ブルーベルだけど

君にはどうでもいいことばかりだね

秋から始まった物語 その5

2010-09-26 09:35:38 | 日記
秋から始まった物語も「その5」になると、Mike Oldfield 、 Jim Morrison 、 Ritchie Blackmore 以外にも結構聴いているんだな、などと実感する。 今回の作品は、冬に入る間際の秋を連想させる。

旋律もコード進行も制約の中で成立する。 既にパターンは出尽くし、この曲も目新しいところはない。 一方、ときに人間はこの制約の中で珠玉の名作(褒めすぎ?(笑))を創り出す。 この曲の美しさを超える作品は、この曲以降見当たらない。 それほど僕はこの曲にハマった。

イントロで、漂う霧のように流れる中域をブーストした key は、冷たく澄み切った空気感を、微細な鉄琴様音は、そこで瞬く無数の星をイメージさせる。 あの “ 碧いうさぎ ” のブレイク部分にも存在するテイストだけど、この曲はそれをピュアに極め昇華させている。

スーッと入ってきてフッと切れる瞬間にエコーが浮き彫りになる SE は、深夜の海で見た灯台の光や、幼少の頃 寝入り際に聞いた船の汽笛を彷彿とさせる。 前々回で書いた通り、海岸沿いの田舎町で育った僕には海や汽笛はごく身近な存在だった。

メインテーマのほとんどの部分に流れるエコーを伴ったピアノ様音は、恐ろしく古い曲だけど某女性が歌った「手紙」にも似ている。 この曲のヤマ・・・ロケットエンジンに点火したような重く静かに拡散する爆発音 SE で始まる例のブレイクの後、流れるこいつは孤独さを纏い美しい。

この曲は様々な類似曲を超え、永く行き続けるんじゃないかな。
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新しい定期券

2010-09-25 17:49:47 | 日記
定期券を買ってきました。 いよいよ10月3日から新しいオフィスへ。 子供みたいだけど、ちょっと楽しみだったりする。 僕が管掌する部署も一変し、気分はまるで新入社員。(笑)

今回の移転では通勤が遠くなるケースが目立つ。 僕はこれまでドア to ドアで片道約50分だったところ20分増え、70分ほどに。 僕なんていい方で、30~60分も増えて、片道で90分以上かかるひとが何人もいるけど、頑張って欲しい。

このブログは現在のオフィスへ移転した頃に始まった。 それは2006年・・・トップの誤解による悲しい変化の年。 辛いところは誰にも見せない僕だけど、当時下の子から「父ちゃんの会社に入りたい。 楽しそうだから」なんて一言をもらったときは、様々な想いが交錯して涙が出た。

その後の4年半は自分を褒めてあげたいほど(爆)頑張った。 そして僕も僕を取り巻く環境も激変し、今回2010年はウキウキドキドキ♪ やるっきゃない!
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秋から始まった物語 その4

2010-09-20 00:00:35 | 日記
TVCM のバックに流れる暗い曲が頭から離れない。 その後ネットショップでダウンロードして、更にCDを買った。 イントロから休むことなくかき鳴らされるアコギは、うな垂れながら何かから逃げようとする後姿を描き切るかのようにブルーで陰鬱だ。

一応は POP な曲想。 インディーズ時代から支持するファンにはイマイチだろう。 どうでもいい話だけど、僕が育ったのは、彼らの初期の活動拠点からそれ程遠くない海岸沿いの田舎町。 Vo と僕とは、年齢も高校時代まで過ごした場所も、そんなに大きく離れていない。

駅前のアーケードには映画館が2軒あり、店が並び、パチンコも2軒あって賑やかだったけど、徐々に寂れた。 東京より四季の移り変わりが鮮明で、春から夏の明るく眩しい雰囲気とは対照的に、秋から冬は暗く陰鬱。 そう、この曲のイメージは「寂しい秋」ではなく「陰鬱な秋」だ。

田舎ゆえ周囲の目が張り巡らされ、よそ者を排除する安全性が確保される反面、何かする度たちまちウワサになり後ろ指をさされる。 中学時代に○や○○○(いわゆる大人の嗜好品♪)を覚え、仲間とつるんで学校をサボったり夜遊びしたりしていただらしない僕は、地元で評判の優秀な兄弟と常に比較され、侮蔑され続けた。

この曲は、そんな僕の暗い時代を思い出させる。 昔の話? 今なお僕の中には当時の怒りや焦燥感がしっかりと残っている。
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秋から始まった物語 その3

2010-09-15 22:37:06 | 日記
深夜にネット検索していてたどり着いたサイトにその曲はあった。 Tori Amos “ Seaside ” ・・・ 郷愁誘う、もの悲しい旋律。 澄み切った歌声。 かつて故郷に存在した母子寮裏の広大な森林を思い出す。 それは秋。 今日の僕が見たら、ちっぽけな林なんだろう。

あるときは少女、あるときはオバはん。 煩雑な現実をあざ笑う狡猾さから清純可憐な恋心までも歌いこなす変幻自在の女。 key 弾き語りのメリットを最大限に活かした間やタイミング、変則拍子を駆使した歌姫。 それが Tori Amos 。

Seaside とは対照的に、A Sorta Fairytale は穏やかな春のイメージ。 宇多田ヒカルの Colors ともイメージが重なる。

動と静、洗練と滑稽、ズル賢さと清純誠実さ ・・・ 様々な制約を超越し、あまりにも多彩なベクトルの先に作品が混在する Tori Amos のことを語るのは容易ではない。
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秋から始まった物語 その2

2010-09-12 00:05:10 | 日記
「おばあちゃんが動かん。帰ってきて」・・・早朝、父親から突然電話が入る。 僕は一旦出勤して事情を話し、不在中の手配を済ませて新幹線に乗った。 帰ると、仏壇の前には小さく硬くなった祖母の姿があった。 おばあちゃん子だった僕は、その後ぞろぞろと集まってきた親戚の前で何度も泣いた。

Mike Oldfield のアルバム VOYAGER 。 1曲目 The Song of the Sun が一番好きで、元々は秋の夕暮れのようなイメージが強かったけど、寒かったあの日、アルバム全曲を新幹線の車内で何度も聴いているうちに、イメージは冬色に変化した。

僕は celt 好き。 日本でまだ celt という言葉が使われていなかった以前から、僕が好きになる曲は celt が多かった。 最近は、ナプキンの CM でも celt テイストを加えた曲が使われるようになって、ちょっと嬉しい。 アルバム VOYAGER で特に好きなのは4曲。 Mike Oldfield としては珍しく、大半がカバー曲で構成されている。

    1:The Song of the Sun
      星新一が意図した楽曲とは異なるけど、ショートショート「ひとつの装置」から
      流れる曲にも相応しい。( 「ひとつの装置」 は読むたびに泣ける ) 哀愁漂う
      ギターにバグパイプがからみ、孤独で寂しく壮大な世界を奏でる。 アタック
      の強弱で歪みをコントロールしたハード系のギター、そしてお馴染みのコンプ
      をしっかりかけたソフト系のギターの使い分けが絶妙。 バグパイプは Enya
      が使う、クセを薄めたそれとは全く違い、ドロ臭い。 アルバム全般、何気に
      位相をいじってあるので、スピーカーが2つだけの純粋なステレオで聴いても
      前後、左右、上下のあちこちから音が飛び出してくる。
    4:Women of Ireland
      澄み切った空気感を表現したようなイントロから一転、ちょっと艶かしい旋律
      が始まる。 中間部に挿入された有名なメロディーも全体と違和感なくマッチ
      している。
    5:The Voyager
      あの冷たく寒い冬の朝を思い出す。 多目のエコーを纏いながらバックに漂う
      key が雪景色のようで、こもった音のギターをソフトに浮かび上がらせる。
      葬儀の間中、脳裏にはこの曲が駆け巡っていた。 ピアノのコード弾きも含め
      全体のトーンは寸分の狂いもなく一致している。
    7:Dark Island
      コンプがかかっているのか、アコギを避けて朝霧のようにゆらぎ拡がるバック
      が素晴らしい。 広大な大地を全速力で駆ける2頭の自然馬・・・その頭上に
      白い雲がゆっくりと流れる・・・そんな情景を想像させる。 僕はそんな情景に
      自身の2人の子の姿を重ねている。

このアルバムを聴いていると、子供がまだ2人とも幼かったあの頃、「年に1度だけの例外」と深夜に連れて行った初詣を思い出す。 2人とも大きくなった。 なにもしない「ひとつの装置」が測ったとされる千年の時間とはスケールが違うけど、時は確実に流れている。
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