっている。 M さんとロビーで待ち合わせて会場へ移動し、3 時過ぎに仕事を終えると、「 まだ早いんで、もう少し仕事をしていきます 」 と言う M さんに挨拶をして電車に乗る。
新千歳空港行だから間違っているはずがないんだけど、遠く離れた土地で車窓の景色を見ていると、なぜか不安になる。 「 逆行していたらどうしよう 」 などと、つい考えてしまう。
そして、当たり前のように空港に到着し、当たり前のように搭乗。 羽田に到着したところで某駅前までの高速バスに乗り込み、北海道へのリベンジ出張は終了した。